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第四章 九節 聖剣鋳造

誤字とわかりにくいところがあったので修正しました。

読みにくくてすいません。


 モルガンの発言を聞いて、妖精達は口々に話し始めた。伝承を信じていたもの、手のひら返すもの、いまだに8姉妹をなじるもの…様々だ。モルガンは再び発言した。


『私はアヴァロンの女王だ。何か不満があるものは私に言いにきなさい。私は9姉妹の長女として、8人の姉妹達を誇りに思っています』


 女王にそう言われて反論できるものなどいなかった。そこから戴冠式はモルガン、レイチェルの誘導のもと無事終えることができた。

 メロウは呪いの影響かしばらく眠っていたが、数日経つと目を覚ました。特に問題は無さそうで、皆が安心をした。

 オングスはいまだにメロウを暗殺した者が誰かを調査してくれているが、犯人特定には至っていない。ルフェやカハルに現場を見てもらったりして、調査してもらったが何も分からなかった。

 8姉妹達はモノロエが持っていたガラス玉を握ることでモノロエと同じように真実を知ることができた。

 皆、涙し互いに褒め合った。そして改めてモルガンと話をし、9姉妹としての絆を深めあった。

 戴冠式では様々な出来事があったが、無事にモルガンは9姉妹の長女、アヴァロンの女王となった。女王になってからは女王としての職務を果たす傍らでブリテンに戻り掲げていた目的を達成するための準備をしていた。



「この辺りかしら…?」


 モルガンは浮遊しながらとある場所に向かっていた。そこはアヴァロンの辺境にある洞窟。誰かが住んでいそうな雰囲気はあるが、いい暮らしをしていそうではない。

 洞窟からは鉄を打つような音が聞こえてくる。


「ここは岩がゴツゴツして歩きにくそうだね。飛びながら中に入ったほうがいいね」


 肩にいるルルがそういったので言う通りにすることした。

 浮遊しながら洞窟の中へ入っていくと一人のドワーフが鉄を打っていた。誰かが来たことを察知したのか、ドワーフが鉄を打ちながら話かけてきた。


『どこの誰か知らんが何しに来た?ここはしがない職人の工房だ。鉄を打ち、武器をつくり、細々と暮らしておる。武器が欲しければ、他をあたりな。ワシがつくる武器は普通の妖精には扱えないさ』


 こちらを見向きもしなかった。モルガンは何の感情も出さず淡々と話しかけた。


「私は武器はいりません。かわりといえばなんですが、武器を作りにきました。あなたの()()()()()をお貸しください」


 その言葉に反応し、こちらを向くとドワーフは驚いた。なんせ目の前には最近女王になった者がいるのだから。


『たまげた…中継でみた時はそこまで感じなかったが、近くにくるとわかる。そなたは恐ろしい魔力を持ちながらも妖精達を統治、保護する精神力をお持ちだ。なるほど…女王に相応しい人なんだな…』


 ドワーフは鉄を打つのをやめ、隣にある穴に入っていった。数分後、お茶を持って戻ってきた。


『女王様、申し訳ない。もてなすほどのものはないがお茶くらいはだそう』


 妖精達の間で流行っているお茶が差し出される。辺境で暮らしてはいるが、流行りには敏感のようだ。


「ありがとう。気にしなくていいわ。それよりさっきのことだけど…」


 モルガンが話を切り出すとドワーフもお茶を一口飲んでから話始める。


『女王様がどこで工房を知ったかは知りませんが、あれは並大抵のものが使用できるものではないのです。私ですらほとんど使ったことがないので、女王様に助けを求められても助けることができるか自信はないです。それに…工房で何を作るのでしょうか?』


