VRMMORPG
それは、全世界の希望となる技術だった。
それは、夢のような技術だった。
それは【Infinity Job Change】略して【IJC】
【IJC】は、非公開ながら、知らない人の方が少ないとされるほど、発売当初から注目を集めていたゲームだった。
人々の反応は人それぞれである。
なぜなら、意識を別世界に飛ばす技術。これを用いれば、現代では到底治すことが不可能とされる難病を治す糸口が切り開ける可能性があるからだ。
これは瞬く間に全世界に広まっていく。
それ故に命の結晶。まさに人類の希望とも言えよう
この技術を現代に普及させようと数多の企業が開発に勤しんだが、たった1つの企業が開発に成功した
そんな、世界初意識を別世界に飛ばす技術をVRMMORPGとして【IJC】に導入された。
そしてその【IJC】が発売されるのが今日この日だ
だが。
万能薬は時として猛毒になりえる
それは後に、世界を揺るがす最悪にして最凶の大事件。"デスゲームの日"として歴史に刻み込まれることになった
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「ケン、知ってる【IJC】のこと。」
「イン…何だって?」
「はあ~やっぱ知らないか…【IJC】だよ【IJC】いや知らないなら、このお兄さんが教えてやろう。」
俺に話しかけて来るのは、俺の唯一の親友であり、唯一の理解者である鬼嶋 咲人。俺が通っている学校でもかなりの人気を誇っている、いわゆるスクールカースト最上位の陽キャだ。
対する俺は鏡 ケン名前以外は特に何も目立つところがない陰キャ。友と呼べる友は咲人しかおらず、それも咲人からすれば俺も数多の友の一人に過ぎない存在
「いやいいわ、どうせまた何時ものようにゲームの誘いだろ。俺はパス、バイトで忙しい。それに、だ。誰がお兄さんだ。お前にお兄さん呼ばわりされるとか鳥肌立つぞ。俺とお前は同年代、ださらに生まれは俺のほうが早いどちらかというと俺がお兄さんだ。」
「うっ…ま、まあいいんだよ、細かいことは気にするな。やろうぜ【IJC】」
「ループしてるぞ。」
「そうか、じゃあやろう。」
「いつも以上に押しが強いな。」
「いいじゃん! 一生のお願いだ。な、俺達友達だろ。」
「なあ、一生のお願いこれで何回目かな?この前も一生のお願い使ってただろう。それに友達じゃない。」
「なっ! ガガーン。」
「口で言うな。友達じゃない親友だろ。」
「ケン…」
咲人が俺に抱きつこうとしてきた。正直男に抱き着かれるのはキモいだけだ。
「やめろ抱きつく……」
俺が咲人を止める寸前で、急に止め自身の席についた
「なあ真面目な話やらない【IJC】。家の父さんの仕事知ってるだろ?」
はあ、しつこいな……いやいつものことか?
(それにしても…)
「だからループして…咲人の父さん…ってまさかッ」
「そう、【IJC】は父さんの会社が作ったゲームなのだよ。それでさ、二台貰えたらしいが、俺の家族はやる時間ない。それにやるやつもいない、って理由で俺が両方貰える事になったんだよ。でも二台あっても無駄だろ。だからやるから一緒やろうぜ!!」
そうなのだ、こいつの親は日本の世界でも5本の指に入る大企業。そしてその大企業の中でトップ2何だよな…ゲームも作っているとは聞いたことがないのだが…
「お、良い線考えたな! そうだ父さんの会社はゲームは作っていなかった。ただ作ることになったらしい。てか結構有名だぞ、非公開だったけどな。」
今、心の声読まれたな。時々あるんだよ…まあ別に良いけど、なんかうざいよね咲人に心を読まれるのは
「非公開なのに有名なのか?」
「ああ、何処からか情報が漏れたらしい。それでやろう。」
「で、なぜ俺なんだ。お前ならもっと他に誘うやついるだろうに。」
「いや、さ。何ていうかお前以外の友達はな。俺を見ていない、俺の生まれ……つまり、鬼嶋を見てるんだよ。俺自身を見てくれているのはケン、お前だけだからな…」
うっ、それを言われたら……
「そうか…はあ〜分かったよやれば良いんだろ。」
「おお! 流石ケンだ、ありがとな」
「フン、そんな事よりどうすんの機械とか」
俺は持っていないぞ。それだけ言うと、少しの沈没がこの場を支配したかと思えば。咲人がいきなり吹き出したではないか
「くっあはははは」
「なぜ笑う」
「いや何。面白い反応だなって思って」
「うるさい」
「すまん、すまん。お前の部屋に設置していいか?」
「別に良いけど、良いのか?咲人の家でやっても良いんだぞ。」
「いやいいよ、絶対にハマるから。俺がいないときとかケンが出来なくなるだろう。」
「はあ〜まあ良いけどさ…」
「ああ、じゃあ設置するからな。」
「好きにしろ。」
これがきっかけにあんな事件巻き込まれるとは、このときの俺は知る由もなかった
次にこのゲームの説明を全部終わらせます