表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/180

閑話 あいつらはその頃2

話の流れが切れてしまいますので

話の順番変更させていただきました。


フレイムリザードの閑話が後になっています

本日更新分は二話前の話になります。ご注意ください。

「行くぜチュン、あいつ(ガーゴイル)をぶっ潰しによ!」

「おう!」


 俺たちは宿を出て奴のいる領主の館へ復讐に向かう。


 街に出ると、相も変わらずのむかつく周囲の同情の視線。

 くそ、こっち見るんじゃねえ!


 だが今は我慢だ!

 耐え忍ぶ時だ。


 これも奴のいる領主の館に着くまでの間だけだ。

 ようやく、ようやくこの時が来た。

 あれから三日休んで体調も万全だ。 


 汚名を払拭してやる。

 覚悟しろガーゴイル!!


 今回の俺たちは隙なんかねえぞ!



 乗り込む前に奴の情報収集も行った。


 街中で奴の噂は尽きない。

 今話題の人物らしい。


 あまり役に立つ話は手に入らなかったがな。


 ここ数日で聞いた話をまとめると。


 俺たちを攻撃したコカトリスは奴の従魔だとか。

 コカトリスを守るために衛兵達を全員拘束したとか。

 領主のレイがガーゴイルのあまりの強さに降伏宣言したとか。

 中には奴が魔王の一人だって話もある。


 どれも眉唾モノの馬鹿な話だ。


 奴が魔王? ハイエルフが降伏? ガーゴイルがそんなに強いわけねえだろうが。

 


 だが……



 俺がその旨を街民に伝え、これから復讐しにいく事を告げると……


「ああ、がんばれよ」


 生暖かい声で応援をされた。

 屈辱だ、なんなんだコレはよ。


 俺が負けることが前提みたいじゃねえか!

 


 中には突然話と関係ない事を語り出す奴もいた。





「雑草は何度踏まれてもへこたれない」


 知ってんだよそんな事!

 何で今言うんだよ!







 復讐場所である領主の館についた。


「こんにちは、傷の具合はどうですか?」


 エルフ衛兵が俺たちを出迎えた。

 この衛兵は俺たちを覚えているようだ、少しやりにくいな。


「ああ、おかげさんでな」


「アルベルトさんにご用ですよね? お二人に言付けを貰ってますよ」

「何だと?」

「お二人が来たら、屋外訓練場に案内するようにと、いいタイミングですね、丁度ウチの兵士はアルベルトさんと特訓中で今訓練場にいるんですよ、これから案内しますね」



 屋外訓練場に衛兵に連れられ向かう道中。


「なぁベニ……」

「なんだよ?」

「本当に噂にすぎねえのか? あの話?」


 前を歩く兵士に聞こえないよう小声でチュンが俺に話しかけてきた。


「あ? なんだよてめぇまで、ビビってんのか?」

「ああビビってる、なんつうか嫌な予感がすんだよ……、まるで得体の知れねえ何かをこれから相手にしにいくようなそんな感覚だ」

「……」


 コイツ、いつものふざけた間抜けのアホ顔じゃねえ。

 真剣な目だ、俺が頼りにしている、何度も助けられてきた男の目。

  

「確かに言ってる事は信じられねえ話ばかりだ、だがこれだけの人数の証言を一概に切り捨てるってのは……」

「……」


 チュンがこれ程警戒するとはな。 

 危険な可能性は皆無だと思っていたが、少し真剣に考えるべきなのか?


「それにあのエルフからガーゴイルへの尊敬の念を感じた、それが俺の危機センサーに反応した」

 

 チュンの勘は嫌な時程よくあたる。

 こいつがただのアッパラパーなら、俺はこいつと十年以上もチームを組んでねえ。


「わかった、だが俺もこのまま引き下がるのはゴメンだ、しかし……」


 お前の言うことも気にかかる。

 何が起きてもいいよう覚悟を決める。


「つきましたよ」

 

 俺たちは屋外訓練場へと足を踏み入れる。


 そして俺達は目に映る光景を見て絶句した。

 言葉も出ない事って本当にあるんだと初めて知ったんだ。













「どうしたどうしたぁ! そんなんじゃかすりもしねぇぞ!」


「くそぉぉぉ!!」

「そこっ!」

『クエエエ!』


「未熟者! 目に頼りすぎなんだよお前等は! 感じろ! 頭をフルに使え! 予想しろ俺の動きを! 見るべきは今の俺じゃない! 未来の俺を見るのだ!」



 そこには想像だにしない世界が広がっていた。

 一言で言うならそう……混沌だった。


 大勢のエルフがガーゴイルと集団戦闘

 武に通ずる衛兵エルフが子供扱いされていた。


 コカトリスもエルフに混ざって援護射撃しているが、ガーゴイルには掠りもしない。



「多分言ってみたかっただけだぜアレ、口数多い時は大体そうだもんなアルベルトさん」

「ああ、この前は戦う前から気持ちで負けてるって、根性論語ってたもんな」



 休憩中らしいエルフ兵達の声が聞こえる。



「「…………」」



 どうやったらあんなの避けられるんだ

 上下左右の攻撃なんてモノじゃねえぞ。


 ガーゴイルは反撃していないようだが。

 もし奴がその気なら、恐らく彼らはもう…………


「お、やってるな今日も、俺もいくぞぉぉ!」


 そう言って案内役の兵士も参加していく。

 門番はいいのか? というつっこみを発する気もしない。


 それほど衝撃的な光景だった。

 

 どうにか正気を取り戻す。

 こんなモノを見せられては俺たちのすることは一つだ。





「奴に気づかれないウチに逃げるぞ!」

「ああ! 門まで全力疾走だ!」






 死にもの狂いで全力で逃げた、あんなのと闘ってられるか……

 勝てるわけねえだろ……


「ぜっ、はっ、はああ~」

「ふうう~」


 奴に気づかれず館からの脱出に成功した。

 追ってこないのだから多分大丈夫なはずだ。


 互いの呼吸が落ち着くのを待つ。



「で、どうすんだよ?」


 チュンが俺に問いかける。

 どうするだと? 決まっている!


 噂は正しかった。

 あんな化け物だとは思わなかった。


 奴に手を出すべきじゃなかった。

 チュンの勘に間違いはなかった。 


「当然街を出る! 奴は圧倒的な強者だ、全力で回避するしかねえ!」

「ああ、そうこなくっちゃよ! つきあうぜ!」

「ふん! 当然だ!」


 やはりコイツは使える奴だ。


 コイツがいたからこそあの光景を見てもすぐに正気に戻れた、僅かながらも準備ができていたから、だからこそ奴から逃げる事ができた可能性は高い。


 恐らく俺がそれでも復讐をしようと考えていたら、こいつは俺を見捨てて逃げたんだろうがな。



 そうと決まったら、あまりのんびりはしていられねえ。

 とっととこんな街を抜け出すとしよう。



 あばよ! 二度と会いたくもねえ!! 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