 ドワーフはモルガンに恐る恐る質問してきた。モルガンは平然と答える。


「私は“聖剣”を作るために工房を借りにきました」

『せ、聖剣!』


 ドワーフは持っていたカップを落としそうなほど驚いていた。


『女王様には失礼ですが、聖剣などは作るのが難しいでしょう。確かに工房でつくるに値するものではありますが、つくることができるかはわかりません…』

「ええ、そうですね。でも私にはやるべきことがあって、そのためには聖剣が必要なんです。あなたに助けは求めません、工房だけお貸しください」


 モルガンは頭を下げた。ドワーフは慌ててモルガンの頭を上げさせる。


『女王様!こんなことで頭を下げないでくれ!わかった、工房を貸そう。その代わりワシは何もしないぞ』

「ええ、大丈夫。ありがとう、ええっと…」

『すまんすまん、ワシはドグルという』

「ありがとう、ドグル。お礼と言ってはなんですが、あなたの願いを一つ叶えます。何か願いはありますか?」

『な!お礼など不用だ』

「いえ、あなた方ドワーフが大切に守り使ってきた工房を借りるのです。お礼しないと私の気がすみません」

『むむ…』


 ドグルは白く長い顎髭を触りながら考える。数分後、モルガンに話しかけてきた。


『ワシの一族は、鍛冶屋の一族だ。武器や道具を作る仕事をしているが、やはり鉄を打つ環境がない。だからこんな辺境で洞窟暮らしをしている。他にも同じような職人がたくさんいるのじゃ。だから…ワシらのような職人が仕事しやすく暮らしやすい街か何かをこしらえてくれんか?』


 ドグルは自分自身かなり規模のでかい依頼をしたなと思った。しかし女王はすぐに返答する。


「わかりました。街をつくりましょう」

『即決!いいのか?』

「はい、いいです。元々辺境地に住む妖精達から様々な依頼が上がっており、日々依頼を叶えるようにしています。同じように街が欲しいと言う妖精達もいるので、同じ要領で街をつくります」

『女王様…ありがとう…皆も喜ぶよ』


 ドグルは目に涙をため頭を下げた。モルガンは人差し指をたて、指に向かって息を吹きかける。すると人差し指から小さい精霊が現れた。


「リリィ、モノロエ達に伝えてきて。街をもう一つ再建すると」


 リリィと呼ばれた精霊は頷き、すぐにどこかへ消えてしまった。


「これでよし。では、ドグル。工房へ案内してください」

『わかった』


 ドグルは鍵を持ちながら洞窟の奥へとモルガンを案内した。長い岩の道を歩くと、鉄で出来た扉が見えてくる。扉の鍵穴に鍵をさし回すと扉が開く音がした。


『さぁ、入りますぞ』


 ドグルが扉を押す。ゆっくり開いた扉から中に入ると、そこには巨大な工房が広がっていた。


『ワシも久々に入るが、相変わらず綺麗で整っておる』


 ドグルが中央にある鍛冶場に向かっていく。モルガンは後に続いた。階段が下へと連なり、中央へと向かっていた。道なりに歩くと鍛冶場に到着した。


『ここの鍛冶場の使い方に決まりはありません。作りたいものと作る資格のある者に釣り合いが取れていれば何でも作れる。ワシはこの辺りで見ておくから、女王様は中央までいって作業してくれ』


 そう言われてドグルはその場に座りこんだ。モルガンはそのまま中央に進みつつ、設計図をポケットから出した。設計図には作り方と材料が書いてある。材料は姉妹達と協力して集めた。あとは、材料をもとに作れるかだけだ。

 中央の作業場に着くと、モルガンは設計図を見つつ作成する聖剣をイメージする。お伽話で出てくるような剣ではなく、使いやすくて、威厳があるような、特殊な剣…イメージしていると材料と設計図が宙に浮き、鍛冶場に吸い込まれてしまった。モルガンはそんなことは気にせず、集中しながら剣を想像する。ある程度イメージが整ったと同時にひとりでに道具達が動き、剣を作りはじめた。


『なんと…!初めてみる光景だ…本当に聖剣ができるのか…?』


 数時間、道具達は動き続けとあるタイミングで鍛冶場から光が放たれた。モルガンは放たれた光の端を掴み、引き抜いた。引き抜いたものは剣であり、剣は煌めきを放ち、聖剣に相応しい出立ちをしているであった。

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