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神様になる運命。  作者: 神海 星
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小さくて可愛い神様のために

何年も何十年も彼女はずっと、ここに封印されていた。

それは、彼女が望んだ事でもありました。

しかし、彼女はずっと一人ぼっちだったのです。きっと、彼女も寂しいはずです。

だれかと、楽しくおしゃべりしたくても誰も彼女の存在に気づくことは出来ないのです。

そんな時、彼女の前にある女の子が現れてくれたのです。

彼女は、どんなに嬉しかったことでしょう。

りんかは、天に願った。いつもの場所で。

そこで、願うといつもその願いが叶った。不思議な場所。りんかはこの場所が好きだ。

「ねえ、あなたは誰?」

りんかは、目を開けて女の子に話しかけて見た。

「わらわは、神様じゃ。おぬしがわらわを呼んだのじゃな?」

その女の子は、声に出さずに直接りんかの頭の中に喋りかけてきた。

「えっ?あなたが喋ったの?へぇ、凄いね!お名前は?」

りんかは少しびっくりしたけど、すぐに女の子の事をもっと知りたいと思った。

「おねしに名を名乗ってやる義理などないじゃろう。」

女の子は少し迷惑そうだったが、でも少し不思議そうだった。お前は怖くないのか?みたいな感じかなぁ?

「えっー。どうして?」

りんかはなぜ名前を言ってくれないのか分からなかった。

「と言われても、わらわに名前などないのじゃ。」

女の子は、とても寂しそうだった。だから私はなんとかしたいと思った。りんかは皆が笑顔なのが好きなのだ。だから、女の子も笑顔にしてあげたいと思った。

「うーん。じゃあ、凛音(りんね)は?」

りんかは女の子と喋っているのが楽しかった。この島にはりんかと同じくらいの女の子がいないからかな?

「駄目じゃ。そんなことをしては駄目なのじゃ。」

凛音ちゃんは喜んではくれなかった。笑顔になってくれなかった。凛音ちゃんは慌ててた。なにを慌てているのだろう?

すると、次の瞬間りんかの体が青く綺麗な光に包まれた。そして、その光はりんかと凛音ちゃんを包み込んだのだが、その光はりんかの体に吸い込まれたように消えて行った。

「わっ、何これ?」

りんかは自分の体に何が起こっているのか理解出来なかった。

「これは、神の力じゃ。おぬし知らぬのか?」

凛音ちゃんはりんかが神の力とかって言うのを知らない事に驚いている様子だ。

「えっ、あっうん。」

りんかはその事に驚いた。凛音ちゃんはりんかのこと知らないはずなのに。

「さようか。ではなぜおぬしから、わらわと同じ匂いがするのだ?」

凛音ちゃんは不思議そうにりんかのことを見たり、匂いを嗅いだりしていた。なので、りんかも凛音ちゃんと同じように鼻を近づけてクンクン匂いを嗅いでみた。

「え?匂い?あっそういえばなんかお父様と同じ匂いがするような?」

匂いを嗅いでみたらお父様と同じ匂いがしたような?うーん。でも良く分かんないなあ。

「お父様じゃと?それは、もしかして...」

そういえば、忘れてた!今、島が変な人たちに襲われてるんだった!

