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fiction 6

 翌日、午前中はいつも通りの必修科目で、毎度のように人類史の黒髪短髪鬼畜地獄眼鏡女鬼教師にいじめ抜かれ、ようやく午後の選択科目となった。

 今回の授業は戦闘学で、魔法学と違い最初から実習ゆえ少しご機嫌のアストである。


 戦闘学とは読んで字の如く戦闘を学ぶための学科で、魔法を駆使しながら戦闘技術を磨いていく。

 魔法学との違いがわからないという生徒が入学当初一定数出てくるそうだが、その違いはとても簡単である。それは戦闘を主とするかしないかの差である。


 魔法学において重要視されるのは魔法の使用についてだ。そのため高難易度の魔法を習得したり、魔法の発動速度、それに発動規模などがメインとなってくる。


 それと違い戦闘学とは魔法の行使そのものではなく、戦闘がメインである。そのため魔法の行使はその道具に過ぎないのだ。

 

 因みに魔法の行使と聞くと遠距離から魔術をたたき込む、などといった印象を多く受けがちだが実際はそれだけではない。恐らくそのイメージが最も適合しているのは二学年以上で選択できる魔術学だろう。そもそも魔法と魔術の差がいまいち分からないという人も多い。だがこれも大変に簡単な話で、魔術、聖術、印術の三つ全てを示す言葉が魔法なのである。そのため比較的近距離で戦うことが多い聖術使いなども魔法使いに属するのだ。そのため戦闘学の授業では生徒によって魔術を徹底的にやらされたり、剣術などの武道をやらされる生徒も出てくる。


「さて、ではみんな集まったな。では自己紹介とするか。私の名前はレグルス=ディオス=オーディンスだ。この学校に来る前は軍に入っており、これでも一応序列入りをはたしたことがある」


 序列入りという言葉にざわつく生徒達。というのもこの授業に参加している多く生徒達が目指している場所といっても過言ではないからだ。


「この授業を取っている殆どのやつが将来軍人を目指していると思うが、軍について何かわからないことがあれば何でも質問してくれて構わない。まあ私以外にも軍人上がりは沢山いるのでな。話しやすい先生に質問すればいいだろう。エルツィン先生なんかも軍人上がりだ。しかも私より序列は高かったはずだ」


 更に一層喧騒が高まる。どうやら皆が知っている先生らしい。しかしアストの記憶の中には居なかったため、選択授業か違うクラスの担当の先生だと見当をつけていた。


「ま、これ以上言うと怒られるのでな、気になったら本人に直接聞きに行けばいい。因みにその時俺の名前は出すなよ。」


 そしてこのレグルスという男、とある筋の情報ーー※レストですーーによると学園筋肉四天王の一つの座にいるらしい。因みに他の座に座っているのはみんな大好き筋肉プルプル先生に、それから意外な事に学長もその一人であるらしい。入学式の時は正装をしていて、さらに遠目だったためわかりずらかったのだ。もう一人については一学年の頃は接点がないらしく、レスt...とある筋の情報ーー※レストですーーも知らなかった。


 それと余談だが、筋肉プルプル先生の筋肉はボディビルダーの様で、レグルス先生の筋肉は余分な筋肉は落とした、実用的?とも言える体つきだ。まさに戦闘向きである。


「ではこれから皆の得意な戦闘形式というものを見極めていきたいと思う。では補助員の先生方の指示を聞いて各自動いてくれ」


 流石に先生一人では全員を見きれないのか、何人か補助員が入る様だ。


 そして大体似た様な戦闘形式の生徒を集め、そこで班を作り授業を進めていくらしい。とはいってもこの班分けは普通の授業の時だけで、班別対抗戦という練習試合の時は別に班を作るらしい。


 最初は疑問をもったアストであったが、少し考えてみれば当たり前の話であった。授業の班分けは授業進行の効率化を図るためであり、同じ様な戦闘形式の生徒が集まっているのである。


 そのため近接戦闘なら近接戦闘が得意な生徒だけとなり、相手の班に得意、不得意が出てき、正確に練度を測ることができないのである。そのためある程度バラけさせる必要がある様だ。とはいっても班別対抗戦はまだまだ先の話なので気にすることでもないだろう。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



 放課後、レストは用事があると先に帰り、今残っているのはエリスとリタ、そしてアストの三人だった。


「戦闘学の授業、楽しかったですね!そういえばエリスさんはどの様な戦闘形式に分類されましたか?」

「私は魔術専門よ。まあ私は聖力も印力ももってないから」

「魔術専門なんですか、それって相当魔術ができなきゃ入らないんじゃなかったでした?」

「そんなものでも無いわよ、入学当初の分類分けなんてたかが知れてるわ」

「そんな事ないですよ〜。そういえばアストさんは近接戦闘ですよね」


 相変わらず二人で女子トークで盛り上がっている所、リタに話を振られる。


「おう、そうだがなんで知ってるんだ?」

「ちょうど近くだったんで後ろからこっそり見てたんです。因みに私も近接戦闘ですよ。アストさんと一緒で嬉しいです」

「そうだったのか。ま、授業の時はよろしくな」


 一瞬驚くが、どうにか態度には表さないことに成功する。というのもアストは既知の人物であれば後ろにいても気づくことが出来るからである。それをこっそりの一言で出し抜いたリタ。もしかすると本当に影が薄いのかもしれない。


「何時迄も屯しててもあれだし、そろそろ帰りましょ」


 と、エリスの号令で一緒に帰っていく三人。とはいっても帰る方向はてんでばらばらなので校舎の外までである。


 アストはリタの様な小動物みたいな女子が近接戦闘に分類分けされた事に不思議に思いながら帰途につくのであった。



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