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第三章 均衡の終焉 第四節 資格

ミーシャとゾーテ

 資格15


 かくして、ミーシャとゾーテは二人きりで待つことになった。


「あの、どんな試練だったのですか」


 ネイルとアイオスを見送った後にミーシャはこれからある試練の事を聞いた。今から二人で取り組むのだから聞いておきたいところである。


「ああ、そうだったな。内容を知らないのだな」


 そう言って、ゾーテは説明してくれた。


「なんてことはない。ただの綱渡りさ」


 ゾーテはそう言った。ミーシャは首を傾げて見せる。綱渡りくらいなら一人でもできそうだが。


「ただし、渡る者は魔術や法術を使う事はできない。道具の使用も禁止だ。ただ、それだと一般の人には渡れないような綱だ。しかしそこでもう一人が魔術や法術を使う事はできる。要はサポート役だ。歩く人間はすぐにバランスを崩すから、その度に繊細な力でサポートする必要がある」


 なるほど、綱渡りなどしたことがなかったが、確かにそういうからくりなら難しそうである。


「まあ、さきのやり取りでわかっただろうが、アイオスはあれでかなり不器用な使い手だ。細かい力加減ができないタイプでね。僕が一向に渡れないのさ」


 それで喧嘩になったという事か。なんとなくわかる気がする。


「君はその辺は器用そうだから安心してるよ。ところで、ミーシャ。どうしてネイルと行動を共にしてるんだい」


「ああ、それはーー」


 言いかけて口淀む。そう言えば嘘をついているのだった。あまりにもナチュラルに聞いてくるから、うっかり答えそうになる。


「それは、さっき申し上げた通りです」


 なんとか言葉を繋げる。と共に改めて警戒する。


「そう警戒するなって。これから一緒に試練に行く仲だ。変な誤解はチームワークの乱れに関わると思うけど。さっきの言い訳が嘘だってことはわかってるんだ。別に本当の事を教えてくれてもいいだろ」


 ゾーテは柔和な顔つきでそう言った。あまりにもとげとげしさがないので、ミーシャは困惑する。というより、そもそも隠す理由は何だったか。


「……それを知ってどうするんですか」


 一連の会話の印象からゾーテは油断してはいけない相手だ。そもそもなんでそんな情報に拘るのかもよくわからない。


「別にただの興味本位だよ。競争者同士なのに仲がいい理由も意味わからないしね。場合によってはミーシャが義姉さんに利用されてるだけなんじゃないかって心配しているだけさ」


 さも、本当に興味本位だけだというように軽く口を叩いている。いや、本当なのかもしれない。そんな気がしてきてしまう。


 ミーシャはゾーテの言葉を受けて改めて考えてみた。そう言えば、何故ネイルはミーシャと行動をするのかという事を。すると、そこには明確の答えはなく、疑問ばかりが頭の中に浮かび始めた。

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