第40話・つまり時間を飛ばしたならもう一回説明する必要があるってことだ
いきなりチート化します
説明ばかりになって申し訳ない・・・
一応これで第四章は終わりになります
前衛系4次職「神喰らいの狂戦士」
厨二病かと疑いたくなるような名前のその職業が、現在トライがついている職業になる。
ソードマン・ベネフィットからいくつか候補がある転職先の中でナイト・ベネフィットへと転職することを選び、さらに同様にしてロードナイト・ベルセルクとロードナイト・ベネフィットの2種からベルセルクのほうを選択した場合に最後に転職が可能になる職業。
特徴は圧倒的な身体能力ステータスと、デメリットが多いが効果が死ぬほど強いスキルの数々。
最大威力が出る状況になれば、ギガストライカーのストライク全発動より高いダメージを叩き出せるほどのポテンシャルを秘めている。
しかし、現時点でそれを理解しているプレイヤーはやはり、トライとその仲間達だけであった。
――――――――――
腰の高さで地面と水平に構えた黒い両手剣、体の右側に固定するように構えていたそれを、左に回転するのと同時に思い切り振り回すトライ。
回転したのは2度。
1度目は勢いをつけるために、2度目は勢いを乗せた斬撃で敵を攻撃するために。
かつてはどんなに勢いや力を込めた攻撃をしても、それは「指先に全力を込めてたたかうボタンを押した」状態に過ぎなかった。
しかしバトルマニアなプレイヤーや、リアル思考なプレイヤー、はたまた効率重視なプレイヤー達によって公式サイトの掲示板にて議論が交わされ続けた結果、一月前のアップデートでついに実装されることになった。
基本的な攻撃力が若干下がる代わりに、これまた製作会社驚異の技術力によって検知される評価ポイントが加算され、そのポイントの分だけ威力が上昇する。
加算はされても減算されることは無く、結果的によほど運動神経が悪いプレイヤーでない限りアップデート前とほぼ同じか、逆に強くなった場合がほとんどだったので好評なようだ。
何故か魔法にも適用されていて、普通に使うより大げさなカッコいいとも痛いとも言えるモーションをとる必要がでたので、こちらは評価が分かれているが……
とにかく、勢いという上方修正が加わった結果、いくつもの加算ポイントが加わった回転斬りは敵を真横に切り裂く。
相手の数は3体のクリムゾンデーモン。
その全てに間違いなく攻撃がヒットし、トライは倒したと確認することも無く、それらに背を向けて剣についた血を振り払う動作をする。
もちろん血なんて再現されていないが。
「フッ、またつまらんものを斬ってしまった」
キメ台詞までキッチリ終わらせるトライ。
6ヶ月という月日が彼のバカを治すには、あまりにも短すぎる期間だったようだ。
「ぶべっ!?」
直後、トライの後頭部に衝撃が走る。
3体のうち2体は確実に倒され、今まさに空中に霧散しようかと消えていく途中であった。
だがしかし、運良く生き残っていた最後の1体が「そのネタ現代っ子わかんねーだろ!」とでも言いたいのか、ツッコミのように思い切り上から平手でトライの頭に攻撃を加えたのだ。
「ギャーーースッ!」
さらに厄介なことに、クリムゾンデーモンはHPが減ると仲間を呼ぶ。
なぜ厄介なのかと言えば、マップ内にその時点で出現していた全てのクリムゾンデーモンを呼び出す仕様になっていることで、他の誰かと戦闘中でない限りほぼ全てが集結するということになる。
この仕様があるため、仲間を呼ぶ前に決着をつけられるだけの火力が必要とされるモンスターであり、普通のプレイヤーもそれなりの高レベルでないと狩りに来ない相手になっている。
もちろんこの仕様を逆手に取るプレイヤーもいるが、今回はそんなプレイヤーはいないようだ。
ちなみにこのマップはプレイヤー間の問題になりやすいので、普通のプレイヤーはあまり近寄りたがらない。
「やべっ」
「ウギャッ」
振り返り様に横凪ぎで生き残ったクリムゾンデーモンを葬り去るが、1度呼び出されたクリムゾンデーモンはそれで止まったりはしない。
トライの視界にもすでに数体のクリムゾンデーモンが見えており、すぐにでも倒し始めなければ待っているのは数の暴力という名のデスペナルティだろう。
どうやって落ち着くまで戦おうかと、あまりよろしく無い頭を使って考えてみる。
光を纏った矢がクリムゾンデーモンに突き刺さるまで考え続け、そして止めた。
ズギュン! と、それ弓で出せるのかと疑いたくなるような音と共に光を纏った矢がトライの後方から飛ぶ。
視界に映っていたクリムゾンデーモンの顔に吸い込まれるようにして命中し、即死判定によるものか単純な威力によるものかはわからないが、クリムゾンデーモンを一撃の元に葬り去る。
続く矢が他のクリムゾンデーモンを同様に倒していくのを見て、トライは安心して考えることを完全に止めた。
「油断しすぎです」
何もない空間に突如として現れたのは、赤毛を短めのツインテールにした巨大な弓を持つ女性、リナだった。
