115、カラン国(10)
救出作戦実行。
4人に変更した作戦についての説明する。
「みんなに渡した魔法道具は大丈夫だと思うけど座敷牢には魔法無効化の仕掛けがかけられている。私が先に座敷牢に転移してこの仕掛けを破壊する。破壊するとそのことが敵に伝わるかもしれないが安全を優先するよ。その後、みんなを迎えに来るからね。そして向こうに着いたら国王陛下とお二人の王妃を救出して転移の魔法道具でみんなには領都に戻ってもらいたい。国王陛下には転移する前に応急処置はするからね」
「みんなにということはタカシさんはどうするの?」
「少しガガと会っておきたいと思う」
「理由は今は駄目なのね」
「ちょっと複雑だからね」
「タカシ様、私は最初の転移で一緒に座敷牢へ行きましょう」
「何でセルさんが?」
「気付かれて、入り口から牢番や兵が入って来た時のためです」
「そうだね、そのような余裕は与えないつもりだけどそうしてもらえるかな」
「わかりました」
「それからできる限り殺傷は控えて。相手を無力化するだけでお願いします」
では行くか。
セルさんとともに転移する。
使われていない座敷牢へだ。
座敷牢の入り口が開いている。
セルさんには通路の入り口付近を見張ってもらう。
魔法無効化の仕掛けは?
ああ、これか。
天井にあるやつだな。
やはり私の魔法は無効化されていない。
さて、これを変形して使えなくしよう。
そして収納。
あ、これで気付かれたか。
「セルさん気付かれたようです。少しの間、持ちこたえてください」
「わかりました」
急いでイサ町に転移する。
そして3人を連れて再び転移。
「母上」
ホルン王子が第二王妃のもとに駆け寄ろうとする。
「脱出を優先よ」
カレン王女が王子を制した。
王妃のいる座敷牢を開けてまずは二人を救出した。
続いて国王陛下の座敷牢も開けて中に入る。
二人の王妃と王女と王子とリサさんも一緒だ。
「ニラキ神様、お待たせしました」
「ありがとう、賢者タカシ様。応急処置をできるかしら」
「はい早速」
国王に触れる。
まずは診断だよ。
頭に傷があるな。
腹部にも。
時間がないので最低限の治療だな。
これで大丈夫。
『回復のパン』を水に溶いて国王陛下の口に入れる。
飲み込んだくれたな。
「では領都に転移してください」
今から転移を行うことを領都の留守番部隊に知らせる。
今から使う以外の予備の転移の魔法道具は私の収納へ回収した。
まず王子に転移してもらった。
領都から王子の転移を知らせる連絡が入る。
次いで二人の王妃が転移する。
そして、国王陛下に転移してもらった。
領都から二人の王妃と国王陛下の転移が知らされてきた。
あちらでもすぐに治療を始めてくれるようだ。
ミオさんの治癒魔法は素晴らしい進歩を見せてくれているよ。
私の方法を見て改良を加えているらしい。
「次、カレンさん、転移してください」
「私もガガのところに行くわ。父上の緑の球を取り返しに行くのですよね」
「やはり気が付かれましたか。仕方ありませんね。議論している余裕はありませんね。それではリサさん」
「私も残るわよ。カレンさんを守る必要があるわよね。セルさんも一緒に来るわよ」
「そうですか。危なくなったらすぐ転移で領都の戻ってください。約束ですよ」
議論している余裕はないからな。
兵たちがこちらに向かっているよ。
あと2分で遭遇だ。
通路には入り口にいた二人の牢番が倒れていた。
セルさんが一瞬で無力化したようだ。
牢番には怪我はない。
時間が来れば回復するし後遺症もないだろう。
流石だね。
セルさんと合流して、外に出てすぐ隠れる。
ニラキ神様も姿を隠してついてきているよ。
兵と指揮官20名が座敷牢の通路に雪崩れ込んで行っちゃたよ。
おい、入り口に一人ぐらい見張りを置いていくものだろう。
こいつら素人か?
折角に入ってくれたのだから、入り口のドアを閉めて封鎖した。
魔法も使ってね。
これで当分は出て来れないだろう。
さて、次は玉座の間に移動かな。
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