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プールの声の噂

 次の日、先輩と僕は山咲さんに会いに行った。プールで声が聞こえると言っていた僕のクラスメートだ。

 先輩は少し雑談をした後、山咲さんにこう尋ねた。

「山咲さん、もしかして親しい人が溺れそうになったことない?」

 先輩の質問に彼女は首をかしげる。

「あっ、あります。小学生の頃ですけど、友達と川遊びしてたら急流に流されちゃったんです。でも、その子はすぐに助け上げられました」

「その時怖かった?」

「はい、すごく慌てました。あの時は『今すぐ引き上げないと死んじゃう!』って思いました。必死だったんです」

「なるほどね、ありがとう」

「でも、そのあとその子は無事だったので安心しました」

「それからその子は元気になった?」

「えっと、はい。しばらく入院したんですけど、後遺症もなく退院できたみたいです」

「そうか、それなら良かった。あなたがプールで聞いた声や音が水難事故で亡くなった人の声なんじゃないかと思ったんだけど、違ったようだね」

「あ……」山咲さんは目を見開く。

「そういえば私、あの時『早く助けてあげないと』と思いました。川でのことを思い出していたんですね」

「もしかしたら、そうかもしれないね」

 先輩は彼女の肩を軽く叩く。

「あの、ありがとうございます」

「気にしないで。私はただ話を聞いただけだから」

「いえ、それでも本当にありがとうございます」

 山咲さんは深々と頭を下げた。

 

 帰り道、僕たちは並んで歩いていた。

「プールの声の話、僕が聞いた留守録のメッセージと似た現象だったんですね」

「そうだね。君がメッセージを聞いたのも学園でだったよね」

 確かにそうだった。怖ろしいことに、昨日先輩と一緒に留守録を確かめたら、聞こえたのは単なるノイズだけだった。

 僕が聞いたはずの声は一切入っていなかった。


「これが最後の七不思議だね。名前は……そう『無音の呼び声』がいいかな」

「なんか嫌な感じの名前ですね」

「聞いた人のトラウマを引き起こす怖ろしい『声』だからね。この話を知った人が内容を覚えていられるよう、できるだけ怖そうな名前を付けたよ」

「あ、そうか。『無音の呼び声』は新しく作られる七不思議なんですね」

「うん、そうだよ。山咲さんのように『声』を聞いた人がプールに誘い込まれないようにしないといけないからね」

「そうですね。山咲さんの友達が助かっていなかったらどうなっていたことか……」僕は身震いする。

「さて、期待しているよ、西来路くん」

「はい?」

「新しく作る七不思議なんだから、当然君にも協力して貰うよ」

「あ、やっぱりそういう流れになるんですね」

「うん、だって君が始めたことだからね。最後まで責任を持って欲しいなぁ~」

 先輩は悪戯っぽく笑う

「私たちの調査は、君が『音楽室の噂』を説明したところから始まったんだからね。期待しているよ、『校舎裏の桜の木の下に埋められている人体模型』の作者くん」

「はい、頑張ります」

 僕は苦笑しながら答える。

「さて、もう日も暮れるし帰ろうか」

 先輩は夕陽を指差す。空にはうっすらと月が見え始めていた。

 こうして、僕らの最後の七不思議調査は終わりとなった。


★「七不思議に遭遇!聞き込みに行ったら、情報を知る相手がライターかパートナーの友人だった。調査値+1、霊障値+1」(プール)

  調査値合計:9、霊障値合計:7、七不思議調査完了。終幕表へ。


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