赤い悪魔のようなトライとは逆に、晴天の空を張り付けたような爽やかな青色の鎧。
鎧といっても金属的な部分は非常に少なく、柔らかな毛皮を腕・左肩・胸・腰・足に纏い、その下に金の複雑な幾何学的模様のラインが入った黒い全身タイツのようなインナーを装着している。
こちらも4次職まで転職しており、その影響なのか纏う雰囲気にはかつての年相応な可愛らしさは薄れている。
経験からくる自信も重なり、今の彼女は美少女ではなく、美女と言っていいだけの見た目へと変化している。
非常に残念ながら胸に位置する男の願望が成長した気配は無い、非常に残念だ。
後衛系4次職「ビーストディーヴァ」
獣の女神という名のこれまた厨二病を疑いたくなるネーミングセンスだ。
身体能力に関するステータスはDEXを除いて相変わらず低めに設定されているものの、圧倒的なまでのDEX・魔法職なみの最大MPの高さ・様々な効果のスキルから来る多様な戦闘が可能な職業であり、単体でも強力な職業だ。
しかしその最大の特徴は―――
「『スコール!』『ハティ!』」
「ガウッ」
「ウォンッ」
何もない空間からプロジェクターの映像が徐々に写し出されるようにして、リナの両脇に明るい赤と日本人の髪の色のような黒い狼が出現する。
仲間にしたビーストをマップの外に連れ出し、自らの手足として、いや「仲間」として共に戦う能力があること。
そしてこの職業であるからこその、彼らの真の力を解放が可能になっている。
「『ジャイアントビースト』」
その呟きが終わった直後、圧巻と言ってもいいほどの変化が起こる。
両脇に控えていた2匹の狼は、せいぜいがリナの腰ほどの高さまでのサイズであった。
それがスキルが発動し、リナから放たれた青い光が2匹に吸い込まれていくと、スキル名の通りに巨大化したのだ。
リナの身長を超え、トライの頭の高さに来るほどに巨大化した2匹の狼。
2匹の体に走る白毛で描かれた紋章と、背中に生えた鉄のような突起。
その姿はまるでかつて彼らが敗北した、伝説のチートモンスター・フェンリルを彷彿とさせる姿だった。
スキル「ジャイアントビースト」
「仲間」のモンスターを巨大化させ、全ステータスをスキルレベルに応じて上昇させるスキル。
使用中はMPを消費しつづけるが、きちんと育てたモンスターに使用すれば下手な前衛プレイヤーより強くなってしまう強力なスキル。
目立ったデメリットも特に無く、きちんと性能を理解できる人が聞いたら「なにそのチート」と言いたくなるような性能だった。
スキル「テイムビースト」で捕獲したモンスターは適用されないのだが、このスキルを取得できてる時点でそんなことは関係ない壊れスキルだ。
「お願いね?」
「ガウガウッ!」
「ムフーッ!」
赤い狼は鳴き声をあげることで答え、黒い狼は鼻息を長く吐くことで答えているようだ。
2匹はトライと並び、視界に移り始めた大量のクリムゾンデーモンを迎え撃とうと構える。
「助かったぜ」
トライは半身になって剣を腰の下あたりで両手で持ち、振り返ろうともせずにリナに感謝の言葉を伝える。
「色々とO☆HA☆NA☆SIしたいところですが、まずはこの状況を切り抜けてからにしましょうか」
なんとなく嫌な言い方だったようなと思いつつも、実際この状況を切り抜けないことにはどうしようもない。
後で考えればいいかと軽く考え、問題を先送りにするトライであった。
そういうのは大概が面倒になると何度も体験しているはずなのだが、人間こういう部分というのは治りにくいものである。
――――――――――
「ふんっ!」
トライが大きく上から剣を振り下ろし、目の前にいたクリムゾンデーモンを左右真っ二つに切り裂く。
「ガァッ!」
予測でもしていたのか、今倒された仲間のすぐ後で口から炎を吐き出そうとしている別の固体がいた。
「ハッ」
しかしこちらも予想していたのか、それをリナが見事なまでに正確に人間でいう額を打ち抜く。
デーモン系はほとんどの場合、人間と似たようなポイントで即死判定が発生するため、簡単では無いがただの攻撃でも一撃で倒すことができたりする。
「グォッ!」
「グルァッ!」
さらに別の固体がトライの左右から飛び込むようにして挟撃を仕掛けてくる。
真横の別方向からの攻撃は、一人で対応するのであれば、どちらか片方に絞り、もう片方は避けるように動くか甘んじて受け入れるかというのが普通だ。
トライは全く動こうとせず、どちらかをくらうことを覚悟しているように見えた。
「ガッ!」
「ウォーーーン!」
しかしそれは間違いだ、動かなかったのでは無い、動く必要が無かっただけだ。
ある種の信頼とでも呼べるほど、トライはそうなるであろうことを予測していた。
右には赤い狼がクリムゾンデーモンより高く飛び上がり、上からその上半身を一瞬で食いちぎる。
左には黒い狼が吐き出した光にクリムゾンデーモンが飲み込まれ、光が過ぎ去ったあとに氷漬けにされた固体が残るだけだった。
「『行けっ!』」
トライがそう言った瞬間、光の粒子が集まり空中に新たなアイテムが出現する。
