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地味に虐待され続けてきたので逃げさせて頂きます!え、聖女が居なくなって困る?そんなのは知りませんよ!

「それでは邪魔な聖女わたくしはこの国から出て行かせて頂きますわ!」


聖女わたくしがそう宣言すると


「いやだな~冗談、かるいジョークじゃないか」


と第一王子はヘラヘラ笑って誤魔化してきました





ほほう、誤魔化すと?


でしたらその喧嘩を高値で買って差し上げましょう





「貴方の国では冗談で聖女を貶めると?」


王子の相手をしていた隣国の高官に聞いてみました





「はい」と答えると聖女なんてゴミクズだと認めることになる


「いいえ」と答えるとこの国の王子を見捨てることになる


どちらを選択しても外交官として失格


お顔がみるみる青ざめていきました





「ちがうみたいでしてよ?」


王子に向き合いましたら


「そうだ国王ちちうえに呼ばれていたんだ」


と言って逃げました





あらあらいいのかしら?


隣国の外交官を見捨てて?


今後の関係に罅が入りましてよ?




さすがに外交官となる人間です


どこかの頭の軽い王子のようにウソをついて逃げるということはありませんでした





先程のお返事は?


外交官にはニッコリ笑うことで催促しましたの


口に出さずに要求をするというのも立派な攻撃、いえ口撃でしてよ?





外交官のお顔は絶望に満ちていましたけど関係ありません


喧嘩を売ってきたのは王子です


その関係者であったことが不幸でしたわね




しっかり王子への仕返しの道具になって頂きますわ






あら?


いつのまにか聖女わたくしの周りから人が離れていましたわ


さすがですわね(笑)





隣国の外交官を見捨てることはできない、とのことなので王様が仲裁に来るまでニコニコと笑顔で攻め続けたのでちょっとは気が晴れたのは秘密でしてよ






「王子が済まなかった」


王様が謝罪の言葉を言ってきました





王様は頭を下げることができないですからね


だから謝罪は言葉で言うしかないのです




でもだからと言って許しませんことよ?


一日の半分くらい教会で祈っていますのよ?


そのおかげで干ばつや冷夏、豪雪、嵐、河川の氾濫、疫病の蔓延といった諸々の災害から守られていますのよ?


怪我した人間には治癒魔法を掛けていますのよ?


子爵令嬢のくせに結構、お国のために貢献していると思いませんこと?






そんな頑張っている聖女わたくし


「うちの聖女は地味で恥ずかしい」


と貶しやがりました、こほん、お貶しになりましたのよ?




朝食と教会での奉仕の間に貴族としての勉強ですわ


教会の奉仕というのは魔力を女神さまに捧げることでしてよ?


おかげ?で奉仕の後はヘトヘトですわ


帰宅後にお夕食を食べたら眠気に負けそうになりますわ


眠気に逆らってお風呂に入るのが精一杯


どこに外見を気にする時間がありますの?と言いたいですわ





いえ地見ですわね


だから外見に気をつけますわ


これからはエステに時間を割かせて頂きますわ




あら、教会でお国のために祈る時間も、治療する時間もありませんわね


まあ仕方がないですわ


王子様からの御命令ですもの




ああそう言えば地味で恥ずかしい、でしたかしら


王子様のお目を汚さない様に遠くの国に行かせて頂きますわ



といったことを王様にお伝えしましたわ





ついでに貴族令嬢の地位も返上させていだきますわ


だって二度と帰ってきませんもの





王様が


「考え直してくれ」


とか言っていましたがお断りですわ





「女神アルテナの名において王族のお目汚しにならないように国を出てきますわ」


そう宣言したら王様がガクッと膝をつきましたの


女神様の名において宣言されたら王様でもどうしようもありませんものね(笑)






次の日、朝食後はソファーに座ってのんびりしましたわ


何気に時間と労力を消費する教会の奉仕に行かなくていいなんて天国ですわ




と思っていたら教会から人が来ましたの


「なぜ教会に来て祈りを捧げないのか?」





・・・なぜ聖女が無条件に従うと思っているんですかね


まあ今まで従っていましたからね


騙されて





6歳で『女神様の加護』があると判った途端『聖女』認定でしたね


その際、


「女神さまは皆に慈悲を与えるために加護をお与えになった」


とか言ってその日から教会で祈るように仕向けやがりまし、こほん、洗脳しましたよね






騙される私も私ですよね


それも10年近くも


・・・私って本当はおバカ?




という訳で真実に目覚めた聖女わたくしは教会に行くことを止めました


私は知っていますよ


聖女をダシにしてお金とか物とかを貰って私腹を肥やしていたこと



「治癒魔法を受けたかったら金を出せ」


そんなことを言っていたのに気が付いていました



まあ文句を言っても老獪な司教様とか司祭様とかに有耶無耶にされましたけど




でももう騙されません


というかダメ人間という同じ所まで堕ちて話をするのを止めました


これからは上から目線で断罪です




ということで治療を止めたら一人の騎士が我が家に突撃してきました


「大変申し訳なかった!」


頭を下げてきました




・・・一体何事でしょう?


そう思っていたら騎士様の話をまとめるとこうでした



聖女わたしが騎士様を治療した際、治療のしすぎで魔力が足りなくなっていたために傷が完全になくならなかったそうです


その時の騎士様の言葉は


「さっさと治せ!」


だったそうです



治療を受けておきながら感謝するどころか、罵声を浴びせたから聖女様が怒って治療をするのを止めた


教会がそう皆に言っているそうです




・・・教会は自分達の不始末を隠すために他のイケニエを用意したみたいです



まあ間違ってはいないですよね


聖女を蔑にした人達という括りでは




でも過去に聖女に暴言を吐いたり不当な扱いをした人間は非難された上に周りから人がいなくなっているようです


だから謝りにきたんだとか



許さなくてもいいですよね?


自業自得です






最後に来たのは婚約者様です



婚約者様もわたくしの治療に文句を言っていましたからね




それに私の事を


「地味だ」


だとか


「面白味がない」


だとか


「ろくに笑わない」


だとか言っていましたわ







聖女をしていれば疲れまくりですのよ?


時間があれば寝ていたいです


いや寝ていましたね


最長で36時間でしたわね(遠い目)




それでも全然疲れがとれませんでしたわ


そんなのですから外見を良くするために費やす時間なんてありませんわよね?





それなのに婚約者の御機嫌を取れ!ですのよ


絶対に無理ですよね?





それに私に機嫌をとれとか言う割にはご自分は私の御機嫌を取る気なんて欠片もありませんでしたわ


わたくしが恨んだとしても悪くありませんわよね?





ですから元婚約者様も聖女として活躍しない理由としました


「あんな方のために働きたくはありませんわ!」


と言ったのは当然ですわよね?





とまあ主だった所は以上ですわ


細かい所までご説明すると明日の朝、いえ夜までかかりましてよ?


わたしくの苦労をおわかり頂けたかしら?




という訳でこの国を出させて頂きますわ




とある国は聖女が出て行ったせいで大変になったり、その聖女が逃げて行った隣国で幸せになるのはまた別の話

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― 新着の感想 ―
[一言] 婚約者だから機嫌を取る義務があるなら、相手も聖女ちゃんのご機嫌取りせななぁ。
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