第三章 均衡の終焉 第四節 資格
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第四節 資格10
「おい貴様。いい加減にしろ。殺すぞ」
魔術障壁が解けるや否やそんな怒声が飛び交った。
「それはこっちのセリフだ。君のスタンドプレイには飽き飽きしてるんだ」
怒声は一人ではなく二人だった。障壁が解けたばかりだというのにかなり殺気立っている。とても奇襲を掛けられる雰囲気ではない。いや、そもそも何故二人いるかだ。
「スタ、スタ・・・・・・。難しい言葉使いやがって。やっぱむかつく殺す」
向かって左の男が背後に魔法弾を作り出した。
左の男は全身にフードを被っており、顔までは見えない。だがその姿にはに覚えがあった。あれは第四皇子アイオスである。
「まったく短気でかつ思慮の浅いやつだ。僕を殺したら規約により君は失格だ。しかもこの試練をどう突破するというんだね。そもそも国の文化遺産をこんな風にしている奴と組むなんて僕には無理だったんだ」
向かって右の男も臨戦態勢に入る。どうやら戦闘になるようだ。
右の男は軍服のちょっとゴージャスなものを着ており、髪はブロンド、顔はイケメン。如何にも貴公子という言葉が似合う存在だった。こちらはゾーテであろう。
「し、しりょ・・・・・・。また難しい言葉を使いやがって。ただ、一つだけ教えてやる。貴様は殺さない。半殺しだ。そして、この試練は次の奴と受ける」
アイオスは言い終わるや否や魔法弾を飛ばした。それはゾーテの方に真っ直ぐ飛んで行き衝突する。激しい爆風が辺りに広がった。
「一つだけと言いながら、二つも教えてくれるなんて、君は親切なんだね」
爆風はシールドにより阻まれていた。ゾーテは表情一つ変えていない。
「くそっ、むかつくんだよ」
アイオスは何度も魔法弾を浴びせかけた。しかし、それらは全てシールドに阻まれる。
ならば、という事で、片手で作り出していた魔法弾を今度は両手で作り出す。先程よりも大きい魔法弾が作られる。
するとゾーテも片手で作り出していたシールドを両手で張り直す。顔には余裕の表情が伺える。
アイオスが腕を突き出すと魔法弾が飛んでいった。それがゾーテのシールドに当たる。先程よりも激しい爆風が起こり、ミーシャの方まで広がってきた。爆風が治まると、そこにはやはり余裕のある表情のゾーテがいた。
「俺を怒らせたな」
その様子を見て、いよいよアイオスが本腰を入れる。今度はかなり魔法弾を練っている。それはどんどん大きくなり、ちょうど、道を抉ったであろう大きさまで膨れ上がった。
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