縦長の盾のようなアイテム、トライの肩幅より細い程度ではあるが、縦に関しては全て覆い隠すほどの六角形をしたそのアイテム。
よく見れば外周が全て刃になっており、刀身のみで構成されたような見た目、上から4分の1ほどのところに丸い穴が開いており、そこに持ち手らしい部分があるのでかろうじてこれは「剣」であると判断できた。
スキル「ダンシングウェポン」がレベル10になることで生成可能になるアイテム「破壊の杖」と呼ばれるこのスキル専用の「武器」だ。
それがトライ達の周囲に合計6本の破壊の杖が円形に展開し、トライはもちろん狼・リナを守るようにして配置される。
その配置の中心を軸にするようにして破壊の杖は回転を始め、武器連携「連続横薙ぎ」が発動する。
まるでその武器が視界に入っていないかのように、クリムゾンデーモン達は突進してきて次々とその体を切り裂かれていく。
さすがに一撃で死ぬほど弱いモンスターではないが、チェーンソーのように連続で襲い掛かる攻撃の前に仲間を呼ぶことすらできずに次々とそのHPを0にしていく。
「『うらっ!』」
たまたまなのか学習したのか、その回転を飛び越すようにしてジャンプしてきたクリムゾンデーモンがいた。
その固体に向かってトライは衝撃波のようなものを放つスキルの強化版「デッドライン」を使い、空中にいたその個体に不自然な停止という「死」を与えた。
結局この調子で戦い続け、トライ達は仲間の招集に反応した全てのクリムゾンデーモンを倒しきるのだった。
「かかってこいやオラァ!」
彼の兜は顔を全て隠していたので表情はよくわからかったが、リナによれば怖いオーラが全開だったらしい。
――――――――――
名前:トライ
職業:ゴッドイーター・ベルセルク
BLV:137(最大150)
JLV:50(最大50)
特殊能力:ヴァナルガンドの加護LV50(HP上限、HP自然回復速度、攻撃力100%上昇、敵装甲値50%無視、敵装甲値減少量300%上昇)
所持スキル:熟練度表示可能、シュートLV10(MAX)、魔力操作LV10(MAX)、威圧Lv10(MAX)、ダンシングウェポンLv10(MAX)、デッドラインLv10(MAX)、その他複数
武器適正:両手剣・両手剣2・両手剣3・両手槍・両手斧
ステータス
HP:82200+82200
MP:6010
STR:12330+12330
VIT:8220
AGI:8220
DEX:6850
INT:6010
LUK:5480
残りステータスポイント:0
残りスキルポイント:9
装備品
右腕:+9ベルセルクブレード(攻撃力+73、レベルアップ可能、状態異常耐性+100%、防御力上昇+100%、攻撃力+50%、攻撃時ダメージの1%HP回復・0.1%MP回復、耐久値自動回復、破壊不可)
左腕:+9ベルセルクブレード
頭(上):+9ベルセルクヘルム(レベルアップ可能、破壊不可、スキル「テラーエフェクト」自動発動、耐久値自動回復、他)
頭(顔):+9ベルセルクヘルム(レベルアップ可能、破壊不可、スキル「パラライズアイ」自動発動、耐久値自動回復、他)
体(胸):+9ベルセルクメイル(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、他)
体(腰):+9ベルセルクメイル(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、他)
腕(右):+9ベルセルクガントレット(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、スキル「ガードアタック」使用可能、他)
腕(左):+9ベルセルクガントレット(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、スキル「スーパーアーマー」使用可能、他)
足(靴):+9ベルセルクグリーブ(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、他)
足(その他):+9ベルセルクグリーブ(レベルアップ可能、破壊不可、耐久値自動回復、他)
アクセサリー:神喰らいの証(一部のモンスターにダメージ+50%)、他複数所持
装備エリアカスタマイズ
・分割
頭→上・顔
体→胸・腰
腕→右・左
足→靴・その他
・統合
なし
これにて第四章「転職編」は終了になります
ものっそい時間が飛んで説明回なのに説明不足感が満載という話になってしまいました、申し訳ない
装備品の「他」は色々あるんですが、よく考えたら読者に関係ねぇ(笑)ってことに気づいたので今後関係してくる部分だけ記載しました
スキルの用途は名前で大体予想がつくと思いますが、ちゃんとした説明は実際に使用した際に書いていく予定です
今後ともよろしくお願いします
※2012/9/14
文章を全体的に修正、内容には変化なし




