転生マッチ売りの少女は決して同じ轍を踏まない(featuring.緋和皐月)
手に握った包丁から滴る血を見て,私はほくそ笑んだ。
血の滴る先には,「父親」が床でのたうちまわっている。
断末魔が目障りであることを予想していた私は,彼の心臓を一突きした。ゆえに,彼はすぐに動かなくなるだろう。
私は包丁の刃先をツーっと舐めたい,という厨二病的欲求を抱いたものの,こんな奴の血なんて舐めたくない,と思い直した。
こいつは最悪の父親だ。
マッチ売りの少女を日々こき使い,挙句の果てでは,大量のマッチを手渡し,これを全部売り切るまで家には帰らせない,という気が狂ったとしか思えないムチャぶりをしてきたのである。しかも,外は冬の寒空である。誰がどう見ても児童虐待だ。
マッチ売りの少女に転生したらまず最初にすべきことは,父親を殺すことだ,とずっと前から思っていた。この父親こそ諸悪の根源であり,マッチ売りの少女の幸福を妨げる最大の要因なのだ。
この父親を葬らない限り,マッチ売りの少女がいくらマッチを売ったって,マッチ売りの少女は不幸の連鎖から抜け出すことができない。悲劇のレールから外れ,人並みの幸せを掴むための最低条件が,父親の殺害なのである。
「さて…と」
指の先まですっかり動かなくなった「父親」を見下ろしながら,私は呟く。
「せっかくマッチ売りの少女に転生できたんだから,マッチ売りの少女としての人生を楽しまなきゃね」
私の前世は,絵本だった。公立の図書館に,貸出用に置かれていた絵本である。
題材は「マッチ売りの少女」。稀代の童話作家であるアンデルセンが創作したその話には,圧倒的なネームバリューがある。そのため,私が利用者の手に取ってもらえることはそれなりにあった。
しかし,私を読んだ者の感想は,大抵「暗い」「意味不明」だった。
何も不思議なことではない。不朽の名作とはそういうものである。一度や二度読んだだけで簡単に魅力を理解されてしまうようでは,市場の刹那に呑まれてしまう。もっといえば,絵本という性質上,私の読者層は小さな子供がメインだったが,知能の発達していない児童に私のような奥深いストーリーが理解されるわけがないのだ。
ただし,孤独な自尊心を持ちつつも,同時に私は私自身を嫌悪していた。なぜなら,私は,「私」の登場人物が大嫌いだったのである。
言うまでもなく,今しがた殺めた「父親」は大嫌いである。自分の稼ぎの僅少さから家族を貧困に陥れながら,その責任を取らず,むしろ責任を娘になすりつけるだなんて,親の風上に,否,人の風上にすら置けない。
背後から声を掛け,振り返った「父親」を包丁で迎えたときの爽快感は,間違いなく私の「父親」に対する嫌悪感と比例していた。
ただ,私には「父親」以上に嫌いな登場人物がいた。それは何を隠そう,「私」の主人公であるマッチ売りの少女である。
か弱く,愚かな存在。クソみたいな父親に雌犬のように従属し,惨めな声を張り上げ,マッチを売ろうとするクソ野郎。挙句の果てには,幻想に誘惑され,自らの命を落とす。
こんなにバカな主人公が未だかつていただろうか。実に滑稽であり,全く救いようがない。
私がマッチ売りの少女だったら,こんな生き方はしないのに,と「マッチ売りの少女」の話を伝えながら,ずっと思っていた。
Xデーは,私が絵本として生を受けてからちょうど10年が経った頃だった。
公立の図書館といえども,決して競争とは無縁ではない。限られたスペースにどんどんと新しい本が入ってくるのだから,人気のない本は淘汰されていく。
不朽の名作であるはずの私も,ついに世代交代の波に呑まれてしまったのだ。私の代わりに図書館に迎えられるのは,どこぞやのお笑い芸人の描いた下手クソな絵本だったのだから,皮肉なことに,私の閉じ方もマッチ売りの少女と負けず劣らず,惨めだった。
