高校の初日
よろぴく。
第二次世界大戦後、数十年続いた平和は突如、終わる。
太平洋に魔界が生まれた。
それによって世界全体で魔法が使えるようになった。
そして、第三次世界大戦勃発。
数年後、世界は再び平和を取り戻した。
***
魔界が誕生してから100年。
科学の進歩は衰退して、魔法が日常的になっていた。
***
俺は如月蓮。
どこにでもいる高校生だ。
今日が初登校だけどな。
あえて特徴を挙げるなら、髪と目が少し赤みがかっている。
これは魔力の影響だ。
魔法の適正が高いやつは見た目に色として出る。
昔は魔力の高さの証拠だったが、今ではおしゃれで染めているやつも多く、珍しくもない。
俺にとっては非常に好都合な話だ。
「いってきまーす」
今日から一人暮らしなので相手はいないが、今までの習慣でなんとなく言ってみた。
「誰に言ってんだよ、蓮」
「なんだよ、いたのかよ、康太」
同じマンションに住んでいる康太が俺を待ち伏せしていた。
八神康太。
昔からの親友だ。
見た目は俺より平凡な黒髪、黒眼。
あえて言うなら、俺より短髪で、ヤンチャそうな顔をしている。
「なんだよって、なんだよ。わざわざ気配を消して待ってやってたのに」
「怖えよ…やめてくれ」
「しかし、高校もマンションも同じとはな。いっそ同棲するか?」
「気持ち悪いこと言ってんじゃねえよ。美少女になって出直してこい」
こいつのことは気も合うし、好きだ。
だが俺の性癖はノーマルだ。
残念ながら付き合いたくはない。
「ちっ、女に飽きてきたから、次は男でもいいんだけどな」
「本当に気持ち悪いから、やめてくれ。ていうか、サラちゃんとはもう別れたのか?」
「ああ、高校違うしな。バイバイしたよ」
「サラちゃんは納得したのか?」
「いや、全然。怖かったな、あいつ…一発ぶん殴って逃げたよ」
「流石に女は殴るなよ。サラちゃんなら大丈夫か」
「高校楽しみだなー。いい女もわんさかいるだろうな」
「クズだな、相変わらず」
「そんなこと言ってないで、お前も女探せよ。かわいい顔してんだしさ」
「お前にかわいい顔とか言われると、身の危険を感じるわ」
一応、康太から少し距離をとりながら高校まで歩いて向かった。
「おいおい、俺にそっちのケはねえよ」
「わかったから、今だけは距離をとってくれ」
「…それはそうと、俺たちが通う文永学園、かなりの不良がいるらしいぜ」
「マジかよ。まともそうな学校だったのに」
「表向きはな。まあ基本的には平和らしいから大丈夫だよ。まあ、お前なら襲われても大丈夫だろうけど」
「…そんなことねえよ」
「嘘つけ」
「俺は喧嘩は嫌いなんだよ」
「おいおい、冗談だろ。そんなんで、俺の相棒が務まるかよ。中学時代のお前はどこにいったんだよ」
「中学時代もあんまり人を傷つけたことはねえよ」
中学時代、俺と康太は不良の中ではそこそこ名の知れた二人組だった。
悪いことはあんまりしてない。
俺はしてない。
康太はしてたかもしれないが。
主には不良グループに康太が突っ込んでいって壊滅させるだけだ。
社会貢献だね。
学校に着くと、かなりの生徒たちが同じ時間に登校していた。
「鬱陶しいな。明日から早めに来ようかな」
「馬鹿かよ。出会いのチャンスだろ」
「はいはい…あ、あの子なんか可愛んじゃないの?」
俺が見つけたのは短い金髪の小柄な子。
とにかく顔が超可愛かった。
「おー、なかなかだな。お前もめざといじゃねえか。一見地味だが、かなりいい女だ」
「嫌な言い方だな。しかし、マジであの子可愛いな。ちょっと、日本人っぽくないし、ハーフかな」
「お前とは釣り合わねえよ。俺に任せとけ」
「何を任せるんだよ」
康太は一直線に彼女の方へ向かっていった。
せっかくだからあいつをぶちのめして、彼女を助けよう。