第2話 ラーメン
「隆、屋台のラーメン食ってみたくないか?」
「ああ、それは食ってみたい。」
「だろ?だからさ、今日は俺がラーメンを作ります。」
「作るのお前かよ。それに屋台じゃないし、キッチンカウンターだし。っていうか俺の家だし。」
「細かいことはいいんだよ。とりあえずそこで座って待っとれ。」
「あいよ。」
俺はソファに座ってスマホをいじりはじめた。
「お前の家って深底鍋ってあったっけ?」
「いや、ないはずだけど。」
「よし、ラーメン終わり。」
「待てえええええ!」
「なに?」
「え、ラーメンは?」
「ないよ。」
「なんで?」
「深底鍋が無いから。」
「他の鍋でやれよ。」
「いや、それはさすがに無理だわ。」
「なんで?」
「出汁が取りにくいから。」
「お前、豚骨から出汁取るとかそういうことやろうと思ってた?」
「うん。」
「待ってる間に晩飯始まるわボケが。」
「逆に豚骨スープ抽出しないの?」
「した奴見たことねえわ。」
「俺もないわ。」
「キッチンの棚にカップ麺あるから取ってきて。」
「把握。」
「3分経った?」
「いや、経ってないと思うけど。」
「実は経ってるんですねえこれが。」
明はべりっと蓋を剥がした。
「なんでお前聞いたの?」
「お前の体内時計の正確さを計った。」
「ふうん。」
「あ、まだ固いわこれ。」
「早く帰れよ。」
「食べ終わるまで待てよ。」
「食べ終わったら帰るの?」
「帰らないけど。」
「じゃあ、食べずに帰れ。」
「うっま。なにこれおいしい。」
「早く帰れよ。」
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