私は,焼却場で燃やされ,灰になるまでは,絵本が生まれ変われるものといえばせいぜい再生紙くらいだろうと考えていた。
ゆえに,意識の戻った私は,自分が手足のある存在となっていることに驚愕した。目を疑うことのできる目があることに驚愕した。
しかも,何の因果か,私の転生先はマッチ売りの少女だった。
私がもっとも嫌いな人物。
しかし,マッチ売りの少女に生まれ変わったと知った私は,落ち込むのではなく,これを好機だと捉えた。
なぜなら,マッチ売りの少女の悲劇への道筋を幾度となく語ってきた私は,マッチ売りの少女が悲劇を回避し,幸福へと進む方法を誰よりも知っているからである。
そのために,街路にて覚醒した私は,まず自らの家に戻り,「父親」を殺った。
彼の絶命とともに,私の脳内でファンファーレが鳴り響いた。さようなら,不幸せ。こんにちわ,幸せ。
「寒い寒い。バカみたいに寒いわね」
再び例の街路へと戻った私は,自らの震える肩を抱いた。
贅肉のない華奢な身体は,吹き付ける北風に対してあまりにも無防備である。耳までスッポリ被った赤い頭巾も,生地が薄いためか,大して温もりをくれなかった。
バスケットには,「父親」に押し付けられたマッチが山積みとなっている。これをどう売るか,に今後の私の運命がかかっている。
私は,マッチ売りの少女のか弱さの象徴である大きな頭巾を取り去ると,道端に放り投げた。
そして,片手にバスケットを持ち,もう一方の手を行き交う人々に対して大きく振った。
「みんなー! 私と握手しませんかー!?」
反応は私の予想通りだった。
男性,とりわけ仕事疲れが露骨に顔に出ている中年の男性が,一斉に私の方を向いた。私は心の中では「ロリコンキモい。視姦すんなや」と悪態を吐きつつ,満面の笑顔で漢共の視線を迎えた。
「一日ヒロインことマッチ売りの少女だよー! 本日マッチを買うと,な,な,なんと,私と握手できる握手券がついてきます! お値段は,な,な,なんと,たったの1.7k! みんな,私とたくさんお話しよー!」
ドルヲタ業界に明るくない人のために説明すると,「k」というのは,決して異世界独自の通貨単位ではない。1000の位を表す俗語が「k」である。つまり,1.7kとは,1700円という意味だ。
DVD付き初回限定版CDと比べても若干の色が付いているが,本日限定のプレミアムイベントなのだから仕方ない。それに,マッチ売りの少女には「ウブさ」というキモヲタ垂涎の付加価値がついている。
私の目の前には,一瞬にして長蛇の列ができた。私はふふんと鼻を鳴らす。これくらいのことはできて当然なのだ。
マッチ売りの少女の嫌いなところは,男性,とりわけロリコンウケするルックスを持ちながら,それを一切利用することなく,死んでいってしまったところである。なんて不甲斐ないのだろうか。お前の貞操は命よりも大事なのかよ,お前,実はマッチ売りの「少女」じゃなくて,マッチ売りの「処女」だろ,と何度ツッコんだか知れない。
私は,ベルトコンベアから流れてくるショートケーキに一つ一つ苺を載せるが如き流れ作業によって,大切な幼女趣味者を一人一人捌いていった。
パターン1
おきゃくさま「可愛いね」
私「そんなことないですよお」
おきゃくさま「いやいや可愛いよ」
私「えー!? うそでしょ!? そんなこと言われたの,生まれてはじめてですよお」
パターン2
おきゃくさま「マッチ売れないと困るんでしょ」
私「そうなんです。私貧乏で…」
おきゃくさま「じゃあ,もう1本買っちゃおうかな」
私「嬉しい(手を握る力を強める)」
パターン3
おきゃくさま「大好き!」
私「私も!」
おきゃくさま「結婚しよう!」
私「また来てねー!」
上記の3パターンで8割程度のおきゃくさまを捌くことができた。残り2割は,「ロリコン」と罵るだけで喜んでくれる変態だった。
