表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/23

仲直りできるブロンズ像の噂

 この日の放課後、僕と先輩は昇降口を出た先にあるブロンズ像の前に来ていた。この像は、男女が背中合わせになった形をしている。ここが七不思議『背中合わせの二人』の舞台だ。

「まずは『背中合わせの二人』の噂についてだけど、これはカップルの痴話喧嘩の話らしいね」

「カップル? 銅像なのにですか?」

「うん。なんでもこの二人はお互いに相手への不満を言い合ってケンカばかりしていたようだ。それで、ある日ついに別れることになったんだってさ」

「なるほど……」

「ところが、いざ離れてみると、相手のいない生活に違和感を覚えてしまった。だから、もう一度やり直そうとしたんだ。でも、お互い意地を張って素直になれなかった。結局、またケンカになってしまった」

「…………」

「でも、ある日、恋人からメールが届いた。そこにはこんなことが書かれていた」

『君がいない世界は寂しい。今まで言い過ぎたことは謝る。戻ってきてくれ!』

「こうして、二人は仲直りすることができたそうだよ」

「よかったですね」

「ああ、めでたしめでたしだ。でもね本題はここからなんだ。あとでわかったことなんだけど、このカップルはどちらもメールなんか出していなかった

んだよ。つまり、誰かが勝手に送った偽物のメールだったってわけだ」

「えっ、それじゃあ本当の送り主は?」

「わからない。でも、そのメールには気になることが書かれていたんだ」

『背中合わせの二人のように後悔している。また会って君の目を見て話したい』

 僕はブロンズを見て納得がいった。確かにこの背中合わせの像の男女は近くにいても目を見ることはできないな。

「それから、仲直りのためのメールやメッセージを書くときには、この像の前で書くと、うまくいくというジンクスが生まれたらしいよ」

「へぇ~、そうなんですか。知らなかったです」

「ちなみに、この像の名前は『再会の像』っていうんだ。いい名前だと思わないかい?」

「そうですね」

 先輩は楽しげに笑っている。

(この人も結構ロマンチストだよね)

「この噂を知っている人はわりと多いんだ。だから、これが三つ目の七不思議ということでいいと思う」

「そうですね、言われてみれば僕もここでメッセージを打っている生徒をたまに見ます。頼りにされている噂なんですね」

「ああ、私もこの像が好きだから、こうやって時々見に来ることがあるんだ。まあ、今日はもう帰ろうか」

 

 そして、僕たちは帰路に着いた。


★「七不思議解明! それは過去に起きた事件と関係していた。調査値+1、霊障値+1」(像の前)

  調査値合計:5、霊障値合計:3、残り七不思議、あと四つ

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