幕間 とある会議の行く末
短いですが。
―― side カグラ生徒会長 ――
「それでは次の議題に参ります。
今年の新入生の召喚の儀の内訳です。
生徒会長カグラさん、よろしくお願いします。」
やっとか、という空気が流れてくる。
今日のメインとも言えるのがこの議題で気持ちも分からなくはないですが…
生徒会役員たるものがまったく、だらしない。
「紹介に預かりました、生徒会長のカグラです。
数も多いので早速ですが紹介して行きます。
まず星1を引いた者は27名。内訳としては全体的に上位3属性を除く全属性別れており、かぶりが少ないです。」
普通星1や星2を引いたものの中には同じ種族が多くなりがちなものです。
恐らくはゲートが開く場所が近いんでしょう。
「星2を引いたものですが、18名。
例年通りで特筆すべきことは特にはありません。」
「ふん、そんな雑魚共のことはいいんだ。
どうせすぐふるいにかけられる。
さっさと本題に入ったらどうだ?
今年の星5の内訳によぉ。」
この男の名はスオウ。戦闘員としても優秀、広報としても端麗な容姿を活かして結果を残している男です。
もっとも、実際のところは言動に問題が多いのですが。
「スオウさん、口が過ぎますよ。
あんまり粗相をするようでしたら会議から退席してもらいますよ?」
「ちっハイハイ。続きをお願いしますよ。」
有能だからこそ生徒会に置いていますが……
まあ、今は置いておくとしますか。
こういう小物の方が扱い安いから重宝しますし。
「まったく。
次に星3ですが、15名。
例年よりは少ない部類に入ります。」
「おいおい、戦力となりうる奴らが少ねーんじゃねぇの?」
「ス・オ・ウさん?
……まあ真っ当な意見でもありますが、まずは話を聞いてください。」
「…へい。」
「星4を引いたものは10名。
うち、光属性の者が2名。
闇属性の者が1名、です。」
ざわざわ…
まったく豊作なのは分かりますが、人の話を聞いていないのでしょうか?
「お静かに。
それでは本命ですが、星5召喚者は7名。
1組に3名。2組に4名です。
相変わらず星5は認識阻害を起こすので種類までは特定出来ませんが。
属性は特定出来ています。
火属性2名。水属性1名。光属性2名。闇属性2名。以上です。」
星5の代名詞とも言える認識阻害は本当に厄介です。
おかげで我々外部の人間は属性までしか特定出来ないので。
それはそうと今年は当たりですね。
私程にはならないでしょうが、なかなかの実力者になるでしょう。
今から青田買いするのも視野に入れますか。
「おいおい大豊作じゃねーか!
光、闇両方で2人いるとかよお!」
「ほほう、これは勧誘活動に精が入りますね。」
「前代未聞だね。うんうん。楽しみだよ。」
「とりあえず、勧誘活動は5月からですから、先に唾を付けたりしないでくださいね。
私からは以上です。シリス議長。」
自分のことは棚に上げておいて釘を刺しておく。
まだまだ会議は長いのだからさっさと意識を切り替えないと。
「皆様、静粛に。
それでは次の議題ですが…………」
ちなみにセレナさんが誤魔化しているためキョウカ以外の人は闇属性だと誤認しています。
クラスメイトや担任が驚いていたのは闇属性の星5の演出に酷似していたからです。
誰が出たのかは認識阻害により分かっていません。
主人公は気付いてないですが、セレナさんが気を使ってくれました。
ちなみに主人公がミカエルさんを見れたのは、ね?
認識阻害:他者に自身の正体を掴ませない。確かに見ているはずなのに記憶に残らないようになっている。