やり直し
少し長めです
最後まで読んでいただけると嬉しいでです。
「これで設置完了致しました。それでは失礼します。」
「いつもありがとうございます。」
「それはこちらのセリフです。咲人様はお世話になっております。それにお家で、ケン様の事を自慢してらっしゃいますよ。『ケンが…』と。」
「そうですか。」
ことの経由は、咲人が俺に【IJC】をやろうと、誘って来たことだった。
最初は当然の様に断ったが、いつも以上に押しが強く、最後には俺が折れたのだ。だが俺はその【IJC】をするために必要な、機械を持っているはずがない。
そこで咲人が俺に余っている一台をくれることになった。それで俺は咲人に……鬼嶋家に仕える使用人にその機械を持ってきてもらった。
(咲人お前が持って来いよ……)
purururu
「私共は遠慮なさらず、出てください。」
俺の携帯に誰からか電話が来たみたいだ。ただ、掛けてくる人はある程度予想がつく。
一つ、家族
二つ、咲人
三つ、間違え電話
まあこれくらいだろう。まあこの場合はレインによる、通知なので選択肢は自ずと上の2つとなる。
レインとは、国民的に使われている無料通信アプリのことだ。
まあ、俺にレインが必要かって話は、また別の話だが……とはいえ、こんな俺でもレインの友達は3人もいる。
それは両親である父さんや母さん、そして咲人の3人である。両親を友達認定していいのかって? あたりまえだろ。レインでは親だろうが友達になる。だから3人もでいい
まあ、レインについて始めて知ったのはつい最近のことで、まえまで知らない人種の一人で、咲人に教わり知ったばかりのレイン初心者
言ってて悲しくなるな…
いかん、だれからだ。
「すみません。」
俺は一言断りを入れてから電話取った。かけ主は咲人だった
『お、やっと繋がった。ケンそろそろ届いたか?』
「届いた…てか聞いてないぞ! 咲人自身で届けてくれるかと思ってた。それがなぜ使用人がきてんだ? こんな重たい荷物、使用人が可愛そうだ。お前が持って来いよ。それに大き過ぎないか?」
そう、【IJC】の機械は異様に大きかった。高さは1メートルを超え、幅は人一人が座れる大きさの椅子型だった。
『いやいや、それ重すぎて持てるわけないだろ。それに言われてないからな!』
「せめて手伝いにだな…。はあ〜ホントにそういうところあるよな…」
『すまんって。それに、その大きさは通常版じゃないからな。通常版はヘッド型らしい。』
「は? まあ良い。今に始まった事でもない、か。それで何の用。大体は予想つくけど。」
『まあ察しの通り【IJC】の事だ、サービス開始は明日なんだ。出来るか?』
「明日……。どうだろ…多分いけるかな。」
もっと早く言えよ……いや、そもそもやるつもりはなかったが…
『わかった、じゃあ明日からやろうぜ! 父さん情報だと、名前の通り無限大の職業がって、自由に変える事も出来るみたいだ。そしてここからが驚くべきことなんだが……自動イベントシステムってやつだ。本来無いはずのイベントをシステムが自動的に処理・実行をし、新しいイベントを発生させる。これで、延々と遊べてクリアって外面はあるが、全イベントクリアってのは出来ないらしい。燃えてくる! 明日が楽しみだ…………』
なんか喋り始めたな…咲人が一度熱が入ると5分は話すのがいつもの流れだ
『ってところだ』
結局10分程度、咲人は理解不明な言語を話し込んだ
「あ、うん。そうだね……」
(話の9,9割以上は理解出来なかった。これが日本語なのか? とにかく面白いゲームってことかな)
『何だよケン、テンション低いぞ。』
「はあ、そうだな。オモシロソウダネー」
『メッチャ棒読みじゃん。まあいいか、なら明日やるぞ。』
「あ、うん。」
ガチャ
一方的に要件をしませた咲人は、既に電話切っていた
咲人よ、そんなにすごいのか?
そして一つ聞きたかったのは、お前はテスト大丈夫なのか?
