狼獣人の定め
「ミズハさん?大丈夫ですか?私のメンバーがご迷惑をお掛けしました。」
ミカオさん…いやいや復帰早いな!
「私の回復魔法は最強なんです!これでさわり放題なんです!」
「や…今日はもうやめてほしい。頼みます。」
「ムー、じゃあ明日触るんです!」
立場逆転してるなこいつら。
「まだ、冒険者になって若いのですしちょっとずつ成長すれば良いと思います。ただ、私からのアドバイスとしては常に成長しようとする姿勢だけは忘れないでください。昨日より今日、今日より明日、明日より明後日…そのように学び続けていけばいずれは私たちに追い付きますから。」
「流石リーダー、上手くまとめたわね。まあ、さっきその子に丸め込まれなければ完璧だったんだけど。」
「それは…良いですか?私だって弱点を克服しようと心がけています。そこのミズハ君やアマミさんが成長するのでしたら私も弱点克服のために尻尾や耳を触られても耐えれるように特訓しています。今がその特訓なんですよ。」
「で、本音は?」
「本音も変わりません。」
「嘘つけ、どうせ幼女に触られて内心喜んでるくせに。」
「な、私は既婚の身です!息子はこの子と同じクラスメイトです。手を出すわけがありません。」
「本当かしら?リーダーってそう言うところ怪しいわよね?」
「酷い言われようです。私がリーダーであると皆さん思っていますか?」
「誰も思っていないんじゃね?」
その瞬間、ミカオさんが蒼白でぶっ倒れた件。精神ダメージでかすぎ問題。仲間たちもここまで被害になると思っていなかったらしく…
「わ、わりい!冗談だよ冗談!」
「そ、そうよ!他の面子は全員ヨワッチーと思っていても私ぐらいはちゃんとしたリーダーと思っているわ!」
それ、誉めるよりけなしてるだろ!なんだかミカオさんが物凄く可愛そうになってきた。
「ハッ!こんな目の前にモフモフしてくださいとばかりな尻尾が転がっているんです!これは触らなければならないと言う神のお告げなんです!神様、ありがとうなんです!」
変な宗教掲げて合理的に尻尾を触ろうとしている魔女がいるよ!どんなに適当に理由つけても急所は急所だかね!触っちゃダメだからね!…って、さわってるし!もうこりゃ放っておこう。
で、2時間後…そろそろお開きになるところ。僕的にはこういう飲み会は後輩が先輩に気を使わなければいけない場として猛反対である。飲んで本音が出れば先輩から後輩へのただの説教場だしね。
アマミちゃんは爆睡中。他も飲みすぎか知らないけど寝たり、よく分からないろれつでしゃべっている冒険者もいる。
「ミカオさん?お伺いしたいことがあるのですがよろしいですか?」
「どうかしたかな?答えれる範囲で答えるよ?」
ミカオさんは結構飲みまくっているのにこの冷静さがすごい。というか、尻尾触られていたときの方が酷かったよね!
「僕的に冒険者のイメージは何処かのダンジョンに潜って宝物を引っ張ってくる物だと思っています。ただ、今回の依頼もそうですが、そのようなイメージとは異なる依頼も多々あるのですがどうしてでしょうか?」
「ああ、それは私が答えよう…ヒック。」
ミネガル先生も大分酔ってるよね。おばさん先生がこれいいのか疑問である。なお、僕は殆ど飲んでいない。というか、こんな先輩だらけで調教されるかもしれないと警戒しながら酒なんて飲めるか。
「いいかい?昔はそれこそ君が言うような依頼ばっかりだったが、最近未知のダンジョン自体が殆ど見つからないのよ。だから、冒険者はダンジョン発掘だけじゃ生きていけないわけ。で、じゃあ冒険者の戦いや捜索系の技術を他の分野にも取り入れたら便利じゃないかという意味があり今の護衛依頼とかそう言うのがあるわけさ…ヒック。
いいかい、諸君。世の中金を稼ぐには嫌なことをせざるを得ないのさ。楽しい仕事につける人達は全人口の2割満たん。残りの8割は御愁傷様だな…ヒック。」
うわ、この世界の闇を見たよ。こういう話を聞くと生きてるの嫌になるわ。なんかなんのために生きているのか分からないな。社畜になるために生きているのか。
「うん?時間みたいだね。じゃあ、懇親会はこれで終了するよ。最後は一本締めでお願いします。」
一本締めの後、ミカオさんから明日の集合時間等々を聞いた上で僕は帰路に着きました。アマミちゃんは僕の背中で寝ています。途中で
「お姉ちゃん…今日は個室でお風呂でーす!」
とか、寝ぼけながらも発言する辺り相当執着しているよね!まあ、そのまま放置すると明日クレームが怖いので宿の部屋についた後、アマミちゃんを起こして一緒に風呂入って、寝ました…1つのベットしかなくてアマミちゃんに抱き枕にされたのでちゃんと寝れたかは定かじゃないけどね!
狼人間と人狼と狼獣人の違いってなんだろう?とりあえず、ミカオさんは獣人の中の狼ということで。まだバックすら作っていませんが、狼以外も色々検討中。




