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第三章 均衡の終焉 第四節 資格

ゾーテとの心理戦

 第四節 資格13


 ミーシャにとっては願ったりだ。いまいち自分がこの嵐の中にいる意味が分かっていない。


「アイオス、ゾーテ両名は一緒に試練を受けていたが、それに何度も落ちていた。その責任を相手に押し付け争いが起こった。ここまでは宜しいですこと」


 ネイルが纏める。と、その後はゾーテが続けた。


「訂正するなら、喧嘩を吹っかけてきたのはアイオスの方だ。私は一方的に攻撃されただけだ」


「なんだと」


 アイオスがすぐに激昂する。と、ネイルはすぐに宥める様にする。


「落ち着きなさい、アイオス。ゾーテ、応戦した時点で同罪です。それに挑発的な言葉を仕掛けていたのは聞いていました」


「なるほど、そこからいたのですね」


 ゾーテは目を光らせ、自分なりに状況を把握しているようだ。ミーシャは少し警戒を強めた。


「つまり、ここから考えられるのは、この試練は二人で行うもので、それなりの共同作業が必要という事ですことね」


 ミーシャはネイルの話を聞いてなるほどと頷く。


「そんなことより、僕は何故義姉さんとミーシャが一緒なのか聞きたいね。僕らが一緒なのはわかるだろ。たまたまだ」


 ゾーテにはネイルのまとめは興味がないらしい。主導権を握りに来た。いや、自分の情報を出すのをためらっているのかもしれない。


「どうなんだい。ミーシャ」


 そう、にっこりと話しかけてきた。ミーシャは急に話の中核に引っ張り出されてかなり当惑する。


「えっと、私達も、たまたまです」


 とりあえずしどろもどろながらも、答えるだけ答えた。向こうが情報を出さないという姿勢ならこちらも出す必要がないという判断だ。同じ言葉を使って返す。


「そうです。私達はたまたまここの試練場に辿り着き、八合わせたのです。ご存知かと思われますが、ドーム内には入れませんので、外を回っている最中にたまたま遭遇しました」


 上手い、とミーシャは思った。しれっと嘘をついているが、これなら襲撃がなかったことを警戒されないで済む。と思った。


「それでその仲の良さですか。かなり怪しいですね」


 しかし、その思考はすぐにかき消される。思いの外ゾーテは良くこちらを観察している。


「そんなことより、我々の目標は同じもので宜しいですこと。つまり目の前の試練を突破すること、ですことね」


 ネイルは動じずにすぐに流した。ゾーテに主導権を取られるのを嫌がったのだろう。そしてこの後、ネイルとゾーテの心理戦が続いた。


「僕の話は終わってないよ」


「正直私が突破するだけならそこのミーシャと組めば済む話。しかし、そうなると貴方方は恐らく一生ここで足止めとなる。これは競争ですことから、別に私達はそれでも構いませんことよ」


「何が言いたいのかな、義姉さん」


「一度ここは全員で突破しないかという提案です」


「わからないな。義姉さん達にメリットがない」


「では、ここの試練はアイオスと突破するということで宜しいですこと」


「誰もそうは言ってないじゃないか。それをする理由は何かあるのか聞いただけですよ」


「簡単です。伝統あるこの森をこれ以上破壊する事態を招きたくないからです。それに、このままだと死人が出ます。それはやぶさかではないという事です」


「ふーん。やぶさかではないね」


「この提案に乗るのか乗らないのかはっきりしてもらえますこと」


「まあ、そこの荒くれものと一緒にされるよりかはましかな。乗るよ」


「アイオスは」


「同じく、そいつと組むくらいなら死んだほうがましだ」


「では、条件を言います」


「条件」

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