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トリスタと行こう

君が死んだ理由は何とも夢いっぱいカオスいっぱい

作者: アワプレ団

「なあ、異世界に来てやりたいことってなんだ?」


黒髪黒目の人間の15歳くらいの背の低い少年が俺に話し掛けてきた。

俺はその少年のことを知らなかった。

なので、ただ驚いていた。

少年はそんな俺を見て、続けて話してきた。


「ん、ああ! そういやまだ何も話してなかったな!

俺の名前は天西抗牙(てんさいこうが)。ここじゃ、トリスタって呼ばれてる。俺がもし異世界行けたら、100人友達作ろうと思ってる」


ドヤァ!

トリスタという少年はすっごいどや顔で目をキラキラさせてそんなことを宣言してきた。

小学生…。

俺から見たトリスタ少年の第一印象が決まった瞬間だった。




俺の名前はカザナ。

黒髪黒目の元日本人だった者だ。

元の名前なんてもう忘れた。

何せ前世がエルフだったから。

トリスタ少年を見て、「そういや俺もこんな髪してたっけな」と辛うじて思い出すくらいのボケ老人だ。

今は何故かトリスタ少年と同じ黒髪黒目の日本人スタイルに戻っていた。ちなみに見た目は17歳くらい。


さて、ここで本題だ。

俺は異世界で2度目の人生ならぬエルフ生を終えた。

元が人間だったからかそれなりにヤンチャをしてハッスルやってたが、まあ人が死んでからはのんびり森の奥に潜む賢者みたいなことをしていた。

エルフの家族も作った。

妻と子供達とは仲睦まじく愛した。

妻より先に寿命が来てしまって寂しかったが、別れを惜しんでくれる家族や友人達を見て、いいエルフ生だと思って死んだ。

そして、俺は今たぶん冥界(?)だと思われる灰色の山道の中にいた。


そこで出会ったのが、この少年だった。

俺は長い経験から、すぐにこの少年が悪い人ではないと悟った。

だから俺も会話に乗ってみた。


「100人友達を作るのか。頑張れよ少年」

「おう、やってやるぜ!」


拳を握りしめてガッツポーズを取る少年。

目が凄いキラキラしてる。純粋だな。

俺は少し嬉しくなり話を続けた。


「ところで、少年。前世では何をしていたんだ?」

「俺か?俺は花火を改造していた!」


…へぇ、花火をねー。


「花火はいいぜー。色んなことに応用出来るから」

「例えば?」

「スタングレネード」


……………おい!

どうしてそうなった!


「花火の魔改造やってたら、なんか作れてな。いやー、作ったときスゲーのが出来たと笑ったぜー」


魔改造って言ったよこの少年!

というか、この言葉からこいつ、一からスタングレネードを作ったのか?


「いやまあ、海外旅行に友達連れて戦争地帯にも行った時、スッゲー使えたのが印象的だったな」

「なにしてんの!?」


この少年、バカなのか?

友達連れてわざわざそんな物騒なところ行くか?

友達も突っ込めよ!

というかまさかこいつの友達もこいつの同類なのか?


「弾丸駆け抜ける戦場はやっぱロマンだよなー」


ロマンの前に死ぬぞお前!

どこの勇者だよ!

いや、バカかこいつは。


「俺が異世界来てやりたかったことは友達100人だ」


いきなり何を言い出すんだ?


「だから、海外旅行の間に100人出来るか皆で競争したんだ」

「…弾丸飛び交う戦場でか?」

「無論」


真面目な顔で、「無論」とか言われてもねぇー!

子供の遠足じゃないんだからもっと危機感持とうよ!


「結論から言うと100人は無理だった…」

「そりゃそうだろ」


悔しげに言ってるけどよく生きてこれたなこいつ。

ある意味凄いわ。


「しかし、20人と101匹と1羽は友達になれた」

「人じゃないの混ざってるよ!」


というか何と友達になったんだよこいつ!

あと、1羽ってなんだよ。鳥か?鳥なのか?


磨加奈(まかな)はその間に2000体と友達作ったというのに………」

「おい、人じゃなくなってますよ。というか体って何と友達になったんだ」

「まさか幽霊枠がカウントされるとは…」

「幽霊を友達にするのかよ!」

「しかも、最高記録が10034人ーー」

「凄すぎだろ。本当になんなんだよお前ら」

「ーーのネット友達を作った(かなえ)さん」

「それ、ノーカン。ノーカンだから!」


現地人じゃないの混ざってるよ!

いや、人かどうかもこいつら怪しいけども!


「俺は悔しかった。まさか1日でこれほどの大差をつけられるなんて」

「1日でそんなに作ったんかい!」

「しかし、俺達は知らなかった。まさか、あれが原因でマラリア感染が増えるなんて」

「いきなり別方向のカミングアウトが来たよ!ねぇおまえらなにしてんの!?」

「そして、全米が泣いたあの作品にあんなことになるなんて!」

「おまえ勢いで言ってるんじゃないだろうな!」

「まあ、どうでもいい話は置いといて」

「どうでもよくないよ!めちゃめちゃ気になるよ!」

「何故、北極に行ったら、核兵器を見付けてしまったのかを議論したいと思います!」

「なんてもの見つけてんの!?というか何でもありかお前らは!」

「まあ、その時に死んでしまったので核兵器云々はもう関係ないので、ここは送りバントして流すような感じで見送ろうと…」

「見送るな見送るな!そのままホームラン狙うように向き合え」

「ここは山○軒じゃないですよね?」

「注文の多いレ○トランじゃないよ!俺は君を食べないよ!」

「ところでここってシンデレラマウンテンじゃないですよねー?」

「わざわざ英語で言わなくてもいいから!」

「シンデレラは英語じゃありませんよ!」

「そこに噛みつくのかよ!」


とまあ、不毛なコントが続いた。

それからしばらく話し合った。


「ーーだから、俺は醤油ラーメンこそ最強だと思うんです!」

「いや、味噌だろ!王道は味噌だ!味噌ラーメンこそ至高のラーメンだ!」


会話はまだまだ続く。





異世界でやりたいこと

それはーー



「そんなわけで異世界です(ドヤァ)」

「どや顔うぜぇ!

