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◆ 第2-1話 事件 ◆


 「事件だ事件だ! 大事件だぁぁぁああああッ!!」


 昼休み、校内では新聞部が特大号と評して紙一面にある事件を記載した。

 それは朝礼前の朝に我が校の天使、時乃未来の恋人誕生を記した内容だ。

 

 新聞は学校全体に配布され1年から3年、噂では一部の若い男性教諭までもが悲痛の叫びをあげたという。


 「一体誰だ! 我らの天使を奪った野郎はッ!!」

 「どうやら1年の前野とかいう奴らしいぞッ!」

 「前野? 聞いた事がないな」

 「どんな奴なんだ前野っていうのは!」

 「あの時乃さんが普通の一般人を選ぶはずがねぇ。 きっとその前野ってやつに脅されてるんだ!」

 「そうだ! きっと前野は時乃さんの弱みを握って無理矢理に恋人になるように強要したんだ!」

 「許せねぇ前野とかいう犯罪者野郎ッ! 俺達で時乃さんを助けるぞッ!!」


 「「「 オオォッ!!!! 」」」


 バットや竹刀など部活動で使用する道具を色々と持つ運動部と何やら危なげな液体を手に他の生徒達に配る文化部が世壱のいる教室へ惜しい寄せてきた。


 「前野ってやつはいるかッ!!」


 中でも一番に教室に怒鳴り声をあげて入ってきたのは頭に時乃ラブと書いた鉢巻をして背中にハートに未来と記載されたシャツを着た大男が来た。

 因みに彼はこの学校の2年生で時乃が入学して最初に告白をした男だ。


 「前野くんなら昼休みと同時にクラスの男子達に襲われてそのままどこかに逃げて行きました」

 

 答えたのはクラスの女子生徒。

 メガネをしているが、それが隠れるくらいの伸ばした前髪が印象的なThe・委員長だ。


 「なぁにぃ?? よし野郎共ッ! 前野を探せッ! なんとしても我らが天使(時乃さん)を御救いするのだッ!!」

 「「「 オオォッ!! 」」」


 ドシドシと地ならしのような音を大勢で廊下を震わせながら男達は教室を後にした。


 「・・・もう出てきても大丈夫ですよ。 前野くん。 西条くん」

 

 教室の窓際の端にある掃除箱がガタガタと音を出して扉が開く。

 そこには男同士が真顔で抱き合っている世壱とマサルの姿があった。


 「助かったよ委員長。 ありがとう」

 「お礼を言われるような事はしてません。 ただ、哀れすぎて思わず助けてしまっただけです」

 「相変わらず男子に対して辛辣だね~川上さんは」

 「西条くんはもう少し真面目に学校生活を送るべきだと思いますが」

 「テヘ。 怒られちった」

 「・・っていうかお前はいつまでしがみついてるんだよ。 いい加減離れろよ」

 「そういう世壱だってオレから離れようとしないじゃ~ん」

 「お前が先に出ないと俺がここから出られないんだよ」

 「え? オレも世壱が出ないと出られないんだけど?」

 「「・・・」」


 世壱とマサルは何も言わずに委員長に助けを乞う視線を向ける・・が、委員長は前髪隠れたメガネを上げて2人と視線を合わせる。


 「バカなんですか?」

 「「 すみません 」」

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