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第五章 一節 宮廷魔導士〜前編〜

すいません、初回から前編後編にわかれます。

五章から行間ひろくしてみました。


 今日はとてもいい天気だった。旅立ちには相応しい。そんな日に、私はブリテンにいく。そう、この死の螺旋から解放されるために…。




 

 見送りはいらないと言ったのに姉妹達は皆、ブリテンへのゲートまで来ていた。

 


『モルガン姉さん、気をつけてね』

 

「モノロエ、ありがとう」


 

 モノロエの挨拶を皮切りに他の姉妹達も順に挨拶し始める。マゾエを除いて。マゾエはなんだかモジモジしながら下を向いていた。



「じゃあ、行ってくるわね。さぁ、行きましょう、マーリン」

 

「ああ、行こうか」



 マーリンに声をかけ、ゲートに近づくとマゾエが大きな声で叫んびこちらに近づいてきた。



『モルガン姉さん!待って!これ!』



 手に持っていたブローチのような結晶の塊を渡してきた。



『お守り!きっと役に立つわ!』

 

「マゾエ…ありがとう」



 モルガンはマゾエに軽く抱擁した後、すぐにマーリンの元へ行く。途中もらったブローチを胸につけた。



「じゃあ、みんな。あとは頼みましたよ。早めに帰りますね」



 そういいながらマーリンの魔法でゲートを通過しブリテンに向かった。二人の後ろ姿に姉妹達は見えなくなるまで手を振り続けた。



 


 久々にブリテンに戻ったが特に変わり映えしなかった。変わったことといえば、ウーサー王がブリテン統一を大義にして戦争、侵略していることぐらいだ。



「久々のブリテンはどうだい?」


「特に変わってないわね」


「まぁ、1年くらいしか離れていないからね」


「そうね」


「さぁ、無駄話はやめて王に挨拶しにいこう。早く宮廷魔導士になってもらいたいからね」


「それって、自分の仕事を押し付けることができるからでは……?」


「ふふ、まさか〜」



 マーリンの顔に汗が流れ、表情が若干引き攣っていた。どうやら嘘が苦手なようだ。



 コーンウォールに住んでいた時に王宮のことはほとんど耳にしたことはなかったため、ウーサー王や城のことは何も知らなかった。

 ただ、アヴァロンで過ごした時間もあり、城を目の前にして驚いたりウーサー王を見ても特に何も感じなかった。

 マーリンと共に、玉座の間へと向かい王と謁見する。



「王よ、お久しぶりでございます」


 

 マーリンが深々とお辞儀をする。それをみたウーサー王は目に見えてわかりやすく喜んでいた。



「マーリン!久しぶりだ!どこにいっておったのだ?」


「少し故郷へ帰ってました」


「そうかそうか!いろいろ話したいことがあるが……横にいる美しい女性は誰だ?」



 ウーサー王は私をじっと見つめる。その瞳には邪な感情が浮かんでいるように見えた。



「こちらは私の弟子です。名はモルガンといいます」


「ウーサー王、初めまして。モルガンと申します」



 マーリンの紹介後、挨拶し軽く会釈した。そんな姿を見てウーサーは笑みを浮かべる。



「ほほぅ…いい女子だな……ふーん」

(後継ぎを産める女を探しているが、この女はいいな…)



 変な声が脳内に響いた。よくわからない声だ。声と関係しているのか…アヴァロンの女王であることが理由かはわからないが、ブリテンに戻ってから男性からの視線が妙におかしかった。自意識過剰かもしれないが、まるで周りの男性がみな自分に惚れているかのような視線を感じた。後でマーリンに聞いてみようと思う。



「失礼を承知ではありますが、ウーサー王にお願いがございます」


「ほう…お願いとは?」



 ウーサー王の表情が険しくなる。モルガンは話を続けた。



「数日前から辺境地で戦争をはじめたと聞いております。しかし、戦況はよくないと…。そこで、私が戦場に赴き戦争を勝利に導きましょう」



 ウーサー王は驚いた。なんせ初めて会った美しい女性がとてつもない事を言い始めたからだ。ウーサー王はモルガンに問いかける。



「そなたのような美しい女性が戦えるか?マーリンの弟子なら魔法は使えるとは思うが、自分より大きくて強い相手を倒せるとは思えないな…それに魂胆はなんだ?ただいいことしたい訳ではないのだろう?」



