王女と騎士
「私を忘れるのよ、フィン」そう残してお嬢様はこの世を去った。
生まれ変わるなら何になりたい?お嬢様はよくその質問を俺に投げかけた。
「俺、、、ですかね」
そう言うとお嬢様は決まって顔をくちゃっとして可愛らしい笑みを浮かべた。
たかが雇われの騎士が、王女に恋してしまうなどあってはならない。
だから身の丈に合わない思いは胸にしまうと決めた。
ただお嬢様が幸せであるよう願った。
「王女の結婚が決まった。」
その知らせはあまりにも唐突だった。
他国との戦争を終わらせるためお嬢様は利用されたのだ。
お嬢様は皆の前で、それが私の務めだからと強がり笑ったが、裏で一人泣いている姿を俺は知っている。
せめて俺も他国へ、お嬢様の剣と盾になりたいと願った。
しかし、戦争に荒れた母国のため、この国に尽くせと王から命を受けた。
俺の結婚を反対する声はかき消され、ついにその日は訪れた。
「私を忘れてね、フィン、、、愛していたわ」
最後に告げられたのは。
最も残酷で優しい言葉だった。
他国に行ったお嬢様は、戦争で家族を失った下民にあっさりと殺されてしまった。
それを知らされたのは、十月が経つ頃だった。
「ねぇ、フィン、生まれ変わるとしたら貴方は何になりたい?」
「俺は、、、、お嬢様のそばでお嬢様の幸せを願い続けたいです。お嬢様は?」
「私はね、、、私の幸せを願ってくれる大切な人のお嫁さんかな」
「誰ですか??」
「ふふっ、今は分からなくていいわよ」
懐かしい、あの頃の記憶。
「忘れろだなんて、、、無理でしたね。寂しくないですか?辛くないですか?、、、幸せでしたか?」
「フィンさん!!!」
「俺も今行きますよ、、、」
お嬢様が居なくなってから、1年後フィンは他国の戦争に駆り出され、その屈強な肉体と精神で敵国を圧倒し、英雄となった。
しかし、英雄を慕う民からの声があまりにも大きく、王政に不満を持つものが現れた。
王はその言葉を止めるべく、あろうことか、母国のため戦った英雄の命を奪った。




