強くてニューゲーム いち
ガチャの設定とかはそんなに覚えなくても大丈夫。
主人公最強なの深く考えずで無双する予定。
入学式のあとすぐに召喚の儀とか冷静に考えなくても意味がわからない。
もっと先に自己紹介とか担任の紹介とかやることある気がする。
っていうかそもそも現代日本の学校だと大体が入学式のあとはすぐ解散だったような。
もちろん召喚の儀で引くキャラも含めての自己紹介の方が身になる、とか本当にカオスと戦えるだけの力があるのか騒ぐやつ対策にキャラの召喚という目に見えてわかる力を見せるためだとか、色んな理由付けが出来ると思う。
でもそんなのは間違いなく建前だ。
基本無料のこのゲームは敷居が低い代わりにアンストされるのも早い。
だから入学式という最低限のイベントを終わらせたあとは速攻でガチャを引かせ、可愛いキャラというエサを与えるのだろう。
金の亡者であるこのゲームの運営なら間違いなくやる。
多少違和感がある入学式のあと速攻ガチャとかいうおかしな時系列になっても間違いなくやる。
講堂を出て、桜並木のメインストリートを抜けると、ドーム型の建物が見えてくる。
四方に小高い塔が立っており、白を基調としたデザインと青空がベストマッチしている。
イメージはタージ・マハルだ。
モチーフもそれなんだろう。
中に入ると、ここもやっぱり超常ぱわーで拡張されているのか、新入生全員が入ってもまだまだ余裕がある。
真ん中に大きな台座があり、その台座に向かって祈るようにしている女性像が4つある。
あれがガチャなんだろう。
ここでゲーム時代のガチャについての前提知識だ。
ガチャは召喚石というのを使って引く。
イベントなどでピックアップこそされるが、このゲームには恒常ガチャしかない。そして排出されるのは美少女or美女のキャラのみだ。
星の数はガチャで出るのは星1から星5までで、それぞれ黒、白、銀、金、虹色の演出がされる。
属性は火、水、土、風と光、闇。そして理の計7属性だ。
基本に、火&水&土&風<光闇<<<理の順で召喚しにくい。
また、星5に近づくに連れて召喚確率が下がり、星5の全キャラ合計して3パーセントくらいだ。
リリース期間が早かっただけあって、キャラ数も
3桁後半はいたはずだ。
星5だけで100は余裕でいる。
さらに限界突破と呼ばれる、いわゆる星を上げるには同じキャラが複数枚必要になり、最終強化の星10には6体の同キャラが必要になる。
まぁこのぐらい押さえておけば大丈夫だろう。
ちなみに前世では理のキャラを最終強化まで育成していた。
課金の半分以上が理くんのせいなのだ。運営許すまじ。
台座の前にダンディーな中年男性が立つ。
担任かな?自己紹介しろよ(決闘者風)
どうやらとりあえず見本として引いて見せるらしい。
中空に鏡のようなゲートが現れる。
縁の部分が火のような形の装飾である。
ゲート全体が白色に光る。
多分火の星2キャラが召喚されるのだろう。
星2でも限界突破を繰り返せば強くはなれる。
だから捨てたもんじゃない。
一際大きく光輝き、瞼を思わず閉じる。
瞼を開けるとそこに居たのは星2、フレアだった。
まあいいんじゃない?おめー。
生徒達からも大きな歓声が沸く。
急に21世紀科学の国からファンタジーに来たようなものだからね。気持ちは分かる。
担任っぽいダンディーから色々と注意事項が説明されるが、まぁ聞こえてないだろう。
どうやら出席番号順で引いていく、という訳ではなく、早い者勝ちのようだ。長蛇の列が出来ている。
この学園好きだね、早い者勝ち。
私はあんな長蛇の列に並ぶ元気はないので少し離れたところで待機しておく。
壁の花ってやつだ。
5分くらいが経過した頃、いつの間にか近くまで来ていた元気っ子っぽい見た目の子に話かけられる。可愛い。
完全に壁の花と化し、無表情フェイスを振りまいていた私に話かけるなんてさてはコミュ強だな。
「初めまして、同じ1組で出席番号10番、キョウカっていいます!
アルちゃん…で合ってるよね?
入学式で一目見た時から可愛くて、お話したいなって思ってたんだー!」
「うん、アル・フレル。よろしく。」
すっごいあっさりした喋り方になってしまった。
元来のコミュ弱もあるが、この体もコミュ弱だな?
「よろしくー!
いやーさっきの召喚凄かったねー!
なんかこうファンタジーって感じで、テンション上がるよね!」
「ん、ちょっと新鮮だった。」
「私達はどんな子を引けるかなー?
先生が召喚した子もめちゃくちゃ可愛かったよねー!
楽しみー!!」
「光闇とか強いキャラが引けるといいな。」
「確かに背中を託すって言うか戦闘に関しては全部おまかせになるもんね。
強いくて可愛い子が引けますよーに!」
元気っ子、キョウカがどんどん話題を引っ張ってくれるおかげで会話が途切れない。
コミュ力高いって凄いね(小並感)
そのままトオカで連絡先を交換したり、この学園での生活についての話を進めていく。
キョウカは寮に入れるようになった時から、つまり2ヶ月前からこの学園都市で生活しているらしい。
おすすめのカフェや服屋の話になると、さらに饒舌になっている。
あとかなりの銭湯や温泉好きらしく、めっちゃ布教された。
「それでね、東通りを抜けた先にある、東方風の露天風呂が最っ高なんだよね!
アルちゃんさえ良ければ、今日の放課後一緒に行かない?」
「いいね。まだこの学園に来てからシャワーしか浴びれてないから行ってみたい。」
うんうんいつの間にやら今日の放課後に一緒にいく約束しちゃった。初お出かけが温泉ってどうなの?
コミュ強さん教えてクレメンス。
っとそろそろ列もだいぶ少なくなって来た。
話に集中していてあんまり見ていなかったが、大体星1~3くらいが皆当たってるらしい。
星5が当たった時は、かなり歓声が湧いていたから人数は大体分かる。
今のところ5人が星5を引いたっぽい。
星5は振れ幅こそ大きいが最低限の強さは保証されているので、まあ勝ち組だろう。おめー。
いよいよ私達の番が回って来た。
キョウカが引きたそうにしていたので、先手は譲っている。
中空にゲートが現れる。
天使の輪っかみたいなのが印象的なゲートだ。
ふむふむ。光のゲートか。
光り方はっと…虹?!
周囲の生徒達が大きくざわめく。
一際大きく光り輝いた後、そこに居たのは。
星5最強格。環境キャラの1柱。理を除くとぶっちぎりで1番の攻撃力、ダメージ倍率を持つ火力キャラ。
あとナイスボディ。
ミカエルであった。