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くもりぞらと青春  作者: 悶々とするmou 


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1/1

後悔

俺は後悔していた。


 中学三年から高校三年までろくに異性としゃべらなかった。


 たかが、六年。


 されど六年。


 


 社会からの置いてきぼり感は計り知れなかった。


 ただでさえ、社会とのかかわりが薄かった自分にとっては重い真実。


 社会から断絶されるのにそう時間はかからなかった。


 


 きっかけはコロナウイルスの流行。


 小学校では割と人を率いる側の人間だったのだろう。


 まあ、子供の時ってのはあまりカーストとかを気にしない。


 


 だから、率いる側に居られたってのもあるんだろう。


 


 思い返せば小学校の時いやだった記憶ってのはあまりない。


 


 決定的に変わったのは中学からだ。


 コロナウイルスの蔓延。


 それに伴う緊急事態宣言の発令。


 


 人々は外に出なくなった。


 ただでさえ、引きこもり気味だったのに完全に引きこもりになった。


 


 家で一生アニメを見続け、腹が減ったら飯をくらい、風呂に入って寝る。


 人と話すのはすべてリモートで。


 怠惰な生活を送っていた。


 


 俺から表情筋とコミュ力を容赦なく奪っていった。


 


 まあ、そっからは言うまでもないだろう。


 こけた。


 大こけした。


 


 本来中学は小学校からの延長線上にあるものだと思っていた。


 違った。


 蓋を開ければ、コミュニティの形成。カーストの形成。陰キャ陽キャ。


 その為だけに人付き合いよくしてたやつもいたもんだ。


 


 俺はそんなことつゆ知らず、小学校と同じように話しかけていた。


 


 あの時の俺は社会にもまれるには、あまりにも世間知らずで、そして綺麗すぎた。


 


 結果、中一の中盤で不登校。


 勿論彼女などおらず、引きこもった。


 


 そこから現在二十三まで断固として引きこもっていた。


 特に中学一から三年の間が酷かった。


 荒れに荒れ、あばれに暴れた。


 


 完全に心折れてしまった俺は病んでいた。


 そして、当時うつ病をなぜか恥ずかしいこと。


 人に言えないこと。


 そのように認識していた俺はなかなか周りに言い出せず、親にも言い出せなかった。


 


 まあ、親はわかっていたかもしれんが、


 


 生きてるのか死んでるのかずっと分からなかった。


 何をしても高揚しない。


 高揚も、喜びも、興奮も何も感じない。


 だから、悲しみも、苦しみも、焦りも感じない。


 


 余りにも痛みに慣れ過ぎて、鈍くなっていた。


 


 でも、時々家に居てふと感じる。


 


 「自分は何をしているんだろう」


 


 一度考えるともう止まらない。


 ネガティヴに思考が侵されていく。


 


 周りに追いつかないとという焦燥感と、自分は何もできない価値ない人間という自責と、そんな価値ない人間を何で生んだのかという他責。


 


 この感情を五百倍に凝縮したものが感情の波と共に強烈に押し寄せて来るのだ。


 


 とてつもない苦痛だった。


 いっそ殺してくれと確かに思う。


 


 特に何で生んだのか?この問いに対するアンサーは簡単だ。


 親が産んだから。


 簡単で明白。


 答えが分かっているから、親を遺恨なく責められる。


 


 当時ゴミみたいな俺は怒鳴りつけるように「なんで生んだんだよっつ!」


 そうことあるたび言っていた。


 


 今思い返すと本当に申し訳ない。


 


 当時の俺の心情を記すとこんなところだ。


 「そもそもなんでこんな目に合わなきゃいけないのか=生まれてきてしまったから」


 「生んだ親に責任がある。そもそも、まともに育てられないなら生むべきじゃない。」


 「自分にも悪い点はあった。でも、こんな思いをさせるような親はもっと悪い。」


 


 手軽で簡単。


 そして自分の今の境遇をすべて他責にできる魔法の言葉。


 「生んだ親が悪い。」


 


 今だったら、舌を食いちぎってもそんなことは言わない。


 ただ、当時に俺がそうできたか、と言われると少し酷だ。


 


 死んだ魚の目で、生きてることが死んでることと同義と思っている顔で、全世界の人間を殺戮しようとしていた少年には少し辛い。


 


  ただ、ニュースで殺人事件などを見るたびに思う。


  自分がこの映像に移らなくてよかったと。


 いや、本当にそう思う。


 一歩間違えれば、いや、半歩でも踏み外していたら俺はこうなっていた。


 


 遠い誰かの事ではなく、自分の事のように感じられた。


 


 本当に他人事ではなかった。


 


 まあ、そんな途方もない人生を歩んでいた。


 


 今更何かになる気などないし、何かを成したいとも思わない。


 幸い家族とは和解することが出来た。


 今際の際が無言なんて嫌だしな。


 


 このまま親の介護でもして、ゆっくり死んでいこう。


 そう思っていた。


 


 ただ、思い残したことが一つ。


 青春してみたかったな。


 とは、思っていた。


 


 二十三にもなって、俺は未だに童貞だ。


 情けない。


 一度でいいから、恋というものをしてみたかった。


 


 思えば色好き始めたのはいつだったのだろうか。


 確か、あれは小学三年生の時。


 当時好きだったゆみちゃんにラブレターを書いたのだっけ。


 


 ロングヘアーにたれ目。


 俺のタイプにバチコリはまった。


 当時、まだガキだった俺には直接呼び出して渡すなんて難易度が高かった。


 


 なので、靴箱に入れておいたのだ。


 


 だが、翌日俺のラブレターだったものは無残な姿で発見された。


 あの時の記憶はいつまでも忘れないことだろう。


 


 全部が全部だめだったわけじゃない。


 そんなことはわかってる。


 ただ、もっとできたことはあったはずだ。


 


 だからこそ、もう一度青春をしてみたい。


 二十三のおっさんのそんな戯言だ。


 


 大体こういう回想の時、自分の名前とか容姿とかが描かれるのだろう。


 だが、俺は何を隠そうおっさんだ。


 そして現実と二次元の区別はついている。


 


 二次元は三次元に飛び出してくるが、三次元は二次元は入れないのだ。


 なので、交通事故で、、、


 そんな展開はきっとない。


 


 そう、思っていた、、、、


 


 


 


 


 


______


 


 


 


 


 


 


 やはり何もなかった。


 いつも通り家に帰って、風呂入って、寝床についた。


 一生変わることのない普遍的な生活。


 俺の身の丈にはきっとこれがあっているんだろう。


 


 俺は眠りについた。 


 

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