毎回赤点ギリギリ……新しいゲームを始めたら赤点取るの繰り返しで…テストまであと2週間くらいだぞ
「ま、咲人の事を気にしてもしょうがないか。」
「咲人様からでしたか。本当に仲がよろしいようで私共は安心してます。それに旦那様もケン様に感謝をしていました。ケン様に会うまでの咲人様は常に神経を張り巡らし、休む時間を取ろうとせず。改めてありがとうございますケン様。」
そうだったか……今も昔もそう変わらない無鉄砲なやつだろ
「大丈夫です。それに友人ですから。俺も本人に改まって言うのは気恥ずかしいですが、咲人にはいつも助けられています。」
その明るさに……
「それは何よりです。では、私共はこれで失礼します。近い内に鬼嶋家にお越しください。咲人様や当主様もきっとお喜びになります。」
ややあって
鬼嶋家の使用人が帰ったあと、俺は寝るまで勉強をするのだった。
余談だが。勉強中に、咲人から電話が何度か掛かってきたが、当然の如く無視を決め込むのだった
それから一日がたった。昨日は金曜日だったので今日は土曜日。学校が休みだ、今日は咲人が朝からどうしてもやりたい、と言うので朝からやることになった
ちなみに俺も少し楽しみでもある。なんたってこのゲーム思考加速システムがあるらしい。つまりこっちでの1日はゲームでの2日になっている、なら勉強できるのでは? と、考えた訳だ。
もしできるのならば、これからはこのゲームで勉強をしていく所存だ
そんな事を咲人に言うと『お前は勉強しか、頭に無いのか! この勉強魔神』と言われた。解せん
ややあって
「朝ごはんは食べた。歯も磨いた。予習も昨日の内に終わらした。やるか。」
俺はそう言って【IJC】をするための機械に座った。
「こうして見ると若干違うが、少し豪華な椅子だな」
それは全体的白色で、座ると自動的に上から板のような物が出て、視界が様々な光に包まれた
「確かこの椅子の位置を調整してっと。これくらいが丁度いいか。
『【Infinity job change】起動』
」
そう唱えると、不思議なことに。己の意思とは無関係に意識を失っていく感覚に陥り、最終的には完全に意識が落ちる
気が付くと俺は不思議な空間に立っていた。それをあえて言葉で表すならば真っ黒でありながら、真っ白な空間だろうか。不思議な空間だ
(これが、咲人が言っていた。ゲームの世界、か。凄いな、本当に凄い。体などは動かないが、感覚はしっかりある)
突如文字が現れ、それと共に頭に直接声が響いた
_______________________________________________
〈ようこそInfinity job changeへ〉
_______________________________________________
たしかNPC?ってやつか。昔、咲人から誘われてやったゲームは、固定語しか話さなかった。でもこのゲームは動きが滑らかで奇麗だな
時代の流れって凄い
〈あなた様がこの世界を救ってくださる勇者様ですね。あなた様のお名前をお聞かせ下さい〉
名前か…そうだな俺の名前がケンだ。本命は止めとけって咲人が言ってたし、少し文字って
「ケイン」
……
〈勇者ケイン様ですか。それではケイン様、自身にあったSPを振り分けて下さい。〉
SP?
「ッなんだ」
また何か出てきたな
――――――――――――――――――――――
各SPをお振りください
※割り振りによりスキルが変化します(最低1個〜 )
やり直し可能性
残り時間23:59
名前:ケイン
職業:未定
生命 :0
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:100
――――――――――――――――――――――
文字が浮かび上がり、やがて昔の誘われらゲームで見たことがある何かが写しだされた
一番気になるのは、米印のスキルとやり直しだよな…そもそもスキルってなんだ?
それに、そのスキルが重要な物? だとして全部のパターンにより違う場合物凄く、時間がかかる気が……
ま、まあ物は試しだ。分かるところから振るって見よう。
【生命力】はそのままだろうし、取り敢えず【生命力】に100SP? を振ってみよう
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
yesっと
――――――――――――――――――――――
それでは訓練所にご案内します
――――――――――――――――――――――
え、ちょ。やり直しは?
あ、
その時には目の前の景色が変わっていた
「よう坊主! ここは訓練所だ。だだしここでも制限時間は取られるから、そこの所は理解しておけよ。」
「 」
話せない。それに体も動かない
「む、何だ坊主少しは返事をしたらどうだ」
俺の目の前にいる、おっさんがそんな事を言っているが、身動一つ取れない
まさかとは思うが、SPにある、速さが0だと何も出来ないとか…
なら、あの文字のやつも見れないのか?
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :100 (10)
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
生命上昇(小)
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
出てきた…
えーとやり直す?
……まさかこのまま24時間続けるとか
それから一時間。俺は思いつくかぎりの方法で、やり直す方法を探した。
現在分かることは、ステータスを己の意志で操作できること。そして視点の右端にタイムリミットが存在することだった。
ステータスとは、空気中に浮いている? 文字の事だ。これも書いてあったから、そう呼んでいる
今は22:52と表情されている。
これどうやってやめるの? そろそろ飽きてきた。
目の前のおっさんも俺がただ、立っているだけだから、物凄く暇そうだし
ふーそろそろ止めたい
これが最後の案だ
『やり直し』
……
それをきっかけに俺は、不思議な空間に戻っていた
「うそ、だろ。今ので行けたの…」
(もう心が折れそう…あれ話せる)
でも、収穫はあった。同じ場所に全部のSPを振るのは駄目だと
多分全部降るなら、この生命力しか出来ないのじゃないかな
試しに振るってみるか
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :0
筋力 :100
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
これもyesっと
――――――――――――――――――――――
それでは訓練所に案内します
――――――――――――――――――――――
ここまでは同じだな。
俺の目の前におっさんが現れたと、思うと目の前が真っ赤になり
――――――――――――――――――――――
death
――――――――――――――――――――――
俺の視界には日本語に訳すと“死”と書かれていた
うん、予想はしていた。ステータスはどんなおもだろうか
―――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :0
筋力 :110
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
筋力上昇(小)
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
おおかた予想通りだ
これ、意外と面白いぞ。他には何があるのか。
それからと、俺は様々な割り振りを試していった
そして残り時間12:00を切った時だ。俺はあるミスを犯してしまった
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :100
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
〈称号〉
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
あ、間違えた…
12時間同じ事を繰り返すあまり、yesを選んでしまった
俺の視点が既に見慣れたおっさんが現れ、既になにも言わないことに気がつくのはいまだった
いままでおっさんを無視していたからな。さてそろそろやり直すか
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :110
筋力 :0
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :0
運 :0
〈スキル〉
生命上昇(小)
〈ユニークスキル〉
ステータス書き替え
〈称号〉
ユニークスキルの保有者
SP:
――――――――――――――――――――――
…ユニークスキル?
