↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/52

第47話・つまり魔法は鬼畜なくらい強かったってことだ

指摘がありましたので書き方を変えています。


読みやすくなっていればいいのですが……

ピロリン♪


 空中都市への出入口が解放されました。

 一部のマップから出入りが可能になります。



「よし、っと」


 結局説明を諦めた男の指示に従い、空中都市の開閉装置らしい歯車のついた球体を操作するトライ。


「じゃあ後はこれ読んどいてっ!」


 前回同様、メモを渡してシュタッと片手をあげる。

 ここで声をかけなければさっさとログアウトしてしまうのは目に見えていた。


「おっさん! 名前!」


 若いかもしれない相手におっさん呼ばわりは失礼なのだが、男は気にした風もなく即答する。


「おっさんでいいよ! ぢゃっ!」


「いいのかよ……って、もういねぇし」


 去り際だけは異常に早いおっさんだった。



――――――――――



「ひゅーっ!」


「気持ち良いですねー」


「調子にのってアクロバット飛行すると酔うから気をつけてね」


 できればトライに教えるべきだった忠告をするシャイン。

 今彼らは空中都市へと向かうため、街の1つ隣のマップから空中に飛び立った直後だ。


 ちなみに飛行装備は見た目が複数種類存在するのだが、大きく分けて羽タイプと乗り物タイプがある。

 性能はどれも同じだが、地に足を付けている感覚のする乗り物タイプは、高所恐怖症のプレイヤーでも「なんとか我慢できる」レベルの安定感がある。

 それを考慮しない場合、ぶっちぎりで悪魔の羽と天使の羽、妖精のような透き通った光の羽タイプの3種が人気だ。


 逆に言えばその辺を選んでおけば目立つことも無い。

 という理由でシャインが天使の羽、トロンは光の羽、リナは本人の希望で薄緑色をした鳥のような羽を購入している。


 三人が飛行を満喫していると、シャインに聞き慣れたコール音が聞こえてくる。


『おう、開けたぜ』


「了解、どこに行けばいいんだ?」


『何言ってんだ?

 空中都市に決まってんだろ』


「いやだから空中都市の入り口はどこにあるんだと聞いているんだが」


『え、知らん』


「え」


 肝心なところはやはり聞かないトライであった。



――――――――――



 その後「トライが1回出れば出入口わかんじゃね?」という結論になり、単純に山の上を目指せばいいという結果になった。

 飛行状態で山頂付近に近づくと、ある地点で唐突に雲がひいていき、空中都市が視認できるようになったのだ。

 意外にゆっくりとひいていくこともあり、今の段階で他のプレイヤーが気づくのは難しいだろう。


 そして現在、トライ達が何をしているかと言えば。


「おらぁっ!」


 液体のような質感の人型をしたモンスターと戦っていた。


 豪快に降り下ろされたベルセルクブレードが、黄金に輝く人型スライムのようなモンスターに襲いかかる。

 容易く切断、少なくとも目に見えるダメージを与えるかと思われた攻撃だったが、結果はその逆を見ることになる。


 人型スライムは一瞬で正四角形の立面体へと変身し、トライの攻撃を真正面から受け止めた。


 ガッギィーン!


