参加冒険者には獣人もいるみたいです
「皆さん集まってください。私たち冒険者もこれからの行動について話し合おうと思います。」
商人達が荷馬車の方に行った後、ある男性冒険者が冒険者全体に声掛けしてきた。
「ところで今回はいくつパーティーがあるのでしょうか?20人前後いるようですけど。」
「ああ、さっきの商人の話だと4つあるらしいぞリーダー。」
「分かりました。それではお互い軽く自己紹介しましょうか。これから長期間一緒になりますのでお互い知っていた方が効率がよくなるはずです。」
何処かのパーティーのリーダーが仕切り始めた件。まあ、見ていると大抵30代~50代までに見える。このリーダーも40代半ばくらいかな。そういう意味だと20もいっていない僕やもはや10代初頭のアマミちゃんなんて若すぎる分類だね。
「では先ず私から。私は『人獣の会』のリーダーをしているミカオと言います。以後よろしくお願いします。見てわかると思いますが獣人です。皆さんご存じ狼です。武器は特に持っていなくて、所謂ファイターと言ったところでしょうか。じゃあ、次よろしくお願いします。」
うん?獣人?…あ、確かに見てみると頭に狼の耳が映えている。尻尾も生えている。うわ、これは嬉しい。色んな生き物を見てみたいと思っていたので好都合である。後で色々聞いてみよう。
とまあこんな感じで自己紹介は続いていく件。…アマミちゃんは残念ながら全く聞いていない件。てか、ここから数百メートル先で飛び回っているし。力を関知して把握している。眼力じゃ遠くて見えないよ!
「うんにゃ?ミネガルのやろうどこ行った?」
「なんでも学校の手続きでちょっと席を外しているそうよ?まあ、すぐ戻ってくるんじゃない?出発前には戻るっていっていたわよ?」
「おいおい、そりゃ今年も今まで同様夜になって出発ならそうかも知れねえが今年はもう荷物搬入終わってるんだぜ?」
そ、そうなんだ。…ってかあれだけ荷物があれば普通搬入で一日終わるよね!それでどうして夜になって出発しようとするのかな?まあとにかく、今年は夜出発にならなくてよかった。アマミちゃんマジ神です!…今は紙になっているけど。
「じゃあ俺があいつの分説明しておくわ。このパーティーのリーダーはミネガルって言う女性だ。冒険者育成学校の先生もしてるからいないときはこうやってサブリーダーの俺が代理をやっているわけだな。ミネガルは魔術師で大方の攻撃魔法は全部使えるぞ。パーティーの中でも後衛から的確に指示を出したり援護射撃をしたりと滅茶滅茶優秀だ。何かあったらなんでも声かけてやってくれ。」
へえ、ミネガル先生って優秀な魔術師みたいである。なお、パーティーの話を総まとめすると、僕みたいな剣士やファイター等の前衛が3/4位。弓等の中衛と魔術師の後衛が残りを占めるみたい。若干後衛が少ないかな。まあ、魔法が使える人間って結構少なそうなイメージだし相場的には1チーム1人ぐらいなのかな。
「じゃあ、最後だけど期待の新人さん。自己紹介よろしくお願いします。」
期待の新人?誰それ?
「おい、お前だよお前。何そっぽ向いてるんだ?」
「え?僕ですか?期待されても困ります。」
「ははは、冒険者の若手も重要だからね。しかもその若さでこのCランクの依頼を受けれるってことは相当優秀だと思うからさ。胸を張って良いと思うよ。」
「あ…はい。分かりました。僕はミズハと申します。一応剣士です。えっと、現状アマミちゃんと2人で頑張っています。今金欠で…」
「2人?もう一人もいるのかな?」
「あ、はい。アマミちゃんと2人で依頼を受けました。」
「もう1人はどこかしら?」
「あー、アマミちゃんは…すいません。さっきまで空で飛び回っていた子です。すぐどっか行っちゃうんで…すいません。」
「「「え?!」」」
なんか皆ビックリした顔になったよ!どう言うこと?!
「え、さっき飛んでいた子って…あの箒に乗っていた?」
「あ、はい。」
「あれか、パンツ丸出しだった奴か?!」
おい、その発言はおかしいだろ!と思ったら、横にいた女性が棒でぶん殴ってた。
「痛!おい、それはロットだろ!殴るもんじゃねーよな?!」
「セクハラ発言するあんたが悪いのよ!それに振り回せば全部武器よ!」
その理論も豪快だな!そのうち木を引っこ抜いて振り回したりしないよね!え、お前じゃないからそんなことはしないって?…僕はか弱い少女なのでそんなことは出来ません。…誰?シド目で見た奴!
「まあまあ皆、落ち着いて。まだミズハ君の自己紹介は終わっていないよ?」
「え…あー、僕の紹介は以上です。アマミちゃんの紹介もここでします。アマミちゃんは魔術師です。えっと…魔術師が空を飛べるのかはわからないけど…一応魔法で飛んでいるので問題はないと思います。あの子はあまり戦うのが好きじゃないので攻撃魔法とかは期待しないでください。ただ、回復とか結界とかと言った援助魔法は得意なので怪我したりしたら彼女に声かけてあげると良いと思います。以上です。」
なんだか自分の自己紹介よりアマミちゃんの自己紹介の方が長くなっちゃったような気がする件。あれだよね、仲良くなった子って知らないうちに自分のことより詳しくなっちゃったりするよね。
「自己紹介ありがとう。話を聞く限り、回復魔法を使えそうなのはその子だけみたいだね。万一アイテム不足で回復が追いつかなくなったらよろしくお願いします。」
「わかりました。伝えておきます。」
「うん。じゃあ、この後の方針について話したいんだけど…確かまだミネガルさんはいないのかな?」
「ああ、いないな。そろそろ戻ってくると思うんだがな。」
「そうですか。分かりました。出来ればリーダー同士で後程お話したかったのですけど。では、いらっしゃる前までの間に軽くどのように皆さんを配置するのか決めてしまいましょう。詳細は後程リーダー同士で話し合いますのでリーダーから聞いてください。」
ミカオさんの話によると基本は護衛の移動中回りを徘徊するメンバーと荷馬車待機メンバーに分けるとのこと。流石に20人程度が回りに押し掛けると邪魔らしい。
とは言え、商人の依頼の通り荷物運びも考慮すればそれぐらいはいないと辛いかもしれない。アマミちゃんというチートがいなければの話だけどね。荷物運びの際は基本全員で行い、危険があったときは護衛優先のスタイルみたいです。
これ以上についてはミネガル先生が来たらお話しするとのこと。で、僕はアマミちゃんの位置を把握しておこう。なんかアマミちゃん、向こうの方にある森にいるんだけど!ちょっと遠く行きすぎだよ!後で回収しにいくの面倒くさいわ!




