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【コロナ禍百合恋愛短編小説】隣の部屋の静かな宇宙~ベランダ越しの恋文(ラブレター)~  作者: 霧崎薫


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●2024年6月

2024年6月15日(土)


梅雨の中休みで久しぶりに晴れた。洗濯物がよく乾いて嬉しい。

雫さんと一緒にベランダで洗濯物を干していると、まるで家族のような気分になった。


「こういう何気ない時間が一番幸せかもしれませんね」と彼女が言った。

「本当ですね。特別なことをしなくても、一緒にいるだけで幸せです」


その言葉に込めた想いを、彼女はどう受け取っただろう。


午後、雫さんの部屋で一緒に映画を見た。今度は日本映画で、是枝裕和監督の「そして父になる」。家族の絆について考えさせられる作品だった。


「家族って不思議ですね」と雫さんが言った。

「血のつながりだけじゃない、心のつながりが大切なんでしょうね」

「そうですね。選ばれた家族というものもあるかもしれません」


選ばれた家族。その言葉が心に響いた。


夜、一緒に夕食を作った。メニューはハンバーグとサラダ、スープ。シンプルな家庭料理だった。


「美味しいですね」と言いながら食べていると、ふと思った。

この何気ない夕食の時間がとても愛おしい。毎日こんな風に過ごせたらどんなに幸せだろう。


「葵さん、ぼーっとしてますよ」と雫さんに指摘された。

「すみません。美味しくて見とれていました」

「料理にですか?」

「それもありますが…」


言いかけて止めた。もう少し勇気が必要だった。


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