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第1話・つまり選択肢は無いわけだ

どうもみなさんこんにちわこんばんわはじめまして


別の小説の合間に息抜き~とかいってちょいちょい書き溜めていたものがそれなりの量になったので投稿

完全にノリと勢いだけで書いてますので駄文です、前の小説も駄文だけど(笑)


特に感想を求めたりはしませんので、お気軽にお読みください

「どぅーあしゃあああぁぁぁ!!!」


 気合いの入りすぎた叫び声と共に、一人の青年が「敵」に向かって走り出す。


 向かう先にいるのは彼の「敵」


 日焼けしたにしてはやけに汚ならしい茶色っぽい肌の色をし、ボディービルダーのごとく全身マッチョ、そりゃもうマッチョを全力でアピールしまくっている「敵」

 左手に一枚の厚い木板を円形にした盾のようなものを持ち、右手には普通思い浮かべる一般的な西洋剣を真ん中からスパッと切断したような、身長190センチはありそうな巨体が持つにはやや短すぎる印象の剣。

 防具と呼べるようなものは身につけておらず、丈夫そうな布を重ね合わせた短パンに紐を通し、それを肩からぶら下げている。

 かろうじてベルト代わりの紐をつけてはいるが、果たして何の意味があるかは疑問だ。


 頭にはサイの角のような飾りが2本左右についた、ヘッドギア……というよりハチマキを頑張ってかっこよくしました的な飾りがあるものの、防御能力があるかは怪しい、むしろ無い。


 しかし、その筋肉溢れる肉体が武器だと言えるだけ、彼に向かっていく青年に比べたらまだマシかもしれない。


 その青年は良く言えば細マッチョとかソフトマッチョと言えるのかもしれない。

 しかし彼が「敵」と判断し、襲いかかっている相手の肉体と比べるとあまりに頼りない。

 服装はなんの飾りも色気も実用性なんて着心地以外何も無いような布の服、いや着心地はある意味で1つの実用性ではあるが、少なくとも荒事に対して着心地に実用性を見いだすのは難しいだろう。

他に防具らしい防具なんて何も無く、相手が持っている盾さえも無い。

両手で握りしめている大きめの重量感がある剣だけが、彼を「一般人」ではなく「戦士」であることを示していた。


 その戦士である青年は、両手剣を頭上に振り上げ、今まさに目の前の「敵」に向かって降り下ろそうと力を込め……




 サクッ




 リンゴに爪楊枝を刺したような、軽い音がして青年は動きを止めた。

 機械的に、文字通り「停止」した。

 青年は止まったが、目の前にいた茶色の筋肉も違う意味で硬直していたかもしれない。

 完全な不意打ち、しかも背後から遠距離攻撃、彼の頭から矢が3分の1ほど飛び出している。


 男と男の真剣勝負(だったかどうかは知らないが)に水を刺したのは、茶色の筋肉ダルマとほぼ同じ見た目で、手に長弓を持ったやはり筋肉ダルマだった。


 前に倒れそうな姿勢的に無理がある状態で静止画のように停止したままの青年は、頭を貫かれているにもかかわらず、生きているかのように怒声を放った。


「またてめぇかあああぁぁぁ!?」


 怒声がフェードアウトしていくのと同じだけの時間をかけて、彼の体はゆっくりと透けて消えていった。



――――――――――



 ファンタジーゲートオンライン


 VRMMORPGというジャンルのゲームの1つ。

 軍事方面の技術が応用されたとか、医療技術の一部に利用されているものを民間用にしたとか、色んな経緯がある「らしい」が、正しい経緯なんてあまり気にする人はいない。

 ゲーム○ーイが大人気になり、気がつけばプレイス○ーショ○ポー○ブルや携帯ゲームに世代交代したように、どうやってそれが開発されたのかを正しく理解してゲームをやる人がほとんどいないように。

 いつの間にか……、いや発売日なんかは明確な記録があるし、実際ちょっとしたニュースにはなったが、それでもただそれだけだ。

 多少の時間がかかったものの、ゆるやかにそれは世間に馴染んでいき、ゆるやかに認められていき、いつの間にかあって当たり前の世の中になった。


 当然あって当たり前である世間では、ソフトも数えきれないほど種類が存在するのも必然。


 そんな数あるタイトルの中の1つ、特に目立って大作というわけでは無いし、現実リアル・ネット共に大々的なアピールをしたわけでもないゲーム。

 公式サイトにも特に不思議なことが無いにも関わらず、見た人達が「何故か」異様なまでに心奪われ、プレイ人口がアピールに対して異常に多いタイトルだった。


 多いと言っても、所詮アピールに対する比率からのことであって、他のタイトルに比べれば普通の域を出ない程度だが。


 違うところと言えば、男女比がほぼ5:5ということくらいかもしれない。

 なんせサイトを見れば漏れなくやりたくなってしまうのだから、可愛らしいキャラ絵に惹かれてとか広告バナーのミスクリックなど、ある意味事故に近い形でガンガン、もうガンガンである、がっつり女性プレイヤーを取り込んだのだった。