もう一回言うが、どや顔うぜぇ!」


俺達は異世界に来ていた。

うん。俺は突っ込まない。

何故こいつが女の子(茶髪青目のポニーテールの美少女)になってるのか。

TSエンジョイして「見せパンダー!」とかダジャレ言いながらパンツ見せてんのか。

俺はもう突っ込まない。

奴のパンツがパンダ柄だとしても俺は突っ込まない。


「ちぇー。面白くねぇの」

「てか、お前はそんなしょうもないことで女の子に転生したのか?」


あり得そうだ……。

しかし、彼女?は「は?」みたいな顔をして俺を見ていた。

なんか違うのか?


「俺が女の子になった理由なんてひとつしか考えられないだろうが」


そして、彼女は堂々と宣言した。


「ボ○ロを完璧に歌いたいからだよ!」

「まさかの斜め上!?」


つーか、剣と魔法のある世界に着て、女の子にまでなってやりたいことがそれかよ!

お前もう色々アウトだろ!

てか、お前ここに来る前に言ったことと理由が全然違うじゃねぇか!


「違わないぞ!」

「地の文を読むんじゃねぇ」

「俺が友達百人作ることは俺の異世界第1志望なんだ!」

「うん、そこでなんで女の子になる必要があったのか知りたいねぇ」

「女の子になったのは俺の趣味だ」

「ネタでやりたかっただけかい」

「後悔はしていない。すべて未遂だから」

「未遂どころか終わってるよ!」


色んな意味でな!


「それはそうとお兄さんよ」

「なんだい天然バカ」


「ヒドッ!」とか言ってるけど。ビックリしたふりやってるの分かってるからな。目が笑ってるんだよ!


「お兄さんは何故、異世界に転生するときにそんな姿に?」

「それは……」


現在の俺の外見はエルフだ。

エルフに転生した理由は簡単だ。前世がエルフだったから。

それだけだ。

それを話すと彼女はーー


「へぇ、悪くないんじゃないの?」

「あれ……意外と普通」

「それはまるで俺が普通じゃないと言外に言っているようだなぁ!」


実際普通じゃないし


「なによなによ!

君なんてもう知らないッ!

ツン!」

「いきなりツンデレられても……てか「ツン!」ってなんだよ。そこは「フン!」とかじゃないのか?」

「もう!もう!もうもうもうもう!」

「牛か。というかいきなり口調変わるとついていけないんだが」

「ポカポカしてやる!」

「わっ!止めろ!んなことすんじゃねぇ!」

「あはははは!

止めないよーだ!」

「子供か!いや、子供か……」

「どうだ!参ったか!」

「てか、そんなことすんじゃねぇよ!」

「暑いだろう?」

「ホッカ○ロべたべた貼ってくるバカがどこにいる!?」


というかどこに隠し持ってやがった!

あ?なんだ?

可愛らしくポカポカ叩いてたんじゃないかって?

むしろこいつはべたべたべたべたべたべたものすごい勢いでホッカイロ出しては貼ってたよ!

しかも、なんか呪われてんのか取れねぇし!

地味に嫌な嫌がらせだなおい!


「分かった分かった。外してやるよ」

「ああ、外せ」

「んじゃ、めんどいが詠唱するか」

「呪いの品なんてどこで持ってきたんだか」

「あれは俺が作った呪品だ」

「お前が呪ったんかい!」


油断も隙もねぇな!

あ……やべぇ……暑くて頭が………真っ白に………。


「じゃ、解呪すっから抵抗すんなよー」

「ああ……頼む」


呪いが解けたらてめぇを燃やしてやるからな。


「『呪われろ呪われろ永遠に呪われるがいい死に損ないどもめ』」

「それ本当に解呪の魔法か!?」


逆に呪ってないか!?

とか思ったらなんかズーンと来るような感じとあなたは呪われましたという音声が聞こえて、黒い霧が俺を包みーー


「『ゆうしゃ カザナよ。しんでしまう とは なさけない』」

「勝手に殺すな!」


ーー何故か解呪した。

なんだあの誤解溢れる解呪魔法は……。

しかも、酷い過ぎだろうこの詠唱!

お前は俺になんか恨みでもあんのか?


「ウラミ ナンテ ナイヨ ?」

「何故に疑問系なのかは知らないが、その反応が命取りだ!」


さあ、恨み晴らさせてもらう!

燃えろファイヤーボール!


ドゴーン!


「よし、当たった!」


なんかその場のノリで燃やしちゃったが………なんかやっちゃった感あるが………あ、やべ………。

俺なんか、異世界始めての人殺しやっちゃったんじゃね?


うそーん!

ギャグで流してよ!

このへんくらいは!


と思っていると、煙が晴れた。


「ぶほっ!」


それは不意打ちだった。

彼女の格好がおかしかったからだ。

いや、こういうときってお決まりでしょうけど!

現実そうならないから!


そう、彼女はアフロになっていた。


「いぇーい!アフロヘアーガード!」

「スキルかよ!」

「炎、雷無効する代わりにアフロヘアーになるという新スキルだ!」

「スキルの無駄遣い来たー!」


そんな俺とトリスタの異世界ライフは何とも楽しそうだと俺は思った。


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