捌いたおきゃくさまは計100人以上。
ループ勢が結構いたので,売り上げは40万円を超えた。
マッチの原価が1本数円程度であることを考えれば,この上ない良い商売である。それに,40万円もの金額があれば,一体何人の恵まれないマッチ売りの少女を救えるだろうか。私は,私のあまりの優秀さに高笑いを止められなかった。
「そろそろ自分にご褒美をあげなきゃね」
私は,隙間風の吹き込む寂しげな自分の胸元に札束を突っ込むと,街を闊歩し始めた。ステーキ,焼肉,蟹,ロブスター,何でも来い。宵越しのお金がこれだけあれば,どんな贅沢だってすることができる。
しかし,数歩歩いたところで,私はあることに気が付き,はたと足を止めた。
「そういえば,まだマッチが何本か残ってるじゃない」
幸か不幸か,前世の都合上,私の頭には「マッチ売りの少女」のストーリーが染み付いている。
「マッチ売りの少女」の最大の見せ場は,火のついたマッチが見せてくれる泡沫の幻想である。暖かいストーブに七面鳥,デコレーションされたクリスマスツリーなど,この不思議なマッチは,火を灯した少女の願望を,幻想という形であるが,叶えてくれる。
私は,陰気な「マッチ売りの少女」のストーリーの中で,このシーンだけは嫌いではなかった。もっといえば,このシーンにだけ心がときめいた。
言うまでもなく,本物のマッチ売りの少女の最大の失敗は,幻想に呑まれ,終いには命まで奪われてしまったことである。しかし-
私ならば,決してこんな目には遭わない。
幻想を楽しみつつ,幻想に惑わされないことができる。
私はバスケットからマッチを一本取り出すと,それをマッチ箱の側面で擦った。
……………
「ねぇねぇ」
公園にて。可愛らしい女性が,本を読んでいる男性に声をかけた。どうやら2人は知り合いのようだ。
「なに?」
「500円貸して」
「いいけど,何に使うの?」
男性の問いには答えずに,女性は走って近くの店に入った。
そして5分もせずに,段ボール箱のように大きな箱を戻ってきた。
「お誕生日おめでとー! これあげるね!」
「え……うん,ありがとう」
男性が箱を開けると,中から,みよん,と蛇が飛び出してきた。
みよん,みよん,みょょん……と左右に揺れて,オモチャの蛇は弱々しく首を傾ける。
「……しょぼっ?!」
「これ税金も含めて500円ピッタリなんだよね。500円ぶん返したしプレゼントも渡したんで,それじゃ」
「えっちょ……ちょっ,お前ふざけんなよ?!」
………………
おおっ! なんか思っていたものとは違ったが,なんかすごい幻想だった。感想を述べろ,と言われても一字一句たりとも感想は浮かばない。だが,それがよい。却ってよい。なんというか,癖になる。
私はさらに幻想に浸りたいと思い,もう1本のマッチに火を付けた。
……………
A「ねぇねぇ友人!」
B「なんだい友人!」
A「フィギュアの下着の見せ合いっこしよーぜ!」
B「つまりフィギュアのパンツが見たいんだなお前は,分かった見せてやる!」
A「フィギュアのパンツって大体は白か黒なんだがそれについてはどう思う?」
B「わたしは水色と白色の縞パンのミ○ちゃんフィギュアが欲しい」
A・B「「今度一緒にア○メイトいこーぜ」」
C「……お前らには,道路の真ん中で大声でそういうの言うのは、やめておくことをお勧めする」
A「と言いつつお前もア○メイト行くだろ」
C「行くに決まってんだろ、俺を置いてったらお前らのフィギュアもらってやる!」
A・B「「それだけは,やめろぉぉぉぉ!」
………………
分からない! 全く分からない!
果たしてこの幻想は,私のどの欲望を叶えようとしているのか。私の潜在意識には,一体どんなヲタク心が眠っているというのだろうか。
全く意味が分からない! しかし,なんか楽しい! なんか癖になる!