「ねっ、そんなことより、島を守んなきゃっ!」

大切な事を思い出し、りんかは凛音ちゃんの手を握り、変な人たちが攻めて来ている海の方に走って行こうとしたんだけど。

「ちょっと待つのじゃ。わらわはここからは出られぬのじゃ。」

りんかは驚いて立ち止まり、凛音ちゃんの方を振り返った。

「えっ?どうして?」

りんかは凛音ちゃんがなぜそんなことを言うのか分かんなかった。

「わらわはここに封印されておるのじゃ。」

凛音ちゃんは寂しそうなつらそうな顔でつぶやいた。そして、りんかが握っていた手を振りほどいた。

「封印って?封印を解く方法はないの?」

りんかは島の人たちを助けたいと思っていた。それは今でも変わらない!だけど、その前に凛音ちゃんになにか出来る事はないかと思った。凛音ちゃんを助けたいと思った。

「封印を解くには、新しく契約を結んで力をコントロール出来れば結界の外に出られるのじゃが・・・。」

凛音ちゃんが言っている事の意味は分からなかったが、りんかが出来る事ならしてあげたいと思った。

「じゃあ、りんかと契約?してよ。」

りんかに助けられるなら出来る事ならなんでもしたい。

「あっ、いやおぬしが名前を付けてくれた時に契約は成立されておるはずなのじゃが、問題は別にあるのじゃよ。」

またまた、凛音ちゃんは意味の分からない事を言い出した。

「うーん。じゃあ、なにが問題なの?凛音ちゃん。」

凛音ちゃんはりんかに名前を呼ばれて少し嬉しそうに笑った気がした。

「あぁ、それがじゃな。わらわの力が強すぎて、誰もコントロール出来ず皆暴走してしまうのじゃ。」

凛音ちゃんは遠い目をしていた。その目はとても悲しそうで辛そうな目だった。

「きっと、りんかなら大丈夫だよ!」

りんかは自分ならコントロールする自身があった。

「無理じゃ。人間にはわらわの力は強大すぎるのじゃ。」

凛音ちゃんは昔の事を思い出したのか、辛そうな顔になった。

「言うの忘れてたけど、りんかは人間じゃないよ?」

りんかが人間でない事はここの島の人なら誰でも知っていることなんだけど・・・。

「そんなのか?では、何者なのじゃ?」

凛音ちゃんは不思議そうな顔をしていた。

「うーん。それは、よく分かんないんだけど・・・。でも、りんかなら大丈夫だから!任せて!」

そんなことを言われてもりんかにも自分が何者かなんて分かんないけど、お父様がりんかなら大丈夫だって言ってくれたから!だからりんかはお父様を信じる。

「そうじゃな。わらわはおぬしを信じる事とするかのぉ。」

凛音ちゃんは、りんかと出会って初めて笑顔になった。なんか、とっても嬉しそう。凛音ちゃんが嬉しいとりんかも嬉しい!

「で、どうしたらいいの?あっ、その前におぬし、じゃなくて、凛夏、って呼んでよ!」

なんか、よそよそしいからおぬしって呼ばれるのは嫌い。

「いや。そっ、それは。あっ、あとでじゃ。まっまずは、結界から出るのが先じゃ。」

凛音ちゃんは顔を真っ赤にして照れていた。

「まっ、可愛いから許す!うふふ。可愛い。で、どうするの?」

こう言うのに慣れてないのかな?

「こほん!そうじゃな。まず、結界から出るには・・・。力を一度解放した後、こう言うのじゃ。「我は、ここに封印されたし神様、名を凛音と名づけし神様との契約を望む。そして、結界の解除を求める。」と宣言するのじゃ。出来るか?凛夏。」

凛音ちゃんはりんかのことを信じてくれたみたい。名前呼ぶとき照れてた。凛音ちゃんやっぱり、可愛い!

「ありがとう。凛音ちゃん!名前呼んでくれて。分かった。やってみる!」

そう言うと、りんかは目をつぶって、自分に意識を集中させた。すると、とてつもない力がりんかの中にあることを感じた。それを柔らかく包み込むように胸に抱きかかえた。

そして、手を広げそっと手を離した。すると、力はりんかから離れりんかの周りを浮かんでいた。

「すごい。なんて、優しい波動・・・。凛夏。さっき言った言葉を!」

うん!凛音ちゃん。りんかは目を閉じたまま、さっき、凛音ちゃんに教えてもらった言葉を天に向かって、宣言した。

「我は、ここに封印されたし神様、名を凛音と名づけし神様との契約を望む。そして、結界の解除を求める。」

すると、空のほうから声が聞こえてきた。

「おぬしに力をコントロールすることが可能か?」

天から聞こえてきた声は年配の男の人の声だった。その声は厳しく、そして優しい声だった。それは、凛音ちゃんを心配しての事なのだろう。それにしても、神様という生き物は人のことをおぬしと呼ぶ生き物なのだろうか?

