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ツバサ  作者: 桔梗
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ハジマリ


 ―空を、飛んでみたかった―


 あの空に大きく翼をひろげてふらりと飛ぶことが出来たなら。

太陽のまぶしさに目を細めて、貴方と笑い合う事ができたなら。

どんなに素敵だろうか。


 でも、私には翼が無いから。

どんなに努力をしようとも、ただ地を無様に這う虫けらのようで。

辛いともがいても、それすら誰の目にも留まりはしない。


 それどころか、人々は自らの不遇を嘆いてみたりする。

優れたものが自らを嘆いたら、翼の無いものは惨めな思いに身を震わせる。

辛くて、辛くて、いても経ってもいられなくなる。


 だから、だから私は――――

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