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第三章 均衡の終焉 第四節 資格

ゾーテとの心理戦(続

第四節 資格14


 とんとんと進んで行く会話にミーシャは必死についていく。どうやらペースはネイルが握っているようだ。


「はい。と言いましても、そんなたいそうな物ではありませんことよ。グループ分けと最低限のルールを設けようという事ですことよ」


「ふーん、まあ聞こうか」


 ゾーテは常に警戒をしている。場合によってはこの場にいる全員を敵に回すかもしれない。ちらりとそんなことをミーシャは考えた。


「グループは、私とアイオス、ミーシャとゾーテにします。ルールは簡単。相方に危害を加えない。森をこれ以上破壊しない。これだけですことよ」


「順番はどっちが先だ」


 アイオスが発言する。声色からは明らかな敵意が感じられる。


「私とアイオスから行きますことよ」


「異議あり」


 ゾーテが反発した。


「異議なしだ」


 アイオスが不敵に笑いながら返す。


「これはご安心して、少なくても私は二人が終わるまでは待ってますことよ」


「俺行くがな」


 アイオスは勝ち誇ったような顔だ。


「僕にメリットが無さ過ぎる。賛同の発言を却下させて頂くよ」


 ゾーテはまた警戒モードに入った。


「では、私とミーシャは貴方が出発して半刻を経たのちに出発するというのはどうでしょう」


 半刻、つまり三十分だ。基本的にネイルに交渉を全部任せている形だが、本当にその条件で良いのだろうか。ミーシャは不安になる。


「拒否する」


 ゾーテは強く否定した。


「あれ、あの名高きゾーテともあろう人が、追い付かれることを危惧しているのかしら。それとも、アイオスに追いつけないことを気にしていますですこと」


 ネイルは引かずに挑発気味に愚弄した。


「何、そんなことは言っていない」


 ここまで冷静だったゾーテが明らかに感情を顕わにする。ミーシャはびくっとして体勢を整える。


「では何を気にしてますこと」


 ネイルは目を細めながらゾーテを流し見る。


「ふん、何を気にするわけでもない。ただ僕にメリットが無さ過ぎる話だと言いたい」


「二番手で抜けられる。高名なゾーテともあろう人ならそのくらいで十分なのでは」


 そして、ネイルはにこっと笑った。


「……。一刻だ。試練を終えてから一刻経ってからだ。お前らが出発するのは」


 ゾーテは目を背けながらそう言った。


「……。なるほど。一刻ですか……。わかりました。飲みましょう」


 そしてネイルは苦しそうに返事をした。


「よし、乗ってやる」


 ゾーテは向き直って少し胸を膨らませた。

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