 さすがはブリテンの王、何もかも純粋に言われたことを信じる訳ではないとモルガンは思い、話始めた。



「それは心配無用です。私はこう見えて優秀な魔女です。どんな相手にも負けません。褒美と言ってはなんですが戦争を勝利に導けましたら、宮廷魔導士の職をいただきたいです」


「ほぅ……」



 ウーサー王は思いがけない提案に少しだけ驚いた。金品や土地を要求されると思っていたからだ。モルガンの瞳をじっとみる。澄み切った紫色に黄金の羽のような模様が入った瞳には、嘘偽りはなさそうだった。



「……わかった。ではそなたのいうとおりにしよう。まずは戦争を終わらせることができるかお手並み拝見だな」

(もし、失敗しても私の愛人にしよう。この者との間に子が生まれたらさぞすごい子が生まれるだろう)



 また変な声が聞こえた。いったい何なんだ?と思いながらもモルガンは会釈しながらお礼をいった。



「ありがとうございます、ウーサー王。ではさっそく行ってきます」



 モルガンはそう言って詠唱なしに魔法陣を足元に展開し、地面に吸い込まれるように消えてしまった。



「マ、マーリン!彼女はいったい……?!」



 あまりの瞬間的な出来事にウーサー王は腰を抜かした。



「モルガンはとても優秀な魔女です。私より遥かにすごい魔法使いでしょう。きっと、戦争を1日かからずに終結させ、ウーサー王から宮廷魔導士の地位をいただくことになるでしょう」



 マーリンはそういいながら、ウーサー王に軽く会釈してブリテン城下にある自分の自宅に戻るのであった。




 戦況は正直言ってよくなかった。辺境地にいる原住民を追い出して、土地を奪うことが目的だったが原住民はみたことのない武器を持っていてこちらには不利な状況が続いていた。しかも、古の魔法使いがいるようで魔法攻撃も仕掛けられこちらは負傷者が増える一方だ。ウーサー王に状況を報告し、撤退、仕切り直しを提案しても全然納得してもらえなかった。そんな日々が続き、兵士達皆、戦意喪失し戦場は数日冷戦状態が続いた。



 しかし、今朝になってまた魔法使いの攻撃が始まりそれを皮切りに原住民達が再び私たちを追い出すめに襲いかかってきた。動ける兵士が少なく、全滅を覚悟した時だった。空に魔法陣が現れ、一人の女性がゆっくりと魔法陣から現れる。女性は地上に降りることはなくずっと宙に浮いていた。



 敵か味方かわからないため警戒していると、女性は指を鳴らす。すると私含めた、全ての兵士達の周りに光のシャワーが降り注いだ。するとあっという間に傷が治っていく。なんなら足や指が取れていた兵士達のそれすらも元に戻っていた。



 周り含め皆、急な出来事に驚きを隠せない。そして、女性が人差し指で地面に線を引くかのように動かすと、引いた線の上に魔法壁が生じた。どうやらこれ以上、攻撃を受けないためのバリアのようだ。



 準備を終えたのか、女性は目を瞑り詠唱しはじめた。その間、原住民からの攻撃は続いたが女性には当たらず、私達にもあたらなかった。



 詠唱が終わったタイミングで女性が目を開ける。すると、原住民含めた全員が目の前から消えていなくなってしまった。魔法使いですらいない。



 あっけにとられていると、女性が降りてきて私に話しかけてきた。



「大丈夫ですか?みなさん」


「ええ、大丈夫です。あなたの治癒のおかげです。それはそうと原住民達をどうやって倒したのですか?」



 恐る恐る聞いてみた。すると女性を笑いながら()()答えた。



「え?見てましたよね?一瞬で捻り潰して殺しました」

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