第四章 二節 試練〜後編〜
やっと試練おわります。
扉から出ると再び試練を選ぶ部屋に戻った。二つ目の扉も椅子に変わっていた。
「さぁ、最後の試練ね」
最後の試練の扉の前に立つ。すると、扉の前に文字が浮かび上がってきた。
ーー制限時間内に敵を倒せ。何をしても構わないーー
「へぇ…じゃあ、ありったけの魔力を解放してやろうかしら?」
入る前から挑発的な発言をするが、実際にするかは中に入ってから決めることにした。
「さぁ、最後よ」
最後の扉を開けて中に入る。そこは先ほどルフェの記憶でみた戦いの場だ。
「ここは…カムランなのかしら?」
正解がわからない上に誰もいないため、聞いても仕方ない。敵は見当たらないので、しばらく歩いてみることにした。辺鄙な草原が広がっており、モルガンはひたすら歩いた。すると大きな建物が見えてきたので、建物を目指してさらに歩いた。そして、建物の近くに来て気付いた。その建物は試練のために作られた城と同じ建物だということに。
「これは私が入った城…どういうことかしら…」
城の前で立ち尽くしていると、空から何かが落下してくる気配を感じた。何かが孟スピードでこちらに向かってきている。ギリギリまで耐えて、寸前で避けた。落ちてきた何かは地面に衝突し、その衝撃で地面がへこみ砂煙が立ち込める。
「何がきたのかしら?」
煙で見えないが風が吹き、徐々に姿があらわになる。
「な、なんなの?」
そこにはクリスタルで出来たゴーレムが立っていた。透き通るように美しいクリスタルが輝きを放つ。その振る舞いは騎士そのもので、まるで誰かを守っていたかのような雰囲気を漂わせていた。
「こいつを倒せ、なんでもしていいか…制限時間は……」
時計などないがあたりをキョロキョロと見渡してみる。すると、ゴーレムの頭上に赤色で“30分”が表示された。
「30分以内か……よし!」
モルガンが構える。
「まずは、これを受けなさい!」
モルガンの両手から光の玉がいくつか飛び出し、ゴーレムめがけて投げられた。ゴーレムに当たるも、効いている様子はない。タイマーはすでに動きだしており、リアルタイムで時間が減っていく。
「さすがにやられないわよね…次はこれよ!」
そう言ってモルガンはあらゆる魔法を放ちゴーレムを攻撃した。が、クリスタルという硬い素材から構成されているからかなかなか致命症に繋がらなかった。
「ふぅ…効いてないわね。時間は?」
タイマーを確認する。残りは“20分”だ。
「何をしてもいい……よし!」
モルガンはマーリンとの修行で学んだ“解放”を思い出す。
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「モルガン、君の魔力は底なしだね」
マーリンはいつもの戯けた感じで言ってきた。
「私自身はあまり何も感じてないんですが…」
「こんなに魔力を使っているのに疲労を感じている気配もない。それどころか魔力を放出できて気持ちいいぐらいに感じているように思う…いやはや、敵に回したくない人No1だね」
ケタケタと笑いながら話す。
「底なしだからこそ、威力のある攻撃を何回も放つことができるね。国を滅ぼすような大魔法を何回も、何回も…それはどこかで上手く利用できるはずだ。だから、機会を伺ってやればいいさ」
「……………」
「どうしたんだい?」
「確かに魔力が常に溢れてくる感覚があって、大魔法もうてるでしょう…ですが、やはり制限がないといけないのではないかと思いまして。大魔法を打ちすぎて、魔力が暴走して誰も止めれなくなると…甚大な被害がでるのではないかと思うのです」
「なるほど…一理あるね。そうだね…ではこうしよう。自分で制限をかけるんだ。魔力の量に対して、ここまで使ったら数分動けなくなるような魔法をかけるとか…暴走しかけたら、意識を失うようにするとかね」
「自分で制限をかける…その手はなかったです」
「自分で制限をかけて、この後の修行の続きをしてみたら?」
「そうします」
モルガンは自分で制限を考えた。ブリテンを一撃で吹き飛ばすほどの大魔法を行使するのに使用する魔力は1000ぐらいだ。これを使用したら、オーバーヒートということで1分は魔法を使えなくなるように自分に枷をかした。
上記のようにいくつかの段階を決め、制限を設ける。そして修行ではこの制限と上手く付き合いながら大魔法を行使する修行を行った。これにより、魔力を上手に支配しつ解放も行えるようになったのだ。
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「ゴーレムにどれくらいの魔法が効くかはわからない…けど騎士のようなやつにはかなりの力をぶつけないと勝てない気がする…」
そう言ってモルガンは地面に魔法陣を浮かばせた。その中に入ることで、物理的に攻撃を受けないようになる。魔法陣の中で目を閉じ、詠唱する。
ーー第三の鎖よ
ーー私の前に現れよ
モルガンの前に光の鎖が現れる。それを片手で握り潰した。鎖は粉々に砕け散った。
ーー光よ、聖なる光よ
ーー私敵を撃つものなり
ーー私光を操るものなり
ーー私力を示すものなり
ーー私の元に集え
ーー光の槍よ
複数の光の槍が上空にあつまり、一つの巨大な槍を作り出していく。それをみたゴーレムは勢いよく走り出し、モルガンに突進してきた。が、魔法陣のおかげで攻撃は弾かれる。モルガンは詠唱を続ける。
ーー集いし槍は一つとなり
ーー全てを貫くだろう
ーー行け(ゆけ)
光の槍の先はゴーレムへと向く。ゴーレムはひたすら魔法陣に体当たりをしていた。モルガンが目を開け、唱えた。
【――聖なる光の槍の一撃】
槍はゆっくり進み徐々にスピードをあげてゴーレムに向かっていく。ゴーレムは体当たりをやめ、障壁をつくった。が、槍がゴーレムに触れた瞬間にゴーレムはバラバラになり光の槍が道のように地面に刺さりながら広がっていった。威力は凄まじく、魔法陣がないと吹き飛ばされるくらい衝撃波が発生していた。衝撃波がなくなり、目の前がひらけるのにかなりの時間がかかった。モルガンは地面に散らばったクリスタルを見て、試練は達成できたはずと思った。モルガンの気持ちが通じたのか、クリスタルの破片の上に最後の紙片が置いてあるのを見つけた。
「最後ね」
紙片を拾い、先に回収していた紙片とくっつけると、一枚の設計書ができあがった。細かく文字で書いてあるが、今はまだ読まない。他にやるべきことがあるからだ。
「さぁ、でてきなさいよ。冠、試練は達成できたわ」
モルガンは空に向かって話しかけた。すると一瞬で扉を選んだ部屋に移動した。最後の扉も椅子になり、真ん中の椅子の前に台ができており、そこには黄金に輝く冠が鎮座していた。
『おめでとう。あなたならできると信じていたわ』
冠から声が聞こえる。どうやら冠が話しているようだ。
『あのゴーレムは私の騎士で国一つ滅ぼすくらいの力をうけても立てるくらいの硬さを持っていたんだけど…あなたにとっては余裕の相手よね』
「いや、そんなことは…」
『謙遜はいいわ。モルガン、よく試練を乗り越えましたね』
優しい声で冠は賞賛の言葉を述べた。
『そんなあなたに伝えないといけないことがたくさんあります。何故、試練を受けないといけなかったのか、アヴァロンの歴史やこれからおこるであろうことについて…そして私のことも』
冠から映像が映し出される。それは美しくて聡明な妖精の姿だった。
『ごきげんよう。モルガン、私が初代女王のティターニアです。あなたと会えるのを楽しみに、心待ちにしていたわ』
妖精はモルガンの前で小さく会釈をしたのだった。




