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第8話・つまり説明というのは大事だったわけだ

説明回です

「しかし熟練度ね」


 やっと落ち着いたテルことシャインは、トライの話から改めてシステムについて考えていた。


「んなこたぁ誰か気づきそうなもんだけどな、誰も知らんのかよ?」


「少なくとも俺は知らなかったよ、もしかしたら一部のプレイヤーは知ってて言わないのかもね」


「そういうもんか」


 別段興味も無いらしいトライ。

 そもそもまともなプレイヤーと会ったことがなく、オンラインゲームをやったのも初めてでは情報の価値もよくわからない。


「そういうもんだ。

 しかしどうしようか、そういう話ならオレと綾華の育成プランも考えなおさないと……

 あ、トライはもう好きにしろ、どうせステータス的には序盤なら余裕だろうし、今後も熟練度前提のレベル上げしてくなら適当でも大丈夫だから」


「ん、そうなんか。

 んじゃさっそく……」


「あ、でも一点上げはやめたほうがいいぞ。

 自由度が無くなるから」


「え?(笑)」


「え?」


「ん?」


 ピタッと止まるトライ。

 なにやらステータスを連打していたようだった。


「もうやっちゃった(笑)」


「マジか>(゜ロ゜;」


「まぁいっか、STR全振りでいこう」


「NOOOOO!!」


 説得はもちろん失敗した。



――――――――――



「先に説明終わらせよう。

 ステータスポイント以外にスキルポイントってのがある」


 何事もなかったかのように説明を再開するシャイン。

 トライのことは色々と諦めたようだった


「これはステータスポイントとは逆に、全部使いきっちゃうのはやめといたほうがいい。

 スキルを取得・成長させるために使うんだけど、その系統全部で使える共有スキルと、職業につくと取得できる職業スキル、イベントやアイテムで取得できるようになるイベントスキルの3種類がある。

 スキル自体は種類が多すぎるのとまだ全部見つかってるわけじゃないから、自分で色々考えてみて、それも楽しみの1つだからね」


「なんで全部使わないほうがいいの?」


「うん、言った通り職業についた時に取得できるスキルがあるんだけど、ぶっちゃけこっちのほうが有用性が高いんだ。

 一度取得したスキルはやり直しが例外を除いて不可能だから、最初は必要なものだけ取得して職業についてから使ったほうがいい。

 職業についてもイベントスキルを成長させるために、ある程度は残しておいたほうがいいね。

 ついでに言えば職業についた後に上位職業ってのになれるから、そのために残しておくのもいい」


「なげぇ」


「要は転職してから使えってことだ」


「最初からそう言え」


「あれ、なんで負けた気がするんだろう」


 トライはさっそくステータス画面にあるスキルの欄を覗いてみる。


「うわ」


 が、ちょっと数が多かった。

 トライがめんどくさくなるくらいに。

 ここはシャインの言葉に従い、転職してから考えようと答えを先伸ばしにする。


「先生! 種類が多すぎます、オススメを教えてください」


「トロン君、いい質問だ!

 実際これだけ多いと効果を確認するだけでも面倒だからね!

 まずは自分が将来的にどんなタイプになりたいかから決めよう!」


「オレはリアルと同じ、パワーファイタータイプでごり押し系」


 渡りに船とはよく言ったもの。

 トロンも同じことをやっていたようで、同じような考えだったのをいいことにちゃっかり自分も聞いてみる。


「だったら攻撃力あげる能力上昇系か、アクション系ならパワースラッシュとかがいいかな。

 あ、いい忘れたけどスキルにはアクション系・能力上昇系・特殊系の3種類がある。

 アクションは所謂必殺技みたいなの、能力上昇系はそのまま、特殊系は何かができるようになるとか読めるようになるとかかな」


「なるほどね」


 さっそくそれっぽいスキルを探してみる。

 せっかく18ポイントもあるのだから1つくらいとっても大丈夫だろうと考えている。


「私は魔法使いって決めてるから、魔力アップ系?」


「その前に攻撃魔法な。

 魔法使いが魔法を使えないんじゃ話にならないぞ。

 それで魔法使いも色んなタイプがいて、オーソドックスな味方の後ろから攻撃するタイプ、前線で避けて殴って魔法も使う万能タイプ、自分では一切戦わずに味方の回復・支援のみを行うヒーラータイプなどなど。

