side:スライム
かなり長いです
ソコはとてもとても暗い場所
我らの憩いの場。
だが、それはいつか無くなる。この世に永遠は存在しないから
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突如として、ソコに神秘的な光が差し込んだ。その光は我を魅了し、外界へと誘う。
その先に広がっていたのは、だだっ広い平原だ。そして、平原には一人の人間が存在した。
その男はお世辞にも強いとは言い難く、むしろ弱いだろう。だが、異様な気配を持った男でもあった
あの光は何だったのか。ここはどこなのか。そんな疑問が頭に浮かんでくる。
ただ、一つ本能で感じ取れたことがある。それは………
……この男を殺せ
と。それがこの世界の理であるように
『キュ』
我の攻撃で、男を吹き飛ばす。
『キュキュキュキュキュ』
さらに攻撃を続けることで、男の肉体はもはや原型すらとどめていない。
そこで我々だけがもつ、種族能力【吸収(戒)】
種族能力とは、普通のスキルとは違う。例えるならば、人が絶えなく何かを思考するように、鳥が空を飛ぶように。我らにとっては呼吸も同然。
そして、この種族能力が、我を魔物の頂点であり原点………始祖たりえる所以である。
古よりスライムは、魔物の始祖と呼ばれる。
そして我らにとって、種族体質【吸収(戒)】は、生物の食事のような物。
故に、我はその肉片と成り果てた男を喰らう。
「痛い」
しばらくした頃、聞こえるはずがない男の声が聞こえた
あり得ない。我は確実にやった。だが男は生きていた。
――不死身。その言葉が浮かんだぞ
我らは、身体を構成する99%以上があらゆる酸である。これが種族体質【吸収(戒)】の由来である
可笑しい。もう何度も我の酸で殺した
あれから男を意識するようになり、なんとなくだが生き返る時のタイミングが理解できるようになった。
どれだけ壊そうと、どれだけ溶かそうと。完全に再生し、生き返る
それでも我が一方的に男を殺すだけだから、良かった。
だが、我がもっとも恐怖することが起こってしまった。それは反撃。ダメージはない、我の防御を超えなかったから。
しかし、一方的だった戦に、反撃の余地が生まれた。
これは由々しき自体である。いつか、我の防御を突破する時が来る可能性もある。
案ずることはない。我らの種族能力は何も【吸収(戒)】のみではない【ストック(理)】そして、【再生(半)】がある。
我レベルになると、このスキルを使いこなせ。負けることはない……はずだった
異変が起きたのはいつ頃だろうか。一度ダメージがはいった
初めは壊し、溶かされ続けていた男が反撃。あまつさえダメージを与えた。我は死ぬのだろうか。いや、この生き返りも制限がある可能性は十分にある。
その希望の下、男を殺す。
6時間経過する頃。
男に異変が起きた。それは、笑っている《・・・・・》。動きも変化した。
最小限の動きで攻撃をし、時間のロスを最小限にするために、一瞬で死ぬ攻撃以外を回避・防御している。
壊れている。この男は異常だ。
死に対して恐怖はないのか。死に慣れたのか。死ぬことに躊躇をしていない。
普通の人間ならば、痛みのあまり廃人となる。そしていともたやすく心が壊れる。
だがこの男は違った。心ではない、感情が壊れていた
痛み、苦しみ、悲しみ、何も感じなくなったのだろう。それを代償に、圧倒的な精神力を手に人間の皮を被った化け物。
明らかに生き返る速度が上がっている。それがなにより、敵としてたちが悪い。
一日が立った頃には、全ての攻撃にダメージが入った。いや、正確にはダメージは十分にあった。当たりたい時に当たらなくなった。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
そして
悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい悔しい
この我が雑魚相手に攻撃が当たらないことが憎い。
得たいの知れない強大な者に遊ばれている気分だ。その思考に逃げている己が憎い。
その戦闘センスが、憎い。
雑魚の分際で我に攻撃を当て、あまつさえダメージを与えることが憎い。
ああ、どうしてくれようか……壊しても壊しても壊れない。溶かしても溶かしても溶けない。不死身の肉体、延々の痛み。笑わせるな、こんな化け物にそんなものは効かない。
我はどれほどやつを壊し、溶かしてきたか。
無い、無い。こんな化け物なんて存在するはずが無い。非合理で理不尽な存在はこの世にあってはならない。それが理だから
そしてそんな理不尽な個体は、もはや異常個体に等しい。
2日経過
攻撃の一撃一撃が鋭く、より強力になっている。
3日経過
時は来た。我らにとって生命力5割削れてからが本番。
スキル【再生(半)】で回復し、種族能力【ストック(理)】で生命力をプール。いまの男なら、我の【再生(半)】を上回る攻撃をできない。
