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知らない天井です…

小説って最初の導入が1番書くの難しい気がします。

えっっ、知らない天井やん、、、



















8月の真ん中、地方都市の一角で扇風機の前で暑さに苦しむ。

エアコンは随分前に壊れて懐かしい。

地球温暖化の影響か知らないが、日本の夏はやたら暑い。

こういう時、お金に余裕があればカフェなんかで涼めるのだろうが。

もはや涼みに行く気力もお金もない。



今は高校生活最後の夏休みの真ん中だ。

勉強しないと不味いはずだが、バイトしてゲームしての繰り返しが日常になっている。

この自堕落っぷりには自分でも呆れる。

でも暑いんだ!暑いんだよ!

南国から来た外人も日本の湿気を伴う暑さには参っていると聞く。

つまりはこんなクソ暑い国が悪い。



あーもう携帯も暑すぎてイカれそうだし、まだ昼間だけど、今日のところはもう寝ることにする。

夜寝られ無くなりそうだけど、どうせ夜も暑くて寝付きが悪いんだ。寝たい時に寝るのが1番だろう。

っとその前に受け取り受け取りっと。

携帯のとあるゲームを開く。



まぁよくある美少女の放置&育成ゲーだ。

そろそろプレイ期間3年を突破しようとしている。

今じゃ珍しくもない放置&育成ゲームだが、リリース時期だけは先駆けなだけあって、そこそこなプレイ人口を抱えている。

また、キャラ、立ち絵、ボイスなんかが結構充実している。

そしてソシャゲ系統が決して逃れられない、インフレの波にももちろん飲まれている。



基本ステータスからプラスで上げれる突破ステータス、装備に道具まで、その強化はやたら幅広く、沼にハマる人も多いと聞く。

かく言う自分もその1人だが。



基本無料のゲームなので、最近は環境入りするキャラが多くなっている。

金欲しさだろう。

まぁこれももはやソシャゲとしては当たり前だ。



ちなみにこのソシャゲに死ぬほど課金している。

学生という身分のくせに、7桁は課金している。

バイト代と一人暮らしのための資金のほぼ全てがソシャゲに当てている。

そしてトップ勢の一員として認識されている。そんな感じだ。

放置している間に溜まっていた資源を回収し、テキトーにきているチャットに返信する。

















一通り受け取りも終わってキャラも愛で終わったころ、ふと扇風機の風が止まった気がして周りを見渡す。

家の窓は年中閉まっていたはずだし、扇風機のタイマーでも切れたかな。

そう思っていたのだが、???。



部屋1面に貼ってあった、推しのポスターがない。

なんならちょっと可愛い感じのくまのぬいぐるみが目に入る。

手元にあったはずの携帯もいつの間にか無くなってしまっている。



その他にも健全な男子高校生なら持っているはずがない、言うなれば女の子らしい感じに部屋がイメチェンされている。



脳が考えることを放棄しているのが、他人事のように分かる。

ふと視界に黒い光沢のある髪が映る。

慌てて、やたらデコレーションされている鏡の前に立つ。



そこに映っていたのはボブカットって言えばいいんだろうか?とりあえず短めの髪型で、シミ1つない白い肌。それが吸い込まれるような黒髪とマッチしている。

語彙力がないが、めちゃくちゃ整った顔のパーツ。

年齢でいえばだいたい15、6くらいだろうか。端的にいえば美少女ってやつが立っていた。



……やたら無表情なままで。



いや結構自分では驚いてたはずなんだけど、表情筋がピクリともしていない。

思わず機嫌悪いの?と聞きたくなるレベルで無愛想である。でも可愛い。



いやそんな冷静に自分の容姿を評価している場合じゃない。

いや性別が急に変わったのにそんな扱いは何だか変だが、実際問題、自分の容姿よりも気になることが山ほどある。



まず机の上に置いてある書類に手を出してみる。

文字は、日本語!これなら全然読める。

えーとなになに。入学案内か。

どうやら高校に当たる学園への入学案内らしい。

もう1回高校受験はしたくないし、もう学校が決まっているのは助かるが、どこの学校なんだろ。



「王立ハツカ学園 入学案内書」

ん、王立ハツカ学園?

んん?

ハツカ学園?なんか聞いたことあるような、ないような。



っって確か直前までやっていたソシャゲの舞台がハツカ学園だった気がする。多分。

覚えてないんかいってツッコミが入りそうだが、ソシャゲにストーリーも舞台もあんまり求められていないのだ。

それを求めるならストーリーRPGをしとけって話である。ただ、そんな感じの名前だった気はしている。



まじかあソシャゲ世界に来ちゃったか……

思わず上を見上げてしまう。



うん、知らない天井だね。

なんか使い方間違えてる気がする。


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