 まぁヒーラータイプは今回俺がやるから、トロンは基本タイプか万能タイプのどっちかになるかな。

 お勧めとしては優秀な肉壁がいるから基本タイプだね」


「肉壁ってなに?」


「文字通り肉体の壁、身を張って仲間を守るキャラのことさ」


「あぁ、つまりトライね」


「そう、つまりトライだ」


「俺の意思は無視かよ!?」


 元からそのつもりだったにも関わらず、それが当然のようなタイプ選択をしている二人につっこんでみる。

 漢には無駄とわかっていてもやらねばならぬ瞬間があるようだ。


「じゃあ基本タイプかな、どうせなら派手なのがいいかも」


「まぁ実際派手なのは威力高いヤツが多いし、いい考えだと思うよ。

 そうなると必要なのは共有スキルだとブラストっていう攻撃魔法だけかな、あとは転職してからのほうが効果が高いのが多いから、転職してから教えるよ」


「は~い、よろしくセ・ン・セ♪」


「そういうのはトライにやるように」


「俺かよ!?」


 画面を見ながらも、手を中空に向かって裏手でビシッとツッコミを入れるトライ。

 漢には無駄と(略)


「で、トライは決まったか?」


「ん? あ~、加護のレベルあげられるみたいだからそれだけあげといた」


「あぁ、そういえば持ってたな。

 ヴァナルガンドだっけ、上昇率は低かったけど中々いい加護だよな。

 どんくらい効果あがった?」


 ちなみにヴァナルガンドは設定上では超有名だが、プレイヤー感では未実装の噂があることもあって認知度が低い。

 一部のやりこんでいるプレイヤーのみが設定まで知っているに留まっている。


「レベル1個につき1%あがったな」


「それも微妙なのな、ハズレかもしれんが……どんまい!」


 シャインの知っている限り、どのステータスでも初期値20%上昇レベル1つにつき2%上昇というのが「普通」である。

 最大の効果を持つもので、初期値50%MAX100%というのがシャインの知る限り最大のものになる。


「やかまし、気に入ってんだからいいんだよ!」


「私も早く振り分けしたーい! 早く行こうよ!」


「そだね、じゃあそろそろ行こうか。

 まずは南へ!」


「オーガならまかせろ!」


「「誰が行くか!」」


 ガーンという擬音が聞こえてきたのはきっと気のせいではない。




名前:トライ

 職業:前衛見習い

 LV:19

 特殊能力:ヴァナルガンドの加護LV10(HP上限、HP自然回復速度、攻撃力20%上昇、敵装甲値20%無視)