私は間髪入れずにさらにマッチを取り出すと,火を付けた。
………………
「のぅ……夕食は、まだかのぅ……」
「なに言ってるの,おじいちゃん! ご飯はさっき食べたばかりでしょう?」
「そうだったかのぅ……」
「そうよ!」
「しかし……それならどうして食べた後の食器が無いのかのぅ……」
「そ,それは……それはぁっ……」
「食洗機にも,無いのぅ……」
「う……」
「わしは腹が空いとるんじゃ……お前はこっそり『じゃんくふーど』を食べていたようじゃがのぅ……」
「なんで知ってるの?! わかった、わかったわよ! ご飯つくればいいんでしょっ!」
「松茸の吸い物,筍の茶碗蒸し,伊勢海老のエビチリ、蟹の炊き込みご飯キャビアを添えて」
「そんな和洋中どれだか分からない高級料亭みたいな料理,いろんな意味で作れるかぁぁあー!」
………………
やはり分からない! この幻想の主題がなんなのかが全く分からない! 最後のオチは高級料理を並べているかのように見えるが,2番目に「筍の茶碗蒸し」という割と庶民的な料理が登場してくるところがとりわけ分からない。
でも癖になる!
幻想から離れている時間を落ち着かなく感じるようになった私は,機械的に次のマッチを手に取ったが,ここで止まって考えた。
幻想はマッチの火が燃えている最中でなければ見れず,マッチの火が消えた途端に幻想も消えてしまう。とすれば,マッチの火をなるべく長く燃やす工夫をすべきではないか。
あ,と私は声を漏らす。
「ちょうどいい物があるじゃない。私,この頭巾嫌いなのよね。自分の殻に閉じこもってるみたいで」
私は忌々しき赤い頭巾を頭から剥ぐと,それに点火した。
………………
桃色の花が咲き誇る,春と思われる季節。青い寒空の下,中学校の野球部員とみられる者たちの怒号が響く。
「おい桑田ァ!!」
「なんすかセンパァイ!」
これは酷く怒られそうな雰囲気だ。何故ならば先輩らしき男子部員は逞しい体をいからせて,目をグッと吊りあげているのだから。
1年生の新入部員とみられる男子部員たちは,プルプルと可哀想なほどに震えている。
桑田、と呼ばれた,2年生だろう男子部員は,慣れているのか動じていない。
「ボールがたくさん転がっているなァ!」
「そうっすねぇ! このままじゃあドジっ子な今年の新入部員が転びますねぇ!」
「拾うぞ!!」
「わかりました!」
その気迫とセリフのギャップに,ポカンとする新入部員たち。しかし先輩たちが率先してボールを拾っている現状にハッとして,慌てて拾い始める。
「おい桑田ァ!!」
「なんすかセンパァイ!」
新入部員がボールを拾い始めた瞬間,先輩は,また怒号を響かせる。
「新入部員が,ボールを拾ってくれてるぞォ!」
「そうっすねぇ! もう今年の新入部員はクッッソ気の利く奴ばかりですねぇ!」
「良い奴らすぎて泣けてくるなァ!」
「わかります!」
ドスの聞いた声と,その言葉のギャップ。
もう新入部員たちは『訳が分からない』と言いたげな半泣き状態である。
「おい桑田ァ!!」
「なんすかセンパァイ!」
ふたつの、ドスの聞いた大きな低声。
心臓に悪いからやめてほしいほど怖いのだが,何かがおかしいこの現状。震える新入部員たちは,まだ朝なのにも関わらず『もう帰りたい』オーラを出している。
「もう今日の朝練は終わりだから教室行って良いぞ,って言ってやれェ!」
「なんでオレが言わにゃいかんのですかぁ!」
「俺は実は人見知りなんだァ!」
「意外な真実!」
………………
やっぱりいい! 何がいいかはさて措くとして,やっぱりいい!
