●2022年6月
2022年6月18日(土)
梅雨入りして二週間。今日も朝から雨が降っている。
この季節は特に気分が沈みがちだ。洗濯物は乾かないし、髪はうねるし、なんとなく憂鬱な気持ちになる。
午前中はずっと原稿を書いていた。七月号の「コロナ禍で変わった私たちのライフスタイル」という特集記事。在宅ワークが定着したことで、部屋着へのこだわりが強くなったという内容だ。
確かに私も同感だ。以前は家ではジャージで過ごすことが多かったが、今はオンライン会議があるため上半身だけでもきちんとした服を着るようになった。「Zoom映え」を意識したトップスやアクセサリーも売れているらしい。
午後、雨が小降りになったので散歩に出た。紫陽花が美しく咲いている。コロナ禍でなければもっと写真を撮りたいところだが、人通りの多い場所でマスクを外すのは憚られる。
近所のカフェは相変わらずテイクアウトメインの営業を続けている。店内の席数も半分に減らされ、以前の賑わいは戻っていない。常連らしき高齢の男性が「昔は毎朝ここでモーニングを食べていたんだけどなあ」と寂しそうに話しているのが聞こえた。
コロナ禍は私たちから多くの「当たり前」を奪っていった。友人との気軽な食事、映画館での映画鑑賞、満員電車での通勤。嫌だと思っていたことでさえ、失ってみると懐かしく感じられる。
夕方、ベランダに出ると隣から音楽が聞こえてきた。今度はジャズピアノ。ビル・エヴァンスのワルツ・フォー・デビーのような繊細で美しいメロディー。
雨音と相まって、とても心地よい午後のBGMになった。