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休日の出来事

 土曜の朝、僕はスマホの音で目を覚ました。休日なので少し遅くまで寝てしまっていたようだ。

 スマホを見ると先輩からメッセージが届いていた。

『いつも調査に付き合ってくれてありがとう。そして昨日はすまなかった。私がやりたいことに君を付き合わせているのが、たまに不安になることがある。君にはもっとやりたいことがあるんじゃないかと。君には感謝しているけれど、無理はしないでほしい。過保護というのは言い過ぎた。許してほしい。でも、本当に危ないことはしてほしくないと思っている。これは本音だ』

その文面を読んでいるうちに、胸が締め付けられるように苦しくなった。

(どうして……)

 なぜ、こんなにも苦しいのだろう。先輩は僕のことを考えてくれていただけなのに。

 そして、気づいた時には返信ボタンを押していた。

〈こちらこそごめんなさい〉 僕はそれだけ打って送信した。

それからしばらく経って、先輩からもメッセージが届いた。

〈気にしていないよ。私こそ変なメッセージを送って悪かった。これからもよろしく頼むよ。それと、今日はよかったら会わないかい? もし時間が合うようだったら二人で行きたい場所があるんだ〉 先輩は僕に気を遣っているのだろうか。だとしたら申し訳ない気持ちになってしまう。

〈もちろんです。どこに行くんですか?〉 僕はすぐに返事を送った。

するとすぐに既読マークがついた。

〈実は学校のそばなんだ。近くの神社で落ち合おう〉

〈了解しました。それではまた後ほど〉 僕はそう送ってスマホを置いた。


 合流した後、先輩に連れてこられたのは、病院の裏にある墓地だった。

「ここが目的地ですか?」

「ああ、そうだよ。ここに私の弟が眠っているんだ」

「弟さんのお墓!?」

 僕は驚いて大きな声を出してしまった。先輩の家族のことなんて今まで聞いたことがなかったから。

「すまない。家族のことを話す機会はあまりなかったからね。少し驚いたかもしれないけど、いつか話さなければいけないと思っていたんだ」

「いえ、そんなことないです。ただびっくりしちゃって」

「驚かせてしまって悪かったね。さぁ、行こうか」

 先輩の後に続いて僕も歩き出す。

 先輩は弟さんの墓石の前に立った。僕も隣に立って手を合わせる。

「私はもう大丈夫だよ。だから安心して眠っていてくれ」

 先輩は優しく語りかける。その横顔は穏やかに微笑んでいた。

「弟は小さい頃に病気で亡くなったんだよ。私が小学校の頃だからもうずいぶん昔なんだけど、それでも弟のことはずっと覚えている。弟は私の大切な存在なんだ」

「そうだったんですね」

「弟が亡くなってから、私の生活は一変した。母が私を育ててくれたけど、仕事が忙しくなって、なかなか家に帰って来なくなった。家事や買い物なんかは全て自分でやったよ」

「大変じゃありませんでした?」

「まぁ、それなりに苦労したけど、でも楽しいこともたくさんあったよ。学校に行って友達ができたり、料理を覚えたり、他にもいろいろ」

 先輩は僕の方を向いて笑った。

「君はいつだって私の側にいてくれる。それがどんなに嬉しいことだったか」

「先輩……」

「弟がいなくなって寂しかった。でも、今は君がいる。それはとても幸せなことだと思えるようになった」

「先輩……、僕も同じ気持ちです」

「ありがとう。これからもよろしくお願いするね」

「はい!」

 僕は先輩の言葉が嬉しすぎて、つい大声で答えてしまう。

「元気があっていいね。ふふっ」

先輩は嬉しそうな表情を浮かべる。「あー、えっと、すみません……。あ、そうだ! お弁当作ってきたんですよ。一緒に食べましょう」

僕は照れ隠しのために話題を変える。すると先輩は目を輝かせた。

「本当かい? それは楽しみだな」

「任せてください。今日はたくさん作りましたから。たくさん食べて栄養をつけないといけませんからね」

「ありがとう、心遣いに感謝するよ。それじゃあ近くの公園にでも行こうか。そこでゆっくり食べようじゃないか」

「はい、わかりました。それでは向かいますか?」

「うん、行こっか」

 僕らは墓地を出て、近くの公園に向かう。

 先輩は、きっと僕に弟さんを重ねているのだと思う。僕の存在が少しでも先輩の力になっているのなら、こんなに嬉しいことはない。

 これからも先輩を支えていこう。僕はそう強く思った。


〇「神社にお参りに行き、2人でのんびり過ごした。霊障値−1」(墓地、公園)、今回も七不思議見つからず

  調査値合計:5、霊障値合計:1、残り七不思議、あと四つ

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