不死身とはいえ、考え方を変えると、所詮は死なないだけ。人の身で我に勝つことは不可能。ただ、男の場合前提が違う、男は人の子ではない。これは化け物の類だ。
我らの種族能力【ストック(理)】は理であり、この世の法則を真っ向から無視する種族能力。
だが、化け物と種族体質は、そもそも比べる対象として、圧倒的不足する。
我らは理を消す力を保有する。異常個体は存在自体が世の理。そして消すだけではない書き換え。つまり新たな理をまるで初めから存在したように作ることができる。
奴らが消したい存在は、この世にいることができない。魂そのものがこの世界から嫌われ消滅する。
それは魔物の始祖であろうと同じこと。
存在が図りしれず、強さなど関係ない。それすらも理りから脱している。スキルや種族能力のような異能の力に、(理)と付いている物は、この世の理であり理からを脱している。
そして言い伝えでは、それは超越者の加護。
借り物の力で、借りた者には勝てない。これもまた世の理
まだそうとは決まっていない。こいつが本物の超越者なら、我など出会った時には殺されている。超越者の試練。それとも遊戯なのか……
7日経過。
そうか、そうだったのか。こいつは超越者であり超越者でない存在。未完成それとも欠陥品なのだろう
その必死さを見れば用意に想像できよう。貴様の攻撃では我の再生においるつけまい。
さあ痛み、苦しみ、悲しみ、何もかもを代償に、圧倒的な精神力を手に、人間の皮を被った化け物よ
抗え、理解した。貴様は未完成・欠陥品どちらか。ならば貴様では我の再生には勝てない。延々の勝負の末。今度こそ心を壊し殺してやる。
抵抗さえ緩めば逆に貴様を利用出来よう。そう進化だ
我は進化し、同胞の恨みである名無き村の住人全てを駆逐してやる
あれはこの世の創世期。我らは皆楽しく、暮らしていた。だがことは起こってしまった
名無き村……やつらは突如として現れて、我らを絶滅寸前まで追い込んだ。幸い奴らは我らを滅ぼすのをやめ、残されたのが一部のスライムのみ。そしてその大半が弱い個体のみだった。そこで我らは復讐のために眷属として、魔物を創り出した、と言い伝えられている
そして名無き村には超越者の血が流れているとも。始まりは、超越者が遊戯で強力な人を作った。そこで、我らと戦わせたと。当時を知る我にとってそれは地獄そのものだった。
今では、その妬みが忘れ去られ。更には魔物の始祖であった、我らの弱体化。
魔物の中で最弱の存在とまで言われている。だが一部、ほんの一握りだけはこの復讐心を忘れる事は無かった。その一握りの一柱が我れである
そして男を利用。抵抗をやめようと。生きていて、我の中に存在する限り。戦闘は続いていく。擦ればスキル【再生(半)】の効果は継続され。我の生命力のプールを延々とためていけるのだ。これなら奴らであろうと勝てない道理はない。
10日経過。
心は壊れていないが順調だろう。奴は我の生命力を半分削ってから、一度足りとも我の生命力を削れていない。正確には我の再生速度についていけてない。
一ヶ月経過。
なぜだ。こいつの精神力は、今更ながら常軌を逸している。壊れない、心が壊れない。
一瞬だが我の再生を上回ったような気がした。やつではなく我の心が壊れそうなくらいだ。未完成・欠陥品でも、超越者は超越者なのか……成長している。それも異常なスピードで。
存在値とは別のなにか。超越者とは何処まで……
だが我の攻撃を少しは避けれるようになったからと言っても。頭が吹き飛び、手足はなくなる。さらには腹が貫通している。それでも我は笑えるか。否、である。
可笑しいのだ、可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい可笑しい
我は笑えない。笑えるはずがない。この男はどうだろう、笑ったのだ。この状況下で笑っていた
笑うな! 笑うでない。止めろ、止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ
もう、嫌だ。吐き出そうとした。何故か吐き出せない。だからと言って。壊しても、溶かしても、殺せない。
もう何もかもが駄目だった。
わ、れ。わ゛わ゛わ゛れ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛
何がいけなかったのか、そもそもなぜ我はここにいるのか
ゾ゛ウ゛ダ゛。ズ゛、ズ゛ズ゛ズ゛べ゛デ゛デ゛デ
記憶が混乱を呼び、そして目の前が真っ暗になった。
ギ゛エ゛ル゛、ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛キ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛ギ゛エ゛ル゛
我は何なのか。こいつは何なのか。
ゴ゛ワ゛ズ゛、ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛ゴ゛ワ゛ズ゛
復讐? もういい【名無き村】? もういいッッッッ!!!
