入学式なう
徒歩10分、恐らく新入生であろう女子生徒に先導されて、学園の入口に着いた。
現代日本ではもはや見れないブロック塀、というかレンガのオシャレな塀に囲まれている。
運動公園にも生えていた桜っぽい木が等間隔で並び、花壇も目に入る。桜並木ってやつだ。
地面は四方30センチ位の白いタイルが敷き詰められ、植えられた低木も相まって、the理想の学園って感じ。
っていうかぶっちゃけソシャゲ時代のメイン画面と同じだ。
いやー改めて前世で山ほどみた景色を見ると、ゲームの世界に来たんだなと感じる。
何もしてないけど感慨深いね。
講堂はうん普通の建物だ。
講堂自体は学園の正面入口の真横にあるが、入学式には全員集まってから入場するのか、講堂の横に生徒が集合している。
緊張しているのかもう既に1回怒られたのか、誰も喋っていない。
クラスと出席番号順に並んでるっぽい。
トオカの生徒手帳にクラスと出席番号が書いてあるらしい。
ちなみに昨日見た時点ではなかった。
ふむふむ1組2番らしい。
まあアルってかなり早そうだよね。
前世ではあ行ではなかったので、こんなに早い番号なのはちょっと新鮮だ。
絶対自己紹介とか最初の方だし、今のうちから考えとこうかな。
クラスは2組であり、我らが1組はクラスメイトは男女は均等くらいで、やたらと美男美女が多い。
男子はタイプの差はあれど、全員が運動部のエースとか図書室の王子様って言われても信じそうな感じだ。やっぱりちょっと偏見入ってた。
女子は結構バラバラで、入学式でも私服登校が許される学園だからか、ギャル系もいれば、清楚系っぽい外見の人もいる。
でもみんな可愛い。
外人さんはいないっぽいが、そもそも私の名前からして絶対日本人じゃない。
また、皆日本人をベースに造形しました、みたいな顔の人が多いので、あんまり当てにはならないかな。
ゲームの時は使役する側、マスターと呼ぼうか。
マスターは他のプレイヤーであり、好きに容姿をいじれたので、なんか予想してたよりも普通で違和感がある。
だってゲーム時代だとストロベリー大佐とか着ぐるみ、果てには頭に便器付けてるやつがいたんだぜ?
そしてそういう奴らに限ってくっそ強い。
それに比べたら美男美女だらけっていうのはインパクトが弱い。
それと比べるのも可哀想だけども。
新入生全員が集まったのか、講堂の中に入り始める。2番乗りだぜい。
講堂はまあ広い。それしか感想が出てこんレベルで広い。
東京ドームの半分くらいは入りそうな大きさだ。
いや東京ドーム行ったことないから適当だけども。
外から見た感じだとこんなに広くはなかったはずなので、なんか超常ぱわーが働いているのだろう。しゅごい。
私の右席の隣はギャルだった。……うん。
でも左隣の人は、、、2組のイケイケ男子だった。うん。
内心、というか表面上も無表情で悟りを開いたまま学園長の話を聞く。
モニタに大きく拡大されて映写され、マイクを使って話しているが、如何せん私の脳みそが理解を拒んでいる。
そうこうしているうちに、学園長の話は終わってたらしい。
次に生徒会長が壇上に上がる。
腰にまでかかる長い黒髪。
シースルーっぽい前髪と凛とした表情が特徴的な女子生徒だった。
「まずは新入生の皆さん。御入学おめでとうございます。
もうご存知だとは思いますが、この学園ではカオスと呼ばれる人類の宿敵と戦って頂きます。」
声は大きくはないんだけど、芯が通っていて聞き取りやすい。普通に好きな声だ。
「その為、道半ばにして散ってしまうこともあるかも知れません。
今日話した友が明日無事である保証などありません。
……ですが、私達だけが、人類の、世界の手助けになることが出来るのです。
皆さんがカオスの侵攻を少しでも食い止め、世界に希望をもたらして行けるよう、願っています。」
なんかいいこと言ってる気がする。
カオスの侵攻の話をしてるけどもカオスはこの学園都市にしか出現しない。
それはゲームでもこの世界でも常識だ。
だからこそこの学園には世界中から補給の物資や人材が送られてくる。対価はカオスの侵攻を食い止めることなのだ。
カオスは文明の破壊を目標にしており、野放しにしていたら世界は更地になってしまう。
だからカオスを食い止めましょう、って話になる。
まぁざっくり言ったらそんな感じだ。
やっとこさ入学式が終わったが、今からがビックイベント。
そう、召喚の儀なのだから!!