 トライの攻撃が無効化されたことを知らせる金属音が鳴り響く。

 ただしトライが持つ加護の効果により、全てを無効化したわけでは無いようで3センチほど刃が食い込んでいた。


「『ヒートビーム』」


 さらに後方からトロンの追撃が入る。

 どこぞの機動ウォリアーが使うビームな銃から出るような光が赤くなったものが放たれ、ドラム缶ほどの太さのそれがスライムへと向かう。


 スキルの使用から到達までは一瞬だったはずなのだが、敵はその一瞬で再び姿を変化させていた。

 今度は四角形ではなく、頂点をトロンへ向けた三角錘だ。


 ヒートビームはその頂点を中心に命中し、触れた瞬間に爆発するような勢いで炎が噴出する。

 しかし炎の中にある金色の存在は、見た目にわかる変化は何も起こしていない。

 魔法レベル5に設定されているヒートビームを受けてほぼ無傷、ということは属性的な相性で無い限り1つの結論を導き出せる。


「防御特化型かぁ。

 しかも物理・魔法どっちも超防御持ちと……」


 モンスターの中にはまれに、「超防御」の通称で呼ばれるスキルを持つものがいる。

 単純に一瞬だけ防御力・装甲値が激増するスキルなのだが、一般モンスターは物理か魔法かどちらかしか持っていない場合がほとんどだ。

 両方持っている、というのはボスモンスターに限って見ても非常に珍しい。


「時間をかけさせるためでしょうか、誰か入ってくれば勝手に強くなるみたいですし」


「ちょっとセコいわね」


 例のおっさんがいれば「戦略と言ってくれたまえ! HAHAHA!」などとほざきそうだが、確かに仕様を考えると悪くない戦法であろう。

 ただし相手がまともなプレイヤーで、後から他のプレイヤーが来る可能性があれば、という条件付きだが。


 つまるところ、彼らが戦っているのは空中都市のボスモンスター「エレメントマスター」だった。


「よぉ! 多分今の同時に使えねぇみてぇだぜ?」


 再び人型へと戻り、腕が炎や水・岩などの様々な形態へと変化しながら攻撃してくるエレメントマスター。

 それらをひょいひょいと避けながら、トライはシャインに報告をしてくる。


「ほんとか?」


「だって変形してたぜ?

 あの形状じゃねーと防げねぇんじゃねーか?」


 それを根拠にするのはどうかという内容だが、間違ってはいない。

 シャインとしてもトライのこういった部分に関する嗅覚は信用できるとわかっているので、それを前提に戦闘を考えてみる。


「じゃあトロンが持続の長い攻撃して、その間に攻撃するのがいいか」


「だったらアレをやってもいい?

 誰もいないんだし問題無いわよね」


「アレかあ……

 まあいいか、取り巻きモンスターもいないし」


「よし、トライ! リナちゃん!

 ガトリング行くわっ、合わせてねっ!」


 言いながら詠唱モーションに入るトロン。

 モーション補正導入後は、詠唱の段階から痛い……いやカッコいいモーションをする必要があるので、踊るようにして大袈裟に身振り手振りをしている。


「了解です。

 スコール、ハティ、トロンさんに合わせて攻撃だよ」


 ガウ、ウォンとリナの両脇に控えていた2匹の狼が飛び出し、ボスを囲むようにして戦闘に参加する。


「行くわよ。

 まずは『エクステンションフォース・トリプルスペル』」


 スキルの発動と同時にトロンが薄く青い光を纏い、なぜか未使用状態では表示されないはずの飛行装備が展開される。

 光の羽を持つトロンの姿は幻想的な雰囲気を出し、そこだけ戦闘とは無縁ではないかと思わせるほど美しい光景を作り出した。


「こっちも行くよ。

 スキル起動『ヘルプキャスティング』」


 同時にシャインはトロンの前で祈りを捧げるようにしてしゃがみ、やはり青い光を身に纏う。

 なぜかこちらも天使の羽が展開されている。


「いっくわよー!

 全スキル起動! 『ガトリングスペル』4重起動!」


 天使と妖精が織り成す幻想的な雰囲気から一転、全てのスキルを起動させたトロンが生み出す光景は、見る人が見れば地獄のように映っただろう。


 トロンの周囲に発光する菱形の水晶が出現し、彼女の周囲を守るようにしてゆっくりと回転している。

 それだけであったならまだ幻想的な光景と言えたのだが、それを全力でぶち壊すほどの驚異をそれらが生み出していた。


 1つ1つの水晶に加えてトロン自身から、最低でも10個近い数の魔法が生み出されていた。

 よく見ればそれらは1つの水晶が1種類ずつ、別々の属性を使用していることがわかっただろう。

 炎が踊り、水が流れ、雷が暴れ回り、闇が蠢いている。

 それらはトロンの周囲に収まりきるはずが無く、水晶を中心に球体を描くような形で回転していることも合わさって、トロンの周囲は魔法で構成されたドームのような状況になっていた。