「はい。私のお父様は榊原 真琴(さかきばら まこと)。正真正銘の神様なんです。ですから、その娘である私にも少なからずその力が宿っているはずです。だから、私なら力のコントロールも可能なはずです。そう思いませんか?」

りんかはついにりんかの力がみんなの為に使える日が来たのだと思った。りんかは子供の時からその日が来るのを待ち望んでいた。

「そうか、あやつの娘であったか。まさか、おぬしの名は凛夏か?」

なんで、姿を見せないんだろう?空の方から聞こえるってことは、天国にでもいるのかな?

「えっ、うん。そうだけど?お父様のこと知ってるの?」

神様同士にも繋がりとかあるのかな?そういえば、今お父様は天国に行ってるんだっけ?

「あぁ、もちろん知ってるとも。わしはあいつには一度も勝ったことがないのじゃ。そのくせ、人間と結婚して、天界から出て行きおった。」

今まで、冷静だったのにお父様の事を話すときだけ感情的になった。なんでだろう?

「こほん!そんなことより、凛音殿は凛夏の宣言には同意しておるのか?」

天から聞こえてくる男の人は正気に戻って、冷静になって凛音ちゃんに質問した。

「はい。三蔵様。わらわは凛夏を信じる事に決めたのじゃ。」

凛音ちゃんは決意したように顔を上げ、空に向かって、そう宣言した。

「そうか。了解した。では、結界を解くとしよう。結界よ、今まで、ご苦労でござった。もう、大丈夫であろう。凛音殿を解放してあげなさい。」

凛音ちゃんの言葉聞いて、満足したようにうなずくとそう言った。なんか嬉しそう。

次の瞬間、りんかと凛音ちゃんの周りが白い光に包まれて、その光は霧になり、どこかに消えていった。結界が消えたようだ。

「すまんな。三蔵。だが、まぁなんだ。あ、ありが、とう。あと、凛夏もありがとう。」

そう言って、凛音ちゃんは笑っていた。凄く、いい笑顔だった。空にいる神様にもありがとう。と言ったがずいぶん照れくさそうだった。過去に、いろいろあったのかもしれない。結界を開放してくれただけじゃないのだろう。

「凛音殿は凛夏殿と契約をしたのじゃぞ。それがどう言う意味か、忘れたわけじゃあるまいな?」

急に空から聞こえてくる声のトーンが変わった。そして、その声は低く怖い声になった。

「あぁ。分かっておる。」

凛音ちゃんも声のトーンが変わった。声のトーンが低くなり重苦しい空気が流れた。

「凛音殿は凛夏殿の事を信じ切る事が出来るのか?」

さっきと同じトーンで空の神様が凛音ちゃんに聞いた。信じることがそんなに大事な事なんだろうか?大事だと言うのならりんかも何があろうと凛音ちゃんの事を信じ抜くこととしよう!凛音ちゃんなら信じられる気がするから。

「あぁ。もちろんじゃ!」

凛音ちゃんは誇らしげに答えた。

「もちろん、りんかも凛音ちゃんを信じます!」

そう言うと、凛音ちゃんはりんかの方を振り返った。だから、りんかも凛音ちゃんの方を見て笑った。すると、凛音ちゃんも笑ってくれた。

「そうか。二人とも言い切るか。あっはっは。では、行くが良い!凛夏殿は島の人達を助けたいのであろう。それが、おぬしの願いなのであろう?」

空の神様は愉快そうに笑った。上機嫌らしい。そういえば!そうだった!早く行かなきゃ!

「うん!早く行こう!凛音ちゃん!神様。ありがとう!」

そうして、今度こそりんかは凛音ちゃんの手をつかみ、敵がいる方に走りだしたのであった。










いよいよ、島の人達を助けに行ける。

いずれ、りんかの力を使う時がくる。そうお父様が言っていた。

だから!りんかは自分の力が大好きな島の人達を守るために使えるのが嬉しかったのだ。

自分の力で人々を助けている、お母さんやお姉ちゃんのように・・・。

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