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不思議なパン  作者: TKSZ
119/258

119、カラン国(14)

エチ国軍捕獲作戦発動

交易都市コウに入る街道はほぼ西から来ている。

幅は50mもある。

大通りだね。

両脇には高さ1mほどの土手がある。

実はこの土手の外側は湿地になっていてさらに街道に離れたところに南北とも大きな沼がある。

この沼の北側と南側には険しい山地がある。


挿絵(By みてみん)


王都ニラキから交易都市コウに来るにはこの主街道を通るか、川を渡ったり峠を越える狭い北街道を通るしかない。

当然、エチ国軍は主街道をこちらに向かっている。

今、エチ国軍以外にこの街道を使っている者はいない。


「精霊さんたち、お願いしますね」


前もってお願いしておいた指示に従って精霊さんたちが作業をしてくれている。

街道の両脇にある土手を交易都市コウに近づくにつれて徐々に高くした。

最後の500mは高さ4mにする。

そしてここは北街道との合流点の西側。

ここに高さ4mの壁を造る。

真ん中には幅2mの通路があるように見えるのだが。


「通れません。ここには通路がありません」


そう、壁の通路はトリックアート。

実際にはない。

エチ国軍の皆さんはそこで行き止まりですよ。


「押すな、止まれ!」


前の方の兵たちは必死に進軍の停止を呼びかける。

人気のない通路が交易都市コウの入り口だと思っているエチ国軍の兵はなかなか止まらない。

早く交易都市コウに入って休みたかったのだろうね。

通路に衛兵がいないのは逃げ出したのだと思ったようだ。

高さ4mの壁に三方を囲まれた街道に1600人のエチ国軍がいるよ。

さて、このエチ国軍が収まった街道には精霊さんたちが面白いものを敷いてくれている。

厚さ20cmの特殊な樹脂だ。

そう、新素材だよ。

街道に敷かれた石畳にしか見えないこの樹脂は特殊な魔法によって簡単に変形する。

異世界のごみの研究から新素材に興味を持ってこんなものまで開発してしまった。

他にも世には出せないようなものもあるけどそれは秘密だ。


「「「「うわー」」」」

「沈み込む」

「沼地か?湿地か?」


魔法を発動したことによって液状化した。

そして沈み込んだところで今度は硬化させる。

歩兵はこれで足止め、数少ない馬車や馬も動けなくなった。

馬車や馬から飛び降りた指揮官や兵士たちは王都ニラキ方へ駆け出していくよ。

後方の樹脂も魔法で操作する。

今度は摩擦抵抗ゼロだ。

抵抗がゼロでは歩けないよね。

スケートができる兵はいないようだね。

逃げ出していった全員が転倒している。

さて、上から網をかけるよ。

動けなくなっている兵や騎士にも、滑っている兵や騎士や司令官にも。

逃げ出したのはいないようだね。

この網の中では人間は動けなくなる。

一種の結界付きの網だ。

これで捕獲完了。

ナム アミ ダ ブツ。

網 だ けに?

これでこのまま放置?

そんなことはしないですよ。

そんなに非道ではありません。

放置プレイじゃあるまいし。

連行するにも動けないじゃないかって。

大丈夫です。

コウの外壁の外側に精霊さんに頼んで牢屋を作っておいたよ。

さあ、この網の転移魔法を発動させるよ。

はい、人だけが転移していった。

牢屋の中にね。

樹脂も武器も防具も衣服も残ったままだね。

馬や馬車も残っているよ。

財布や個人のものは返すよ。

と、思う。

そこら辺は子爵様にお任せだ。

あ、男性用と女性用の牢屋を造ってあるから安心してね。

それでも安心できない人たちがいるって。

それは知らないよ。

中性はいないよね?

兎にも角にも裸で牢屋の中へご案内。

裸の付き合いで仲良くね。

1600人の団体さんだということだから12人部屋が160室をご用意させていただきしたよ。

魔法道具のトイレと水飲み場はついている。

餌じゃないね、食事は自動的に一日3回、7時、13時、19時に支給されるよ。

精霊さんたち特製の固形栄養食だよ。

1回1本まで、1日3回まで。

必ず、5時間は空けること。

容量用法を間違えないように。

食べないと支給されて1時間で回収されるよ。

他人のものを奪って余計に食べると七転八倒の腹痛に襲われる仕組みになっているから注意してね。

部屋の使い方は部屋に表示があるし、ボタンを押すとアナウンスもあるよ。

全員転移したということは部屋は足りたようだね。

男か女かわからない人もいなかったようだね。


さて樹脂にもう一つの魔法をかけるよ。

すごく便利な樹脂でね、この魔法で酸素と二酸化炭素と水蒸気とメタンに分解されるんだ。

分解直後は火気厳禁。

すぐに風を操作して拡散させないとね。

土手と壁は元に戻して。

街道も大丈夫だよね。

みんな暗いけど見落としはないかな。

カラン国軍の皆さん、お願いしてある馬と馬車や積み荷や武器防具と服の回収をよろしく。

略奪されてきたものはできるだけ被害者に返却したいので丁寧に記録をしてください。

勝手に自分のものにしたりしたらカラン神様が神罰を与えるようなことを言っていましたよ。

神様は見ているよ!

私もここにあるすべてに所在地を把握できる期間限定マーカーをつけているけどね。

この魔法道具に表示されるよ。



あとはコウ子爵様よろしくお願いします。

固形栄養食代も後で請求しますから。



精霊さんたち今日もありがとう。

はい、『魔法のケーキ』だよ。


お読みいただきありがとうございます。

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