106、カラン国(1)
カラン国で内紛?
地球での4日間連続での出勤の最後の日、5月15日。
昨日までは地球もアスカでも何も変わったことはなかった。
もちろん16時ごろから2時間ほどは領都で仕事だ。
魔動馬車も魔動AGTも問題なく進んでいる。
明日からの3日間は31日の領都開都の式典の向けての準備だと思っていた。
26日には魔動AGTの南北線と環状線の開通式もあるからね。
昼休みに入った時、突然、領都イチゲから連絡が入ったよ。
内政官のルルさんからだ。
「カラン国で事件があったようです。すぐお戻りください」
カラン国で事件。
それは大変だ。
うちの領内にはカラン国の王子1名と王女4名がいる。
さらにイサ町はカラン国の交易都市コウと接している。
すぐにカラン国王族5名の安全確保を命じ、領軍の先遣隊をイサ町に派遣するように指示した。
急いでリサさんの執務室へ行く。
リサさんにもナリタ公爵家から連絡が入ったようだ。
二人とも午後は休暇を取り、アスカへ向かうことにする。
リサさんは王都のナリタ公爵家の屋敷へ転移した。
私は領都イチゲの領主館へ転移する。
「ルルさん状況は?」
「こちらにいる3人の王女はこの屋敷で保護しています。おつきの護衛も一緒です。タカオ町の二人もミオ様の屋敷に入り、衛士が護衛しております。領軍基地からもタカオ町に20名の騎士を派遣しました。イサ町への領軍先遣隊も準備が完了したころです。先遣隊に魔動馬車の使用を許可していただけないでしょうか」
「許可するよ」
「ありがとうございます」
領都イチゲからイサ町まで70kmある。
魔動馬車の試作ができたころから領軍には運転手の養成をしてもらった。
そして量産型の魔動馬車が昨日までの2日で20台も完成した。
今回な先遣隊は100人。
魔動馬車10台で出発してもらう。
さらにバギー車も5台同行させる。
今12時半、16時には着くだろう。
イサ町からの情報では隣町のコウでは変わった様子はないようだ。
イサ町に駐留する領軍が守りを固めている。
先遣隊を送り出して改めて状況の確認をする。
王都からの情報ではカラン国でお家騒動が起こったらしい。
第二王子と第三王妃が一部の貴族とカラン国の西にあるエチ国の軍勢を使って国王と第一王妃と第二王妃を幽閉したらしい。
わかっているのはここまでだ。
事件が起こったのが今朝未明のようだ。
ムサシノ国の国王陛下から私が王都へ急行してほしいと連絡が来た。
では王都へ行くか。
しかしその前に。
領主館の庭園にある社に向かうことにした。
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