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戦国至上主義者  作者: 裏原中也
1/2

序章

――序章

『平和主義暴力師団発足』




「…俺が団長(リーダー)をやるのか?」


とある昼下がり。其れは其れは暖かい春の日差しの下。

人気(ひとけ)と言ったらベンチの回りにいる幾人かのみの、大学の中庭に青年の素っ頓狂な声が軽く響いた。

日当たりが悪いからとあまり人気のない中庭ではあるが、この声の主である青年は大いに気に入っている場所だった。日光アレルギーという体質もあるが、元々人が集まらない場所を好む。


「考えてみろよ。先ず如何してそんな暴力師団(マフィア)何かに成りたいと思ったんだ?其れは成りたいと思ったら成れるものなのか?」

「楽しそうだし?」

「質問に答えろ莫迦者」


此の大学に進学後直ぐに話す様に成った青年・沖田総司は、頭脳明晰文武両道、おまけに才色兼備と揃った逸材。

金に近い茶髪で、邪魔に成るのか前髪を上げてピンで止めている。人をからかって遊ぶのが趣味との本人談だが、からかうの度合い(れべる)がえげつない事で知られている。

彼ならば、どの職に就いても十分生きていけるだろう。だが何故(なにゆえ)、行き成り人生を棒に振る様な事を言い出したのだろうか。

(いや)、彼だからこそのこの莫迦げた発言なのかもしれない。


「ね、頼むよ土方!」

「絶妙に受け付けたくない話だな。お前から話が始まったのだから、殊更に拒みたい」

「まあまあ、軽い気持ちで受けてみようぜ。楽しそうだと思わないか、トシ?」


軽い気持ちで、とは言ってくれたものだ。

彼は、沖田と同じ高校に通っていたと言う青年・原田左之介。ある意味では才色兼備であり、世に言う美男子の部類に余裕綽々、寧ろ代表として入って居ても可笑しくは無い容姿端麗な好青年だ。

地毛だと云う黒に近い茶髪は、一番長い所が肩に付くか否かの辺りで切られている。

何を遣っても女性からの黄色い声援が飛ぶ、そんな彼は今、木製長椅子(ベンチ)に座る土方と呼ばれた青年の肩に手を回し、沖田に助け船を出した。


土方、トシ。周りに居る者からそう呼ばれる(やや)呆れ顔の青年こそが、此の物語(ストーリー)の主人公・土方歳三だ。原田と同じくして容姿端麗、女性からの人気も引けを取らない。が、本人から見たら鬱陶しい存在でしかない(らしい)。

長さの揃わない前髪は歪に切られているが、其れさえ不自然に思わない。後ろ髪は、本人視点で右側は其処まで長くないものの、左側に移るにつれて肩より少し長く流れている。

全体的に少し癖の在る黒髪で、日の光を受ければ艶やかに映える。


「気軽に引き受けてどうにか成るものとそうでない物が此の世には存在するとして、此の噺の内容は明らかに後者だ」

「国に申請して。さ国家機密保安部隊、とでもしたら良いんじゃない?」


正直面倒臭いと云う思いの方が勝っている状況の土方は、絶え間無く良案と思われる提案を挙げる沖田を(ことごと)く無視、午後の抗議を受ける為に立ち上がった。

尚も木製長椅子から立ち上がる事無く土方を呼び止める沖田。


「(どうせ彼奴の事だ、勝手に申請を出すだろ)」


以前同じ様なやり取りをした際、無視し続けた結果沖田が勝手に大学に対しての申請書を出したと言う経験が頭を掠める。

此の調子であれば、また沖田の独断により数名が犠牲と成るのだろう。覚悟の上での会話放棄だと気付いたらしい沖田は、にこやかに立ち上がると土方とは違う入り口に向かって歩みを進めた。


其の一連の流れを苦笑混じりに防寒して居た原田は、二人が立ち去るのを見届けた後、双方とは又異なる出入口を目指し足を踏み出した。







此にて序章御開きと致す


追記

登場する人物の髪型や容姿の詳細は、読んで下さる皆様方のご想像の範囲で肉付けをしてお楽しみ下さい

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