深淵1
ここで一つ疑問が残るだろう。なぜ私の剣と神の失敗作の消滅の剣が、衝突した時は空間が消滅しないのかを
結論を言おう、空間自体は消滅する。いや消滅したことになったと言うべきか……
神の失敗作の消滅の剣同士が衝突した場合は、空間もそうだがその一帯を消滅させる。勿論例外はある、例えば異常個体などである
詳しく話そうか。私の剣は消滅の剣であり、消滅の剣ではない。あくまでも破壊・消滅の効果を有する、武術でしかない
剣自体に消滅の能力がある神の失敗作の剣とは違うのだ
だからこそ性質が、似て異なる消滅の剣が衝突した場合は、空間が消滅はすれど、消滅しないのだ
つまり、より強い消滅の力を持った剣が勝つ
そして負けた力は消滅し、その空間のみが消滅することになるのだ
ならば………私の剣と神の失敗作の剣どちらがより優れた剣なのか。それは誰もが分かると思うが、当然神の失敗作の剣である
神の失敗作の周りに無限に思わす、触れた物を全て消滅させる漆黒の光を放った剣、一本一本が私の剣とは比較にならない。最早比較すること自体がおこがましく絶対的な差がある
その力の関係で、普通にぶつかれば私の剣が負け、私は封印紛いな事をされ、実質死だ
それを分かっていてただ我武者羅に向かって行く程私は愚かではない。
勝機はある。5本に分かれていた時は、五分五分であったが……今は万をやって一成功するかどうか
理由は単純だ。奴はまだ本気をだしていないこと、私は最凶の流派崩壊流を使っていること、そしてこの見習いの長剣を使っていること
もし神の失敗作が本気の場合は、間違いなくその手で剣を振るう筈だ
そしてたった今5つの剣を一つにしたことからさらに確信が深まった。
だがそこが勝機でもある。神の失敗作は私の事を弱者と油断している
次に崩壊流だが言わずもだが、これは破壊・消滅の効果がある武術であるからだ。この効果は異常個体である破壊者にすら、攻撃を通す事ができ。また幾ら神の失敗作が異常個体であろうと、本体ではなく、剣である限りはそちらの方が脆いのは言うまでも無いだろう
そして最後だが見習いの長剣。こいつの耐久は無限であることだ
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見習いの長剣;
耐久∞/∞
筋力+2
速さ+1
スキルなし
備考:レベル1でしか装備出来ない装備。
入手条件:チュートリアル
称号:最弱の長剣
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この剣ならば、衝突時の一方的消滅はしない、と予想される
だからこそ………
「ッハ」
時が止る
今この瞬間、私の剣と神の失敗作の消滅の剣が激突した。
音は無かった
(何て強さだッ)
ピリッピリピリッッ
一撃二撃三撃。次々と神の失敗作の消滅の剣に攻撃をするも、その勢いは少しも止まることは無かった。
(まだ、だ)
ピキッ
20を越えた当たりで、さらに異変が起きた。先程までは予感でしかなかった。だがそれは目に見える物へと変化を遂げ。その刀身にヒビが入が入り、一撃毎にそのヒビは広がっていた
(なぜ……)
なぜ今まで見もしなかったのか…………いや、それも当然か。私は見るではない、見てみぬ振りをしていた。今の見習いの長剣は、最早全くの別物……見習いの長剣(深淵)に変化を遂げている
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見習いの長剣(深淵);
耐久∞/∞::1/1
筋力+2::+20000
速さ+1::+10000
スキル;
鉄壁
備考:レベル1でしか装備出来ない装備。
入手条件:チュートリアル(異常個体に対する激しい感情)
称号:最弱の長剣
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そう、筋力+2であり+20000であるように、耐久は∞でありながら1だ
この変化の原因は何だ。それは(深淵)にあるだろう
ならば、この耐久1とは何なのか、簡単なことだ深淵の消費量に依存する深淵の耐久ではないのか
このまま深淵を使いすぎると剣が折れ、使えなくなると私が封印紛いな目に合う。
そこで一つ仮説を立てて見よう。この世界において私の身体はどうだ?答えはどんな致命傷を負おうと、死にさえすれば完全な状態で再生し復活している。これは私だけなのだろうか?
武器にも有効な可能性も十分ありえる
当然深淵を使った状態では耐久1だ。
最早、この回答の答えは出たに等しいのではないか。どちらにせよ、終わるのならば微かな可能性を見出す深淵を使うまで
…………
30、40……100次々と斬り
パキ
剣が完全に折れた。その瞬間私の手から折れた剣が消えた
「崩壊流〈捌の大刀“百花繚乱”〉」
私と神の失敗作の全てを消滅させる剣が衝突する寸前で、見習いの長剣が手元に顕現する
(仮説は証明された)
最後
斬る
(ック)
急に、重く………
「崩壊流〈肆の大刀“破斬”〉」
バキ
再び一合と間もない短い時間に、見習いの長剣が折れてしまうのだった