それに頭巾を燃やしただけあって,それなりに長い間幻想を見ることができた。でも,足りない。もっともっと長い幻想に浸りたい。
私は,今度はすぐそばにあった一本の街路樹に火を灯した。
………………
「麻婆豆腐が食べたいか貴様らァァァァ!」
「「「食べたいです男王様ァァァアア!!」」」
とある巨大な館の中で,今にも頭の中を揺さぶりそうな大声に応えるため,天地を揺るがすような怒号が響いた。
「もはや人間が食べて良いようなものじゃないほどクソ辛い麻婆豆腐と、豚畜生も吐き出して転がり回る麻婆茄子,どっちが食べたいか選べや! 我が下僕どもぉぉぉぉ!」
「「「どちらも食べたいです男王様ァァァアア!!」」」
大声の主は,何やら赤黒いものが注がれた大きな白い皿を両手で掲げ,にやりとその美しい唇を歪めて笑う。
……ちなみにその皿の料理からは,確かに美味しそうな匂いはするのだが,色がえげつない。
「よし,なら俺が直々に床にぶち撒いてやるから這いつくばって全部食べろ! 食べられなかったら、もしくは食べなかった奴がいたら,俺クラブに入っている資格無ァァァァし! 好きなだけ食えぇぇえ!」
「「「喜んで頂きます男王様、,ッケメェンフゥゥゥゥ!!」」」
老若問わず女性が多い中,ところどころ男性も混ざっている。まるで王に傅く家来たち,というよりはSMバーのドS男とドM人間たちだが,横の看板に書いてあるのが正しければ,こいつらは全て中心にいるイッケメェン野郎のファンクラブ会員である。
……大事なことだから,もう1度,同じ内容の言葉を繰り返そう。
この頭のおかしい集団は,ただのイッケメェン野郎のただのファンクラブ会員で構成されている。
ちなみに,その近くでは,
「イヒッ,イヒヒヒィ,イヒヒヒ……」
不気味な笑い声をあげる老婆に向かって,頭を垂れて跪いている男性がたくさんいた。いや,よく見ると中には女性もちらほらと混ざっている。
「イヒヒッ……ヌベッ」
「「「ヌベェェェエエエ!!」」」
「ヌベベベベベ、ヌベェェェッ」
「「「ヌベェエエエヌベッ!!」」」
もはや何を言っているのかも分からない。こちらも奇妙な集団だ。
「ヌベェェェェェェエエ!」
「「「ヌベェェェェェェエエ!!」」」
気味の悪い発狂の連鎖。しかもその発狂は,老婆を中心として,ぐるりと大量の人間が円を描いて行われている。まるで何かを召喚する魔女の集会が行われているような感じである。
「ホモォッ」
しゅっ、と突然、老婆が消えた。
……それはもう『消えた』としか形容できない消え方で,しゅっ,と一瞬で消えた。
「「「ホモクレッ」」」
ショボンと少し困ったような顔をした老婆の周囲を囲っていた人々。その姿はだんだんと薄く透けてきて,空気に溶けるように消えた。
……なんとも奇妙,というか心霊現象ともいえる現象であるが,この集団は,隣の看板によると,薔薇漫画愛好会という活動名が付いている。
どちらの集団も,近づいても真似をしてもならぬ頭のおかしい集団であった。
……………
あああああああああ! もう最高! もうどうにも止まらない(byマッチ売りのリンダ)!!
もっともっと欲しい! もっともっと長い幻想が見たい! えええい! 燃やせ燃やせ! あとは野となれ山となれ火事となれ! おおおおおおおおおおおお!
私は,無我夢中で,この街の家という家に火を灯し続けた。
そして私は,大火に飲まれて命を落とした。
(了)
なろう屈指のハチャメチャコメディーメイカーの緋和皐月様とのコラボ作品です。
幻パートについては皐月様,その他のパートについては菱川が担当し,それぞれの原稿を統合することによって本作が完成しました。
菱川の頭の硬さと,皐月様の破天荒さが絶妙にマッチし,よい作品になっていることを願います。
なお,あらすじでも書きましたが,良い感想は菱川宛に,誹謗中傷は緋和皐月様宛によろしくお願いいたします←