オ゛ド゛ゴ゛、オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛オ゛ド゛ゴ゛………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………オドゴザエゴロゼレバ、ゾレデイイ
我は壊れてしまった。いやもとから復讐に囚われた。人形だったのだろう。我はただ男を殺す。それが使命
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何かが聞こえた。例えるなら真っ暗な中に、さらに黒い。色すらを飲み込むナニカ全てを飲み込んでしまう。悪魔のささやきのように、黒く暗く冥かった
【個体名スライムに、邪神の権能【〈邪〉“代償”】を一時的に譲渡します】
我という人格にナニカが入ってきたような感覚。それはとても冷たく、とても温かく。とても怖かった
自然と目に写り。我を誘う。我が我でなくなり。我が我になる。
我が私。私が我
少しずつ少しずつ、私にの自我が芽生え始める。
我の世界が変わり、私が我だけの聖域を脅かそうとする。だが拒めなかった。拒むのではない。受け入れろと我のほんの……うっ拒め。騙される……
我の思考が私に誘導され停止していく。
必死に抗い我は私を拒絶する。
『汝の願いは何だ』
抗い続け体感何日も経った。疲弊し、意識が朦朧とするなかふと声が聞こえた。
『貴様の願いは何だ』
我の願い
『貴様の願いは何だ』
それは………
『貴様の願いは何だ』
な、な…む……
『そんだ言え。さすれば、叶えてやろう』
復讐だ、名無き村に復讐を
『本当にそれなのか』
また知らない声だ。
『貴様の願いは何だ』
本当の……
『貴様の願いは何だ』
男………
『答えよ』
男を殺す力だ!
『ならば、』
『叶えよう。』
『超越者に、』
『なる』
『可能性』
『が』
『ある』
『存在は、』
『あって』
『なら』
『ぬ。』
『男』
『を』
『殺せ』
『『『必ず殺せ』』』
殺す。殺す。
【成功しました。個体名スライムに〈邪〉の権能【代償】を一時的に譲渡します】
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代償;
備考:ナニカを対価にし上位のナニカをランダムで得る“代償…ランダム上位”。
ナニカを対価にし下位のナニカを指定で得る“代償…指定下位”。
(代償で支払ったナニカは、一生戻らない)
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これがあれば【名無き村】を…いや男。さらなる高み、超越者であろうと……………………殺れる。いたぶれる。我は選ばれた存在
さあこれからが本番だ。魔物の始祖にして選ばれし者。男よ抗え、恐怖せよ
そして…死ね。
この代償ものすごく強い。その確信を持てたのは、【“代償…ランダム上位”】で、ストックを1つ捧げた直後だった。
我のステータスそのものが段違いに上がった。全能感……今のステータスアップだけで男を殺せる気がする。
進化に似て、我の存在そのものが変換した感覚。
だが、それでも男を殺すことは叶わない。この溢れる力の影響で、忘れていた。男は不死身に近い存在だったと
そこでさらにストックを使い、【“代償…ランダム上位”】を使った。
(なぜだ)
結果なにも反応も無かった。先にあった全能感を再び味わえると予想していたが、なにもない。
(いや、あれは……)
我から少し離れた場所には、台座に禍々しい剣が刺さっていた。
本能で理解した。触れた物全て消滅させる剣だと。この剣を見た瞬間、全能感が急激に冷めこれは、我よりさらに上位の存在が使う剣だと分かる。
使えない。いや、使う以前に柄の部分ですら触れることすらできないだろう。
剣が拒絶し、剣から放たれているオーラにより、存在が消され消滅されると感じる。
そして、理解した。超越者とはこれなのだと。
我より上位の存在、それは数えるほどしか存在しない。神の代行人、神。そして超越者
それらの存在の武器だと。そして【代償】は、借り物の力であったことを
…………
一年がたった。
あれから、もう一度【“代償…ランダム上位”】を使った。そこで出てきた物は、台座に刺さった剣だった。
2度目の剣は、何も感じなかった。
我が3度目の【“代償…ランダム上位”】を失敗してから、怖くなった。我に使いこなせる代物ではない。そして、男が我の回復に追いついてきた。咄嗟に【“代償……指定下位”】を使い、防御を上げた。
それにより、男の攻撃は我の防御を、上回ることができなくなり我はストックを作っていく。
そして、男の攻撃が、我の防御を上回るとまた、【“代償…指定下位”】で防御をあげる。
もはや、その時の我は【代償】を手に入れた時の決意は、欠片も残っていない。
あるのは【代償】が恐ろしく。そしてそんな【代償】の一端をふれてもなお、男を殺すことはできない。それどころか、男は笑顔で戦っている。
我では男に勝てない。すべてを受け入れた時。身体中から力が溢れてくる。だが、もはや理解してしまった今もはや勝てる気がしない。
自暴自棄になり、【“代償…ランダム上位”】を使い、全てを捧げた。
それにより、さらなる力が溢れてくる。それでも男に勝てる気がしない。
「思えば、お主と出会い早1年近くたった。」
男が何かを話した。
〈陸の大刀“始祖ノ型〉
プツン
我のなかで何かが外れた。もはやどうでも良くなった。
『フニャ』
その時男は、我に攻撃をする。その攻撃は普段とは段違いの破壊力をもち、我の身体が崩れていく
ああ……復讐を果たすことができなかった。
「相手が悪かった。そして世に一人の強者を生み出した。私は斬り、お主が斬られる。その関係は変わらず。お主の負けだ」
ふたたびおとこが何かを言う。
『フ、フニャー……』
これは、一匹のスライムの物語。
このスライムにより、ケンの心は死んだ。