「攻撃開始っ、みんなよろしくぅ♪」


「っしゃあ! 行くぜおるぅあっ!」


「スコール、ハティ、お願い」


「グルァァアッ!」


「ウォフッ!」


 トロンが手を前に振り下ろすと同時に解き放たれる魔法達。

 まさにガトリングの如く、連続で放たれていくそれに合わせるようにして攻撃を開始する二人と2匹。


 炎が飛び、同時にトライが切りつける。

 水が槍のように突き刺さると同時に、リナの矢が同じ場所を突き刺す。

 雷が轟音を響かせれば、スコールの牙が喰らいつき。

 闇が自身毎消滅させようと接触すれば、ハティの爪が切り裂く。


 可哀想になるくらいボスモンスターは身動きが取れないまま、死んでいることも確認できないほどの魔法の嵐の中で静かに消えていった……



――――――――――



 スキル「エクステンションフォース・トリプルスペル」

 トロンの現在ついている職業、4次職「スペル・オブ・カオス」の固有スキル。

 詠唱時間が倍になり、使用中は動けなくなり、さらに効果時間終了後はどんな行動を行なったとしてもMPを全て失い、しかもそれが5分間死に戻り以外のどんな方法でも回復しないというデメリットの多いスキル。

 その代わり詠唱が完了した瞬間から、本人とは別に3つのオプションが出現し、それぞれが別の魔法スキルを使用できるというバランスブレイカー。

 もちろん自分を含め4つの魔法をコントロールするのは至難の技で、詠唱時間が倍になることもあって非常に使いにくい。


 そこでシャインが使った『ヘルプキャスティング』

 シャインのついている4次職「ゴッド息吹ブレス」で無くとも使えるスキルだが、これがゴッドブレスの固有スキル「オールブースター」によって効果が飛躍的に上昇する。

 オールブースターは所持者のスキル効果を最大1・5倍、効果時間に関しては最大2倍にするというもの。

 ヘルプキャスティングは自身が行動できなくなる代わりに、対象の詠唱時間を最大半分にするというスキルだ。

 これがオールブースターによって最大75%詠唱時間が減少するため、トロンは倍になっているはずの詠唱時間が逆に普通より短くなるという状態になっている。


 そして最後に使った「ガトリングスペル」

 これは魔法レベル3以下の単体攻撃魔法を通常の3倍の詠唱時間を使って起動させ、最大で1分間スキル後の硬直を無視して連射ができるようになるスキルだ。

 スペル・オブ・カオスでなくとも使えるスキルなのだが、普通はレベル3以下・1分間・2回目以降も通常の詠唱時間が必要という制約が邪魔で扱いづらいという認識を受けている。

 それが上記2つのスキルと同時に使用すると、合計4種類の魔法が常時飛んでくるという鬼畜スキルへと変貌する。


 この組み合わせを思いつき、実践したときのシャイン曰く。


「なにこのバグ」


 思わずバグかと疑ってしまうほどの鬼畜っぷりだったらしい……

補足情報

 エレメントマスターは決して弱くは無いです。

 今回は扉1つであること、他のプレイヤーがいないことが理由でトライ達でなくても4人PTなら時間はかかるが倒せる程度の強さでイメージしています。

 ついでに今のトロンはこの状態で2秒に1発魔法が打てます、×4になるので実質的には秒間2発、60秒あるので最大120回攻撃ができるという鬼畜っぷり。



余談シリーズ

 現在1話から順次修正作業中です。

 内容は「全く変化ありません」ので読み返す必要はありません。

 これ余談じゃねーなっていう余談(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。