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Infinity job change~デスゲーで仲間と生きる  作者: 寝る人育つ
絶望のチュートリアル
11/24

スライム牢獄と狂い

スライムの異変を感じさせたのはいつだっただろうか。


いま、あるいは………




3日経過


違和感――


それは、スライムの生命値を5割削った頃に感じられた。


攻撃するのを諦めのか、ある時を境に死ななくなった。


もう一つの変化。それはこいつ(スライム)の防御が高くなった。俺の動き(殺す剣)は変わっていない。いや、むしろその鋭さが増した。だが、スライムの動きが無くなった途端、ダメージが通ら無くなった。



(防御に専念したか?)


当たり前のように、そう思い込んでいた。



こいつ(スライム)の恐ろしさを知ることになる。全てのスライムが持っていて、全て魔物が欲する絶対なる種族能力(・・・・)




7日経過


回復している?


一週間経ち、もうそろそろダメージが出ているだろうと確認する。


そこに表示されたのは、生命値2割ほどが削られていた。


2日前は、確かに5割の生命値が削られていたはずだ



回復速度が早い。



『キュキュ』


「ッグ」


さらに追い打ちをかける形で、攻撃を喰らった。久々だったこともあり、防御も取れず即死。


少しだけ痛み(・・)を感じてしまった。


厄介……厄介? なぜだ?





防御が高い。俺には崩壊流がある。


回復する。回復速度より早く斬ればいい。


痛みが感じた。俺には痛みの感情がない。



そう、俺は壊れてもしまったから。


感情を捨てろ。ただ目の前の(スライム)を斬り殺せばいい



10日経過


おかしなことが発生した。スライムは生命値のプールをし始めた。


最大生命値を越えてもなお回復がおこなわれている。既に元の生命値1個分のストックをしていた


2日で回復速度を上回る攻撃が出来ると、思って無かったのは認めよう。だが、プールされるとなると時間がかかりすぎる。


ただでさえ防御力が高くなったいま、限界値が存在するのか。このプールの限界値が無尽蔵なら、攻撃が通じ始めた頃にどれほどのストックを貯められているか。考えただけで恐ろしい。


そして、俺が一番恐れているのは……プールできるのは、なにも生命値だけとは限らない。



(そもそもレベル1の次が200。そこが一番おかしい。)



一ヶ月経過


ようやく、ようやくだ。


回復速度を上回る攻撃を、稀に出るようになった。体感的に1万に一回程度だろうか。


この調子ならあと二日で、これ(スライム)の回復速度を上回るだろう。


因みに今のストック量は、最大生命値6体分。つまりこいつの生命値を6体分斬れば終わることになる


さらに朗報。こいつ(スライム)の攻撃癖が、何となく分かるようになってきた。まだ言葉では何とも言えない感覚的な問題だろう


『キュ』


今ではこのかわいい悲鳴もかわいい、と思える程には俺の感覚も狂ってきている。


「アハハハ」


斬るッ斬るッ斬るッ!!斬って斬って斬りまくり、殺してやる


スライムから全方向触手攻撃を、躱し、逸し、反撃を繰り返していった。


その過程で頭は吹き飛ぼうが、手足が無くなろうが、腹が無くなろうが。構わず斬る


その方が、効率が良いからだ。どうせすぐに再生すると理解しているから。


死ぬときの痛みが、気持ちいいと変換され、興奮する。………人生の充実さが芽生え、生への喜びを感じる。こいつ(スライム)を斬り殺す。それしか考えていない


「あは、アハハハハ」



痛い気持ちいい、痛い気持ちいい、イタイキモチイイッッッ!!


今の俺を見れば誰もが、忌避し離れて行くであろう……


そして、壊れている


、と



この(スライム)牢獄に囚われ、一月痛み。少しずつ少しずつスライムの生命力を斬っている。


再び何らかの方法で回復された時には、絶望しそれすらキモチイイと感じてしまうだろう。


絶望を何度も何度も繰り返し、与えられることで、体が、心が、絶望を望んでしまう


まともであれば、延々と終わりの見えないナニカを斬っているだけ。それも死の痛みのおまけ付きだ



そしてこのままでは終わらない、そう確信を持てていた





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