でも、最初にやったときはユニークスキル何て…
「確率」
そうか確率
これで終わりにしよう。ただ本当にそれでいいのか?
俺の中でそんな言葉が残る。駄目だ終わってはいけない、と
ならばやることは一つしかない。“ユニークスキル”は一種類なのか、それとも複数あるのか。何回に一回でるのか。SPの割り振りは今のでないとできないのか
考えるだけで楽しい。このゲームすっごく楽しい
(※ステータス割り振り。ゲームは始まりといえるのか)
よし、あの振り分けで、ユニークスキル出るか実験だ
…………
残り時間05:23
出ない、これも違う。次だ。また出ない
残り時間4:19
出ない、もう諦めようか。あれからもう。8時間をやっている
時間で考えたら、あのときの“ユニークスキル”【ステータス書き換え】の方が長かった。
だが今回は、より効率化して繰り返している。
やり直している回数だけなら。絶対に今のほうが多いはずなのに…
止めたい。いや駄目だ!
そんなことをすれば今までの努力が、全て水の泡だ
残り時間01:58
出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない出ない
全然出ない
出ない
もう嫌だやめたい。でも、やらないといけない俺はユニークスキルを手に入れないと。
あれ?
何でユニークスキルを手に入れないといけないんだ
冷静に考えれば、俺はなぜやっている?
考えるな、考えては駄目だ。考えてしまえば駄目な気がする
今はユニークスキルが出るまでやるんだ。
今ので、2分もロスしてしまった。時間は有限
切り替えろ
残り時間00:29
もはや無意識でやり直しを出来るようになっていた
何でこんなゲームやっているのだろうか…
全く楽しくない
そういえば、咲人が言っていたな。あの時は何を言っているのかって、思っただけだけど、今ならわかる。
ゲームは楽しくない
続きをやるか、ユニークスキルを手に入れないと
やるって、決めたから。ゲームには負けたくない。それをすればゲームに咲人に負けた気がする。
ああ、そうか俺は悔しいのか。ここで諦めることは簡単だ
だが、諦めてしまえば咲人に負けるようなもの。咲人は、愚痴を言いながらも諦めずに最後までやり遂げているから
残り時間00:10
もう、あと十分しかない。このまま終われるものか。
それは嫌だな。
残り時間00:31
ずっと、やり直してきたからか。意識がもうろうとしてきた
確か、生命に1振って…
――――――――――――――――――――――
名前:ケイン
職業:未定
生命 :1
筋力 :60
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :38
運 :1
〈スキル〉
〈称号〉
ユニークスキルの保有者
英雄
SP:
――――――――――――――――――――――
本当によろしいですか?
yes/no
――――――――――――――――――――――
ま、間違えて運に、一つ振ってしまった
――――――――――――――――――――――
それでは訓練上にご案内します
――――――――――――――――――――――
それから、俺の目の前におっさんが現れた。そして
「よう坊主!ここでは、割り振ったステータスの試し運動をしてもらう。だだしここでも制限時間は取られるから、そこの所は理解しておけよ」
――――――――――――――――――――――
全ての条件が満たされました。
ユニークスキル【レベル1】を獲得しました。
――――――――――――――――――――――
え、ユニークスキル…や、やった!
か、かかか確認しないと
――――――――――――――――――――――
制限時間00:00
ステータス振り分け、時間終了します
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あ、終わっちゃった。ま、まあでもいいや。ユニークスキルは手に入ったし。それに後から確認すればいいだけのことだ
この時の俺は知らなかった。このスキルのせいで俺は、絶望することになることを
今にして思えば、出来すぎていた。ステータスのこと。スキルのことだって
そして……………………………………………………ユニークスキルのこと
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〈ありがとう。それでは、勇者ケインどうかInfinity job changeをお救いください〉
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そして、気が付くと俺は、だだっ広い平原の上にいた
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名前:ケイン レベル1
職業:未定
生命 :1
筋力 :60
防御 :0
魔法攻撃 :0
魔法防御 :0
速さ :38
運 :1
〈スキル〉
剣術/熟練度
〈ユニークスキル〉
英雄の道/レベル1
〈称号〉
ユニークスキルの保有者
英雄
SP: