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外伝四 重圧と解放


 昔から夢をよく見た

 それは予知夢に近いものばかり

 もちろん、関係ないものもある

 ママに言ったが一言で一蹴される


 ー妖精は夢はみないものよ


 そう言われると自分がおかしい存在に感じた。二度と夢の話をしないでおこう…そう心に誓った。

 しかし、この夢のせいか、私は女王代理を務めることになるのだ。ある日、胡散臭い魔法使いが家にやってきた。


「突然すいません。メロウはここにいますか?」


 魔法使いは私をたずねてきた。メロウは私だとヤツの前に名乗りでる。すると、ヤツは跪きこう言ってきた。


「突然だが、君に女王になってもらいたい」

『………は?』


 わけのわからない状態。私とママ、パパは城に連れていかれ事情を説明される。女王代理の素質があると言われ困惑する両親。どうしていいかわからない私。一晩、考えることになり帰宅した。

 帰宅後、家族会議をした。当然、両親は反対だった。だから翌日、魔法使いに反対の旨を伝えると意見をまとめそうそうに眠りにつく。

 その夜。また夢をみた。

 夢には女王であるティターニアが現れた。

 彼女が一言私にこう言った。


 ー次の女王に相応しいのはあなた。真の女王が現れるまでアヴァロンをお願いね


 夢のティターニアは私のおでこにキスすると消えていなくなってしまった。その瞬間、夢から覚める。

 夢で言われたことが忘れられず、翌日城にいって両親が説明してくれたのを遮り、気づけば女王になると発言していた。

 周囲は喜び安堵している反面、両親はかなり心配そうだった。

 けれど、私は両親にこう言い放った。


『大丈夫。私は立派に女王を務めてみせるから!』


 自信満々に言い放つ私を見た両親は承諾するしかなく私は夢のティターニアのお告げ通りに女王になった。


 素質があるだけで、正式な女王でない私を毛嫌いするものもいた。当たり前だが、正式な女王ではなく()()の女王だ。正式のように振る舞えるわけもなく、結果、アヴァロンの周囲にかかる霧も若干薄れ、古くからいる精霊達には、神秘性が低下していると言われた。

 目に見えて悪化している状況を理由に周囲は私の退陣を要求する。

 しかし、マーリンはじめレイチェル、オングス、城にいる大臣達がフォローしてくれたおかけでなんとか女王としての役割をこなした。様々な重圧にも耐え続けた。

 そう、次にくる正式な女王のために。


 そして時が過ぎ、戴冠式が開かれる。今日、私は女王という()()から解放されるのだ。

 よく頑張ってきたと自分を褒めながら戴冠式をこなしている最中、窓の外で何かがキラッと光る。

 その瞬間、胸に痛みが走った。

 痛すぎて気を失いそうだ。

 周囲が騒がしい。きっと治癒をしながら城内の混乱をおさめているのか。

 周りか暗くなり、少し寒くなってきた。

 これが“死”なのかな…なんて考えていると、暗闇の中に一筋の光が現れる。その光からあの()()()声が聞こえてきた。


 ーメロウ。お疲れ様。よく頑張りましたね。でもこんなところで死んではいけません。さぁ、あなたを待っている人がいるから、行きなさい


 光の筋から伸びた白い手が私の頭を撫でた。

 温かい…それはあの日のキスを思い出すようだった。

 白い手が離れ、光の筋に戻ると筋は道のように広がる

 なぜか歩かなければと思い立ち道なりに進む。

 早く行かなくては…そう何かに駆り立てられ走り始めた。

 走って…走って…走って…。

 強い光を放つ場所へ飛び込む。

 気がつくと、病室のベットの上だった。


『……ん?ここは?』

『は!メロウ様、お目覚めになったのですね!お医者様を呼んできます!』


 レイチェルが走って病室から出ていく。

 自分で上体を起こし、胸や体のあちこちを触り確認する。特に問題なさそうに思えた。

 あの胸の痛みはなんだったんだろうか?そう考えているとレイチェルが呼んできた医者がきた。

 医者からの診察後、数日で退院できると言われた。

 レイチェルからは今までの経緯を聞いた。

 モルガン達には感謝しなくてはならないなと改めて思った。


 しばらくは病室で療養が必要とのことで、数日病院にお世話になることになった。その間いろんな人がお見舞いに来てくれたりして嬉しかった。

 退院の前日、オングス様が病室に来てくれた。


『メロウ、大丈夫か?』


 柄にも無く花束を持ってきてくれた。レイチェルが花瓶に飾ってくれるとのことで部屋を後にする。


『オングス様、ありがとうございます。大丈夫です。モルガン達9姉妹のおかげで異常はなさそうです』

『そうか…』

『……………』


 女王に就任した際、オングスとは世間話のようなものをあまりしたことがなかった。だからこうして二人きりになり、女王を退任した今、何を話したらいいか悩んでしまう。数分たって、オングスが沈黙を破った。


『メロウ、お前はよくやったよ。周りはいろいろ言ってたけど、充分やりきったと思う』


 オングスから労いの言葉が出たことに驚く。ただ、お世辞でそんなこと言う人ではないため、本心だと理解する。


『ありがとうございます。私は自分ではダメダメだと思ってたんですが、オングス様にそう言われたら…自分を褒めようと思えます』

『ふっ…そうか。退院までゆっくりして、退院後は好きに生きたらいいさ』


 オングスは少し微笑み病室を後にした。


 女王になる前はやりたいことなんてなくて、日々生きていた。だけど重圧がかかる役割を全うした今、私は何がしたいのか改めてゆっくり考えようかと思う。

 それまでは解放されたこのひと時を噛み締めながら過ごしたいと思うのであった。

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