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第四章 二節 試練〜前編〜

前編、中編、後編に分かれます。1本1本が少しだけいつもより長めです。


 壁を透過し、次元の狭間を駆ける白馬の馬車は、やがて箱庭ヴォーガーデンの深淵へと辿り着いた。


「ついたようね…」


 モルガン、ルルは馬車から降りる。降りた目の前には巨大な城が聳え立っており、城以外は何もなかった。城の入り口は大きな門で閉ざされており、そこにはカハルが立っていた。


『モルガン、着いたな。ルフェは自分のアジトに戻ったからここには私だけだ』

「そうですか…」

『この城は冠がつくった城だ。試練のために自ら作ったようだ。このような綺麗なものは箱庭(ヴォーガーデン)には不用だからな』


 よくみると、周りが暗かったからよくわからなかったが近づくとブリテンのキャメロットにある城に似ている気がする。


『ここから先はモルガン1人でいけ。その猫はここで留守番だ』

「わかりました、ルル、いい子で待っていてね」

「わかったよ。元々着いていく気はなかったさ。私はルフェの近くにいよう。終わる頃に迎えにいくよ」


 そう言ってルフェは暗闇の中を歩いていった。


『あの猫、禍々しい気を放っているな。一匹で戻れるかと心配したが、あの気なら大丈夫そうだな』


 カハルはふっと笑った。


『モルガン、中には試練が待っているだろう。冠は乗り越えられる試練しか与えないはずだ。だから失敗することは考えなくていい。どう乗り越えるかだけ考えろ。さぁ、行ってこい』


 そう言ってカハルは霧のように一瞬で消えた。


「入ろう」


 固く閉ざされた門を強く押す。扉が開き中へ入った。入った瞬間、門が勢いよく閉まった。中はというと壁にいくつか明かりがあり、薄暗い空間が広がっていた。床には赤いカーペットがひいてある。入り口から一つだが、途中から三つにわかれておりその先には木でできた普通の扉があった。それぞれの扉の中央にマークがある。左から、“ナイフ、マスク、杖”のマークが彫られている。


「3つの試練ってことかしら?どこからでもよさそうね。じゃあ左から入りましょう」


 モルガンはカーペットを進んだ。コツコツとヒールの音が静かな空間に響く。進み続け左の扉の前に立った。


「……いきます」


 そう宣言し、扉を開け中に入った。すると、見覚えのある光景が広がっていた。


「ここは……コーンウォールの地下室!」


 目の前にはかつて住んでいた城の地下室が広がっている。地下室はしつけ部屋でモルガンはよく言いがかりをつけられて地下室に閉じ込められていた。そんな地下室の真ん中あたりの天井から巨大な植物が生えており、床にまで枝を張り巡らせていた。天井付近に根本のような大きな塊があり、逆さまに木が生えているような状態だ。

 巨大な植物からは瘴気のようなものがでており、地下室全体に蔓延していた。


「これは…毒素ですね。長時間吸ってると死んでしまいますね。とりあえず、解毒の魔法をかけておこう」


 モルガンは自身に解毒の魔法をかけたが、かからなかった。


「あれ…?かからなかった。どうして…?」


 考えている間にもどんどん瘴気が溜まってくる。


「どうすれば…」


 悩んでいると、植物が生えている近くの空中に文字が浮かび始めた。


 ーー毒で死に至る前に、植物を切除せよーー


「なるほど、解毒する前になんとかしろってことね」


 モルガンは不本意ながらも納得した。


「とりあえず、攻撃してみましょう」


 植物なので火に関連する魔法であたりの伸びている枝を焼いた。しかし、焼いても瞬時に再生してくる。と同時に無数の枝が鞭のようにしなりモルガンに伸びてくる。飛びながら避けるがスピードが早くいつ当たってもおかしくない。

 

「くっ…はやい。再生するなら、急所一点を狙うしかないわね。怪しいのは瘴気が出ている根本ね…」


 毒が回りつつあるのか呼吸が苦しくなってきた。少し咳もでてくる。


「げほっ…時間がない。“あれ”を使おう…」

 


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 

 それはミハの発言からインスピレーションを得た技だった。ミハの元で医術を学んでいる最中、1人の戦士が病院に駆け込んできた。


『ミハさん!連れがやばい!早く見てくれ!』


 駆け込んできた男は負傷した男を背負っていた。


『早くこちらのベッドに乗せろ』


 ミハはそう言ってベッドへと誘導した。ベッドに乗せられた男は少し傷があるくらいだが少し苦しそうにしていた。


『毒でも盛られたか?』


 ミハが丁寧にかつスピーディに診察していく。傍らにいた戦士が話し始める。


『いや、毒は盛られていない。ただ、敵の目眩しくらって少したった後、急に苦しみだしたんだ!』


 ミハは返事はしないものの話は聞いており、原因を探っていた。しかし、思い当たる症状はない。


『ちっ!モルガン、頼みがある』

「はい、なんですか?」

『患者の魔力の乱れ、追えるか?』

「魔力の乱れ?」


 初めて聞く単語だ。ミハは話を続ける。


『魔力を持つものは人間でいう血液のように魔力を体内で循環させている。だが、なんらかの作用で魔力に乱れが生じて魔力が体のどこかで滞っている場合がある。その場所がわかれば、滞りを解消し、よくなる場合があるのだ。魔力を追うのは魔力量が極めて高いものや魔力を高感度で感じ取れるものしかできない技だ。モルガン、やったことないと思うができるか?』

「……やってみます」


 モルガンは目を閉じ患者に触れる。患者が纏う魔力から魔力の流れを追う。が、上手く流れが掴めない。手こずっているモルガンを見てミハは助言をしてきた。


『モルガン、無理に掴もうとするな。流れからわからないなら点を見つけろ。集中して、滞っている1点を見つけるんだ』


 そう言われて一度深呼吸をしリセットする。肩の力を抜き、目を閉じ集中して一点を探す。まるで聴診器をあて雑音がでる場所を探すかのように丁寧に探す。すると、一点、栓がしてあるような場所を見つける。


「見つけた……」

『よし、そこに強い魔力を当てろ!魔力を当て、栓を外せ!』


 そう言われてモルガンはありったけの魔力をボールのような形に収束させ、栓に向かって放った。


『ぽん!』


 ワインのコルクを抜いた時のような爽快な音が鳴る。それと同時に患者は落ち着きを取り戻し、眠り始めた。


『ふぅ…なんとかいけたな』

『ミハさん、モルガンさん、ありがとう!こいつは俺の友達(ダチ)でずっと一緒に戦ってきたんだ…助かってよかった…』


 患者をつれてきた男は泣きながら感謝した。


『モルガン、ありがとう。私は魔力量はそんなにないからお前がいなかったらあの患者は助からなかっただろう…』

「そんなに魔力の乱れは重症になるものなのですか?」

『さっきいったろ?魔力は人間でいう血液みたいなものだって。血液も止まると人間は死ぬだろう?』

「ええ…」

『モルガン、魔力をもつ者は魔力に縛られる。それを覚えておけ』

「……はい、わかりました」


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「魔力をもつ者は魔力に縛られる…だから!」


 モルガンは植物の枝を素手で掴む。枝は捕まえたと言わんばかりにモルガンの体に纏わりついた。


「………集中」


 深呼吸をし、目を閉じる。枝はモルガンを締め付け始める。毒と締め付けで苦しいが呼吸を乱れさせないように集中する。そしてありったけの魔力を体から放出した。放出した魔力は植物の根元付近から内部に入っていく。入った魔力は中で膨れあがり、やがて栓…つまり滞留点をつくるにいたった。魔力が乱れたせいか、植物の動きは止まり瘴気もでなくなった。


「魔力を逆に与えて、滞留点をつくればいい…そして、そこにダメージを与えれば…!」


 モルガンは絡みついた枝を燃やして床に降り立つ。そして呪文を唱え始める。


 ーー聖なる力よ


 ーー(ワレ)の前に集結せよ


 ーー全て一つなり


 ーー(ワレ)を助ける刃となれ


 モルガンの前に魔法陣が徐々に現れ、全ての模様が露わになる。


 【――聖なる光の一撃ホーリー・ブレード


 光の刃が魔法陣から放たれ、滞留点を通過する。一見、刃でとある箇所に切り込みを入れたような攻撃であるがモルガンの魔力が栓になっている箇所に、モルガンの魔力で作られた一撃がぶつかることで内部破裂を起こしたようになり、植物は滞留点から木っ端微塵に砕けた。


「ふう……」


 モルガンがほっとしていると、植物の根元があった箇所から1枚の紙が落ちてくる。


「なにかしら?」


 紙は破られており、他のページと組み合わせると何かの資料になるようなものであった。紙にはこうかかれていた。


聖剣(エクスカリバー)の鋳造方法…」

 

読んでくださってる方ありがとうございます。

拙い文章で読みにくくすいません。

感想いただけると励みになりますのでよかったら書いてください。

ちなみに、第四章でストーリーの折り返し地点となります。

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