 所持スキル:無し

 武器適正:両手剣

ステータス

 HP:3700+740

 MP:200

 STR:550+110

 VIT:370

 AGI:370

 DEX:370

 INT:200

 LUK:370


残りステータスポイント:0

残りスキルポイント:8



――――――――――



 で、南に行こうとしたのだがいまだに行っていない。

 その理由としては。


「熟練度どうしようか……」


 である。


 実際熟練度がどういった形でステータスに影響するのかよくわからない。

 なので単純にレベルをあげていいものかどうか考えているのだ。


「多分今までの話をまとめると、レベルがあがった時点での熟練度のぶんだけステータスが増加するってことだと思うんだ。

 それでレベルアップで熟練度は一回リセットになるんじゃないかな。

 つまり……できるだけ何回も攻撃したうえでレベルをあげるのが好ましいってことになるなぁ」


「合ってると思うぜ、実際オーガと戦ったときゃあ相当な時間戦ってたしな。

 当たり前だが攻撃する回数もされる回数も多かったぜ」


「だよなぁ、となると単純に狩るよりも工夫したほうがよさげだな」


「工夫っていうと例えば?」


「トロンはチュートリアル終わらせたときに装備品もらわなかった?」


「うん、もらったよ。

 マジックワンド(練習用)ってやつ」


「なん……だと……?」


 トロンがそう言いながらアイテム欄を開き、杖を取り出す。

 同じようにしてシャインも取り出すが、当然トライはそんなものもらってはいない。


「魔法使いになりたいって選択肢を選んだらくれたよ?」


「俺は味方を助けたいっていうのを選んだんだ。

 効果はヒール(微)が使えるようになるってもの」


「どれどれ、私のはブラスト(微)が使えるみたい?」


「バカなっ」


「これ今まで馬鹿にしてた装備なんだけど、こうなってくると話が変わるなぁ」


 馬鹿にされる理由としては、ヒールとブラストは魔法タイプの共有スキルに存在するため、レベルを一つあげればすぐに使えるようになるためである。

 存在価値がわからない装備としてネタ扱いがいいところだった。


 しかし実際熟練度をあげるということになると話は変わってくる。

 微と書いてある通り、その効果は本当に微弱なものでしかないのだが、消費MPが1とレベル1でも使えるようになっている。

 新たな事実を知った状態で改めて考えてみると、序盤の熟練度をあげるために存在していると言ってもいい優良装備だったことになる。


「これを有効活用できるマップ……思いつかないな。

 どうしよう」


「わかんねぇこた聞けばいいだろ」


「聞くって言っても、こんなやり方やってる人なんかいないと思うぞ。

 wikiにも乗ってなさそうな情報だし」


「いや、ゲームの中の話はゲームの中で聞きゃいいだろ?」


「? 一体何の話をしてるんだ?」


「まぁ行ってみようぜ」



――――――――――



「というわけなんだが」


「なるほど、それは難しい質問ですね」


 そういうわけで来てみたのは神父のところだった。

 ウィンドウではなく直接神父に話しかけたトライを見て、シャインとトロンは何やってんのこいつ的な視線を向けたのだが、流暢に返事をした神父を見て唖然としていた。


「は? なんで普通に返事してんの?」


「あれってNPCだよね?」


「NPCが何かはわかりませんが、返事くらいできますよ。

 まぁここまで軽く話しかけてくるのはトライ殿くらいなものですがね、はっはっはっ」


「はっはっはっじゃねーよ、どっかいいとこ知らねーか?」


「ふむ、しかし私も冒険者ではありませんのでな。

 聞いた話でしかお話できませんがよろしいですかな?」


「おう、どんな話でもいいぜ。

 神父の話に間違いがあったこたねぇからな」


「はっはっはっ、お褒めに預かり光栄ですよ。

 しかし、そういった事情でしたら東の山の麓などはいかがですかな?」


「東ぃ?」


「あ、その手があった」


「どゆこと?」


「おぉ、さすがはトライ殿の仲間ですな。

 これだけで理解されてしまうとは、恐らくその通りですよ」


「おい、どういうことだよシャイン」


「えっと、東側には山が広がってるんだけども、その麓にロックタートルっていうモンスターがいるんだよ。

 そのモンスターは攻撃力高い、防御力高い、HP死ぬほど高いっていう転職して高レベルになった人がやっと倒せるモンスターなんだけど……」


「弱点があるんですな、致命的な」


「弱点ん?」


「足が遅い、攻撃より防御を優先する、遠距離攻撃を持ってない、即死判定発生ポイントがわりと簡単に狙えるっていうモンスターなんだよ」


「楽勝じゃね?」


「ところがこいつ、経験値が異常に低いんだよ。

 南に行ったモンスターと同じ程度しかもらえないんだ、強さと経験値が見合わないからってあんまり見向きされなかったんだけど……」


 ちなみに取得できるドロップアイテムにはそれなりに需要があるため、完全に誰もいないわけではない。

 他の狩場で取得できるアイテムのため、わざわざここに来るプレイヤーは少ないが。


「うし、じゃあそこ行こう」


「そうだな、行ってみるか」


「決まり! 行こう行こう!」


 こうしてトライ達の初パーティ戦は、めでたくマイナー狩場からのスタートとなったのであった。

さらに奥地へ行くとドラゴンがいます

が、しばらく関係ありません


※2012/8/27

メタ発言を修正・・・するほどのものがありませんでした

細部を若干修正しました

※2012/9/4

文章を全体的に修正、内容には変化なし

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