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オカルトショップにて

 その日、僕らは怪しげなグッズがたくさん揃っているショップに来ていた。ここは、オカルト好きの生徒たちがこぞって訪れる場所だ。先輩曰く、「こういったお店は意外と掘り出し物があったりするからね。一度来てみたかったんだよ」ということらしい。店内に入ると、そこはまさに魔窟といった感じの場所だった。壁一面に怪しい人形が置かれており、天井からは不気味な顔がこちらを見下ろしている。掘り出し物と先輩は言うが、何が普通で何が掘り出し物なのか、僕には見当もつかない。


「西来路くん、見てごらん。この仮面なんて凄いじゃないか!」

先輩が楽し気な様子で持ってきたのは、木製の仮面だ。木彫りの狐のような面が不気味に笑っている。

「これ、呪われてたりしないんですか? なんとなく禍々しいオーラを感じるんですけど」

「呪いのアイテムか……。西来路くんにしてはなかなか面白いことを言うね。でも安心してくれ、これはただの木製品だよ」

先輩は仮面を手に取りながら嬉しそうにしている。

「先輩、こういうものに興味があるんですね」

「ああ、実は私は占いが好きなんだ。でも、あまり信じていない。だって、占う人が嘘をつくかもしれないだろう?」

「なるほど……」

「そこで、自分で調べる方法を考えた。その結果がこのオカルトショップさ」

先輩は棚に置いてある商品を次々と手にとって眺めている。

僕も少し興味が湧いたので、一緒になって探してみる。すると、壁に掛けられている絵を見つけた。

「これは……?」

僕が尋ねると、先輩はその絵画について説明してくれた。

「これは『魔女の予言』という油絵だ。タイトル通り、女性が予言をしている場面が描かれている」

「この女性は誰ですか?」

「彼女は、未来視の能力を持っているんだ。それで、これから起こることを予測していたのさ」

「なるほど……」

「でも、実際はそんな能力はなかった。彼女の近くにいた人や、この絵を描いた画家が彼女の能力を捏造したんだ。それがわかってからも、人々は彼女を信じ続けた。そして、最後には処刑された」

「……」

「でも、この絵を見たものは、みんな彼女が未来を予知していたと信じるようになった。だから、この絵は『予言の絵』と呼ばれるようになったんだ」

「……」

「どうだい? 何か感じることはあったかい? ちなみに、作者はミレーという人だ」

僕はもう一度絵を見る。そこには、一人の女性の悲痛な叫び声が聞こえてくるような気がした。

「はい、なんかすごく心に響くものがありました。悲しい話ですね」

「そうだね。でも、この話は教訓として捉えることもできるんだ」

「どういうことですか?」

「人間は自分より優れた人間に憧れる。でも、それはあくまで理想に過ぎない。実際に付き合ってみると、相手は思い通りにいかないことばかりだ。きっと、君もそういう経験をしたことがあるんじゃないか?」

「はい、あります」

「でも、諦めてはいけないよ。自分にないところを認めてあげれば、必ず前に進めるはずだ」

「わかりました」

「うん、よろしい」

「ところで、この絵の作者はどうしてこんな絵を書いたんですかね?」

「それはわからない。でも、この絵に描かれている女性は、この世界を変えようと必死になっていたんだと思うよ」

「世界を変える?」

「そう、この世界は理不尽なことだらけだ。自分が正しいと思っていても、周りに否定されるときもあるし、自分の考えが正しいと証明することもできない。だから、誰もが苦しんでいるんだ。だけど、もしこの女性のように本気で変えようとしている者がいたら、世の中はもっとよくなっていたかもしれないね」

「……」

 僕は『予言の絵』をじっと見つめる。そこに描かれている女性の顔は、どこか先輩に似ているように思えた。


「ところで、何か掘り出し物は見つかったかい?」

「いえ、僕は特に何も見つかりませんでした」

「そうか、残念だな」

「先輩は何を探していたんですか?」

「ふっ、よくぞ聞いてくれたね」

 そう言うと、先輩はニヤリと笑った。

「私は魔除けのアクセサリーを見つけたよ。ほら、これを見てごらん」

先輩が手に持っているのは、赤い石のついたネックレスだった。

「それは?」

「これはね、身に着けているだけで幽霊や悪霊から守ってくれるというお守りなんだ」

「へぇ~、それは便利ですね」

「ああ、とても便利な代物だよ。もちろん西来路くんのぶんもある」

「えっと、僕は別にいいです」

「遠慮することはないさ。私がプレゼントしてあげるから」


 店から出たあと、先輩は強引に僕の首にネックレスをかけた。

「はい、これでよし! お揃いのアイテムだね」

 先輩はとても満足げな顔をしている。

「ありがとうございます。大切にしますね」


 僕たちは夕暮れの中、並んで歩いていく。

「今日は楽しかったね」

「そうですね」

「また二人で来ようか?」

「ぜひお願いします!」

 僕たちは笑い合う。そして、二人の間に心地よい沈黙が流れる。先輩の横顔を見てみると、オレンジ色の光が先輩を照らしている。その表情は穏やかで優しい。先輩が僕に微笑みかける。

(この人はいつも笑ってくれるな)

 その時、僕は唐突に思った。

(僕は、この人の笑顔が好きだ)


〇「街に出てミステリーショップによってみた。霊障値−1 」(オカルトショップ)、今回は七不思議見つからず

  調査値合計:5、霊障値合計:2、残り七不思議、あと四つ


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