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Infinity job change~デスゲーで仲間と生きる  作者: 寝る人育つ
壊れた人形のチュートリアル
21/24

記憶の痛み

side:神の失敗作(マリア・カナテ)


なんだなんだなんだなんだ、なぜ邪魔をする!


妾とやつの死合を。妾がなんのために……殺す


………


「やっぱり今日もここにいた……」


「……」


私はこの男が嫌いだ


「君は女の子なんだ、剣をもつべきじゃない」


こいつは剣士である私を女扱いする。さらに、剣を持つなと言う。


私はこの男が嫌いだ


「全く、また団長に怒られちゃうや」


これは、剣の道しか知らない私の道を狭ねる枷


私はこの男が嫌いだ


「なあそろそろ、やめないか?」

「……」


「はあ、明日もくるよ」


いつも言いたいことだけ言って帰っていく。


私はこの男が嫌いだ




毎日毎日、聞いてくる。




ふと思う。なぜ私に構うのか?それも嘘までついて


団長……それは王国最強の騎士と謳われた私の父だ


父は私に剣を教えた。そして私が幼い頃に死んだ


この国は、父が死んでから団長の席は未だ空席だ。この国に父に変わる騎士はいない。


故に死にした父は団長と呼ぶ人もいる。その数少ない一人が私だ。父の死を受け入れられない。



剣はいい、嫌なことを忘れ。ただひたすらに振るえるから



…………



時は戦中


私の国の敗北に終わった



酷いものだ、私以外の殆どが。抵抗も出来ずに殺され、あまつさえ敵に背を向け逃げ出す始末だ


「斬る」


例え戦争が負けようと、私は王国の騎士。死ぬまでここを離れる訳にはいかなかった


剣が折れた。ならば素手だ


しばらく抵抗するものの所詮は数人。数百数千に敵うはずもない。一人ずつならまだ勝負が出来たかもしれない。だが、相手もそこまで馬鹿ではない。数の有利を活かし、一人に最低3人を付けている。


「あ」


私の目の前に剣が見えた。私の剣ではない、誰かの剣だ


これが味方の剣なら良かっただろう。しかし、父の騎士団は軟な弱者はいない。集団としてでなく、個として戦うことで力を発揮する


「うっ」


左目を失った



「ッグ」


視点が揺らぐ、バランスを崩してしまった。追撃だろうか私の目の前に、剣が覆った



「ああ……」終わり、か


せめてもの抵抗に多くを道連れにしようと思ったが、あまりにも強大な力故に抗えなかった


瞼を閉じ。ただひたすらに死をまった


「やめろーーーー」


痛み……死の痛みがいつまで経ってもこない


ふと、目を開ける。そこには私の嫌いな男がいた


「だから剣、をもつべきじゃないって、いっ…ゴッホ。ッへへ、すみ、ま、せ、んだんちょ…………」


全てを言い終える前に男は死んだ。


私はこの男が嫌いだ。



だからと言って、死んで欲しいと思っていない



私はこの男が嫌いだ



団長、父が常に補佐として連れ歩いているほどの強者だ。普段は飄々としつつもいざ戦争になると、鬼神の如き強さを発揮する



私はこの男が嫌いだ



ただただ羨ましかった。私の願いはただ一つ………なんだ。



私の周りに灰色の剣が現れた。


「ああ」


無意識。


その剣は私の願を叶えられる剣だと。本能が直感。それらが揺れ動く。言葉では言い表せない何かがこれにはあった。


気づくと私はそれを握っていた。


灰色だ。地が海が空が灰色となり、記憶すらも。この世界すべてが色を亡くし灰色へと塗り替わる。



チカラガホシイ。



最初は小さい願いだった。その願いが年を重ねるごとに。そして、父が死んでからさらにその願望が膨れ上がった。


私の中の何かが失われ、そこにナニかが入ってくる。



チカラガホシイ



私から大切な物を奪う存在が憎い。

私から大切な人を奪う存在が憎い。

私から大切な場を奪う存在が憎い。



だから、、、、を手に取り目の前の敵軍を斬った


そこからはよく覚えていない。ただ一つ味方は全滅し敵もまた全滅した。気が付くと、私一人だった



そして気がついてしまった。




『奪われる前に奪ってしまえば良い』



それからはただ力を求める虚無と化した。



………


(ケイン)に向かい、数万の剣を放った。虫は消滅するはずだった


『なに』


妾の攻撃を受けて、立ち上がっただ、と




――――――――――――――――――――――




side:ケイン


ああ、この痛みは私の痛みではない。これは神の失敗作(マリア・カナテ)の記憶の痛みだ。それと同時に神の失敗作(マリア・カナテ)の思いも流れてきた

因みにマリア・カナテさんは


天使だった頃、一人称は“私”

超越者から、“妾”です




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