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ハナコサンの噂1

 この日の放課後は社会科準備室に聞き込みに来た。今週は図書室で七不思議を調べていたけれど、結局何一つ見つからなかったので、今日は先生に聞いてみることにしたのだ。手分けしようということになったので能木先輩は他のところで聞き込みをしている。

「う〜ん、そうだねぇ〜」

 僕の話を聞いた社会の山里先生は、腕を組んで考え込む。「あの、何かヒントになるような話とかありませんかね?」

 僕は質問してみた。

「そうだなぁ。やっぱり実際に起こった出来事じゃないのかもな」

「実際に起こったことではない?」

「ああ、噂話っていうのは、誰かが面白がって流したものがほとんどだからな。それに尾ひれがつくことで話が変わっていくんだ。この学校の七不思議の噂も、どこかの生徒が言い出したんじゃないか? それでだんだん広まっていった。そう考えるのが一番妥当だろう」

「なるほど、そういうこともあるんですね」

「ま、あくまでも予想だけどな。あんまり期待しない方がいいぞ」

「いえ、教えてくれて助かりました。ありがとうございます」

 僕は礼を言ってから、社会科準備室を出る。

 次はどうしようかな。とりあえず図書室で調べられるところまでは調べたけど、まだ足りない気がする。

 もう少しだけ頑張ってみるか。僕は図書室に戻ることにした。


「おっ、来たね」

 図書室に戻ると、そこには能木先輩がいた。

「あれ、先輩。もう終わったんですか?」

 僕はまだ何もしていないというのに。

「ああ。私はもう聞き込みを済ませたよ。西来路くんの方はどうだい?」

「実はですね……」

 僕は先輩にも事情を説明する。

「そうなのか。私の方が早く終わってしまったようだね」

「そうみたいです。先輩の方の首尾はどうでした?先生から何か七不思議に関する情報は聞けましたか?」


「ひとつ面白い話が聞けたよ。それがこれだ」

そう言うと、先輩はポケットからスマホを取り出した。そして画面を見せてくる。

「ああ、SNSですね。ここは僕もよく使っています」

「じゃあ説明はいらないね。まずはここを見てくれ」

 先輩は僕の目の前にそのページを移動させる。


『#学校にまつわる怪談』


 そんなタグのついた投稿がされていた。

「これは……、いわゆるハッシュタグですね」

「ああ。学校に関する話題について語るときに使う言葉らしい。このハッシュタグを使った投稿の中に、こういうのがある」

 先輩はそのうちの一つを表示する。そこにはこう書いてあった。


『学校のトイレでハナコサンが待っている。用事があるときはノックを3回すると返事が返ってくる。また、1人で個室に入ると閉じ込められてしまうことがある。開けようと思えば簡単に開くことができるはずなのだが、何故か開かない。それは、後からトイレに入った人物が、外からドアを押さえているからである。その人物は、自分のことを「ハナコサン」と呼んでいる。その人物に会うと恐ろしいことが起こると言われている。#学校にまつわる怪談』


「なんだか、すごく怖い内容ですね……」

「まあね。でも、これを投稿した人は、これらの情報からひとつの答えに辿り着いている」

「答え?」

「ああ、つまり、学校の女子生徒の中に、ハナコサンがいるということに気付いているのさ」

「ええっ!?」

「今日先生から話を聞けた話がこの投稿と同じだったよ。先生はこの噂を5年くらい前に生徒から聞いたと言っていた」

「5年前…… で、こっちの投稿の日付は……」

「4年前になっているね。つまり、うちの学校に以前いた生徒が噂を投稿した可能性が高い。しかも、かなり信憑性の高い情報を掴んでいるはずだよ」

「確かに……。この学校の卒業生が怪しいですよね」

「そうだろう? それで君に頼みたいのだが、私と一緒に、この投稿をした人の関係者に会ってみないか? 実は投稿者の妹さんがこの学校に在籍していることがわかったんだよ」

「そうなんですか! 是非会いましょう!」

「うん、頼もしい返事だ。ところで……」

 先輩はそこで言葉を区切ると少しだけ申し訳なさそうな顔をして「悪いんだけど、今日の放課後は予定があってね。明日なら大丈夫なのだけど、どうだろうか?」と言った。

「全然問題ないです! じゃあ、明日にしましょう」

 こうして僕らは、明日の放課後に投稿者の妹さんに会いに行くことになったのである。


〇「霊現象の噂を追った。しかし、何も起きない。調査値+1」(社会科準備室)、今回も七不思議見つからず

  調査値合計:6、霊障値合計:1、残り七不思議、あと四つ

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