表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/61

fiction 19

「まず基本的な事からだ。学園別対抗戦には二つの区分けがあり、三学年の部と二学年の部だ。我々は二学年の部に値する為、三年生の方は気にする必要性はない」


 ルーシェ先輩の懇切丁寧な授業が始まる。

 学園の制服を着ていなかったらやり手の女教師として名を馳せていてもおかしくない貫禄だ。


 だが一つ重大なことに気がつく。


「え、ってことは一年の俺は出られないってことですか!?」


いきなり単位損失の危機を迎える。


「そんなわけあるまい。もしそうならばエルツィン先生が推薦するわけないだろ?あの人は無駄なことは一切しない質だ」

「あんたホントに何も知らないのね。脳みそが豆腐でできてるのかしら?」


 どうやら口論が一段落ついたらしいパルメ先輩、銃をホルスターにしまいながら会話に入ってくるなりいきなり人のことを貶してくる。


「おや、漸く自分の脳みその構造を理解したか。」

「私じゃないわよ!!」


...どうやら刹那的一時休戦だったらしい。


「まあ、あいつらはほっといて説明を続けるぞ。二学年の部というのは、正式に言えば二学年以下の部ということだ。まあ基本的に二学年から選ばれている故省略されているがな」

「じゃあなんで俺が呼ばれたんですか?二年生で固めた方がいいんじゃ?」

「最初の面子は二年生だけで固められていたんだかな...まあ諸事情により近接担当が出られなくなってな。そこでレグルス先生に相談したら何故かエルツィン先生が君を連れてきたというわけだ。」


 するとルーシェ先輩の纏う空気が急変する。

 教師然としたものから戦士が発する闘気への変化が否応なしに伝わってくる。


「自分で言うのもなんだが我々には期待されていてな。そして私も本気で優勝を狙っている」

「そこで俺の実力を試そうというわけですか」

「そうだ。さっきの攻撃は前菜だったとでも思ってくれ」

「もう前菜でお腹いっぱいなんですけどね」

「ふふっ、成長期真っ盛りなのにそれはいただけないな」


どうやら誤魔化しきれないようである。


「は~、わかりましたよ。で、誰とやるんですか?」


 仕方がなく師匠直伝超必殺封印秘奥義<諦める>を発動。

 やりすぎるとすぐに老ける(精神面)と言われているが形振なにふり構わっていられない。


「上級生として誰でもいい、と貫禄を見せたいところだが...今回の試合に適応するのは私だけだろう」

「非戦闘員のミシュー先輩はだしも、パルメ先輩とルミ先輩じゃあダメなんですか?」

「パルメはブラスターをメンテナンスに出していてな。今使っているのは旧型なんだ。それに主武装も持ってきてないようだしな。ルミについては...まあモノを壊しすぎて学内での戦闘を禁止されていてな...」


 どうやらあの正確無比な射撃を旧型で行っていたらしい。それにしても...


「戦闘禁止って...闘技場には防御服なんて比じゃない、常人には到底破壊できない強度の防御結界が張られているんですよ?」

「常人には、な。良くも悪くもあいつは常人ではない。」

「...では俺には選択肢は無いということですか。」

「すまないな。その代りといってはなんだが武器に関しては自前のモノでも構わない。それが学園別対抗戦の正式規定だからな。あと防御服を着用しないが構わないな?」

「ええ、問題ありません。」

「そーゆーことなら私が審判をやってあげよう。」


 するとミシュー先輩が審判に名乗りをあげた。

 感知系の固有能力者だ。そんじょそこらの審判では太刀打ち出来ないだろう。


「ちょっと!漉餡(こしあん派か粒餡つぶあん派かの勝負がまだついてないわよ!...まあいいわ。そいつの実力を見定めてあげるわ。ルーシェ相手に一分もったら戦力としてみてあげなくもないから精々頑張りなさい。」

「.......」


 どうやら勝てるとは一かけらも思われてないらしい。

 それにしても何をそんなに白熱した論戦を繰り広げているのかと思えば餡子のお話とは...


「こらパルメ。私のことを買ってくれるのは嬉しいが勝負の前から勝ち負けを決めつけるとは何たることか。」


 勝負事に関しては真っすぐな人なのだろう。


「すいませんでした~。...でもルーシェに勝てる奴は人間やめてるし」

「失礼なやつだ。...で、とにかくそういう事でいいかなアスト君?」


 即座に了承するアスト。というか了承するしか道はない。


「でも武器は何も持ってきてないので闘技場のを使ってもいいですよね?」

「勿論構わないが、それでいいのか?」


どうやら公平な試合ではなくなることを懸念しているのだろう。


「ええ。武器に拘りはありませんから。」

「近接戦闘派には珍しいな。拘りが無いなんて仙人ぐらいじゃないか?」


 正確に言えば自分の武器というのを持ってはいる。

 だが武器に頼るな!という師匠に没収されているためどうすることも出来ないのだ。それを言うのも面倒くさいため、拘りが無いということにしたのだ。


「それが君の戦闘スタイルならば仕方あるまい。ほらルミ、あとでお菓子あげるから観客席に行ってなさい。」

「......(コクン)」


 どうやらルミ先輩という人物はエネルギー(お菓子)を与え、コマンドを入力しなければ動かないらしい。

...本当に人間なのか?


「あと危険度Ⅳ以上の魔法は禁止だからな?」

「わかりました。」


 そして学年一の問題児アスト=ベルガルドとエルミネスせい切っての天才ルーシェ=パンドーラ=エルミネスとの模擬戦が始まろうとしていた...


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