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第三章 均衡の終焉 第四節 資格

論理パズル再びか???


嘘です。


何の変哲もない小学生用の問題が出てきます。

第四節 資格3


 三又の合流地点に入ると急に魔術結界が周りを囲み始めた。


 ミーシャはびっくりして臨戦態勢をとる。誰かの罠だろうか。例えば先に先行しているであろう候補者の。


 ただ、それにしては物静かな罠だった。魔術結界が辺りに張り巡らされただけで、攻撃的な罠は作動しなかった。


 辺りを注意深く観察すると、ちょうど結界の中心。三又の川の合流地点の中心の上に魔術文字が浮かんでいるのがわかった。


{三角形を思い浮かべて下さい。その三角形が全部で三つになる様に直線を一本足して下さい}


 そう書かれていた。その下には解答欄であろうか四角の空間が魔術線で仕切られている。


 なるほど、これは罠ではなく試練の一つなのだろう。わかりやすいポイントポイントにはこういう試練がいくつか用意されており、その試練をクリアーすることで先に進めるのだろう。


 とりあえず、最初の方のポイントだからという事だろうか、問題はそんなに難しくなさそうだ。


 だが、この問題のポイントは解答力ではないだろう。魔術文字(この場合、線)の技術、あの解答欄に辿り着くまでの技術が問われていると思われる。


 魔術文字は実際、ミーシャも15になってから習い始めたばかりのもので、練度がない。


 また、このポイントは三つの川の合流地点という事で、川の流れが速いのである。泳いで渡るのは愚策だろう。川の上を上手く移動する必要がある。浮遊の魔術も法力による川の流れの無力化もかなりの高等技術だ。ミーシャには扱えない。


 筏を作ったりするのは時間が掛かるし、そもそも、流れの早い川の上に停止する術はないだろう。小船を作って錨を下ろせば停止できるかもしれないが、それにはもっと時間が掛かる。


 やはり、魔術か法術を駆使して解答する必要がありそうだ。


 ミーシャは少し考えた。


 法力フィールドを張り、身体能力を上げれば川の上を走る事はできるかもしれない。ただし、その場に留まることはさすがに無理だろう。とすると、走る抜ける必要がある。走り抜ける際に線を一本ずつ素早く書いていくというのはどうだろうか。


 ただし、魔術文字との併用で法力フィールドを張れるかという問題がある。


 先ほども言ったが魔術文字には練度がない。その上にかなり繊細な神経を使うのだ。それが例え線であったとしても、使わなければならない集中力に差はない。少し、練習が必要そうだ。


 ミーシャは何回かまず、地上でできるか練習し、その後短い距離の川の上での練習をしてから、本番に臨んだ。


 練習の成果もあり、ミーシャは解答欄に三角形を書き、二等分にならない様に直線を足すことに成功した。


 すると、音もなく魔術結界もろとも文字は消えた。と、同時に川の一本が一瞬赤く輝いた。


 ミーシャは息を切らしながらその光を見ていた。想像以上に体力を使ってしまった。その川を辿れという事だろうが、少し休む必要がありそうだ。


 腰を落ち着けて、少し考察をする。


 他の候補者が先に来ていたはずなのだ。自分が来た時には既に結界は解かれていた。という事は候補者は既に解き終わって進んだという事だ。


 ミーシャはなんだかんだでニ、三時間かかってしまったが、その候補者はどれくらいで解いたのだろうという事だ。ミーシャがスタートしてからもう一つのスタート地点に着いたのは始まって四時間経った頃である。


 つまり、四時間分のハンデがあるので、ミーシャと同じ時間かかったなら追い付いていなくて当たり前だ。


 だが、先ほども言ったが筏を作ったりしているのであれば、時間が掛かるはずである。


 つまり、ミーシャと同じように魔術と法力を駆使したのだろう。


 すると、やはり自分より格下と考えるのは考え辛いという事だ。


 もし、接触するようなことがあれば、戦闘は避けるべきだという考えに拍車がかかる。


 というより、ミーシャのように休んでいなかったかもしれない。


 そう考えると、腰を落ち着けていられないという風に考えが変わった。


 まだ疲れは残っているが、ミーシャは立ち上がり前に進もうとした。


 と、その前にやることがある。


 スタート地点にあったようにここにも食料があるはずだ。ミーシャは先にそれを探した。


 食料を自分で調達する方法もあるが、それだと時間が掛かり過ぎるからだ。あるのであれば、それを確保するのはしかるべきであろう。


 前の候補者はこの食料には気付いていないはずである。つまり、そこで差を縮めることができる。


 案の定、一本の木の幹の中に食料が隠されていた。


 ミーシャはそれを取ってすぐに出立した。


 次のポイントまでには追い付きたい。


 いや、抜かせるものなら抜かしたい。手に入れた携帯食料を頬ばりながらミーシャは進むのだった。

感想など頂けると幸いです。

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