 この話の主人公、「三神みかみ従朗じゅうろう」が参加した理由も、そこが原因だったりする。



――――――――――



「一緒にやってくれない?」


 潤んだ瞳に上目使い。

 夏に近づき、日差しが暖かい日中に合わせ、若干制服の胸元に魅力的なスペースを開けた格好。

 そこから見える夢と希望を抱えた巨大な山は、脂肪の塊などという説明が信じられない魅力を秘めている。

 下から見上げられれば当然上から見下ろさねばならない。

 見下ろせば、顔か山に視線がどうしても行ってしまう。


 三神は今、一人の女性からお願いという名の脅迫を受けていた。


「……かなぁ?」


 小首をかしげ、長い髪を揺らしながら女性はそう続けた。


 三神は知っている。

 これはお願いしているように見せかけて、脅迫しているのだ。


 選択肢は2つ。


 やるか、死ぬか。


 どちらを選んでもろくなことは無い、経験がそれを理解している。


 やればめんどくさい事態になるに決まっている。

 やらなければもっとめんどくさいに決まっている。

 肉体言語の嵐が襲ってくるに違いない、主に目の前にいる女性「宮澤みやさわ綾華あやか」の親衛隊を本人の許可無く名乗っている集団によって。


 綾華自身ははっきり言って美人である。

 学校に一人はいるマドンナ、高嶺の花、人気投票No.1の座をぶっちぎりで独走するような美人。

 長い髪は天然で若干茶色が入っており、さらさらストレートで毛先だけ緩くウェーブがかかっている。

 凶器と言っていいほど抜群のスタイルは、すれ違った男が百パー振り返る。

 顔?快活系で一番かわいい子の顔を思い浮かべてほしい、その顔でイメージしてくれれば多分問題無い。


 性格は明るくて茶目っ気たっぷりで男女の区別なく接することができ、しかし時折憂鬱げにため息をつきながら儚い表情の横顔を見せたりする。

 要するに、それなんてエロゲというわけだ。


 で、当然勘違いされる。

 性別の壁なんて全力投球で宇宙の彼方にビッグバンである。

 男女問わずあらゆる方面に勘違いされる。


 熱狂的な親衛隊ができるのはある意味当然の流れであった。


 そんな彼女が上目使い+胸強調ポーズなんていうコンボを決めようものなら、どちら様にも○ギド○オンである。(一発KOと言いたい)

 考えるなんてバカなことをせず、脊髄反射レベルで首が高速の上下運動を繰り返すだろう。


 残念なことに、彼女の前にいる三神ともう一人を除いてという注釈が付くのだが。


「……つってもな、お前オレがそういうのやらねーの知ってんだろ? 」


 普通に、ごくごく自然にやんわりとしかし荒い言葉使いで、ブーメランの戻ってくるタイミングを当てるかの如く遠回しに興味が無いことを伝えてみる。


 それを聞いた綾華はテヘッ♪ ペロッ(はぁと)をする、だからそれなんてエロゲ?


「あ〜ぁ、やっぱジューローには効かないか〜」


 確信犯である。

 これでお願いを聞いてくれない相手はいないとわかっているのである。

 天然ではなく、計算なのだ、大事なことなのでもう一度言うが、彼女は確信犯なのである!!!


「どうせまたテル絡みだろ? 自分でなんとかしやが・・・うぉっとぉ!?」


 言葉の途中で、やたらガタイのいい男が三神に殴りかかってきたため、咄嗟に避けて会話が中断されてしまう。


「貴様・・・! 許さんぞ!」


 殴りかかってきた男はプルプルと震え、貫くような視線を三神に向ける。


「幼馴染みというだけで! 我らが綾華様と一緒に帰れるだけでも幸福だというのに!!

 綾華様のお願いを断るとはああぁ! 許せん! 許せん許せん許せん!

 ゆっるせええぇん!」


 私怨であった、めっちゃ私怨であった。

 私怨で本気マジパンチをしてきた彼は、まさしく話題の親衛隊だ。


 しかも彼の叫びに反応するように、建物の陰から、後ろを歩いていただけのような者が、草むらからカモフラージュの枝を両手に持ったものが、その他大勢が現れて三神を包囲した。


「……両手に木の枝って……マジでやってるヤツ初めて見たわ」


「意外すぎて逆に気づかなかったわね」


 呆れを隠そうともしない三神と、冷静に分析する綾華。

 先に言葉を続けたのは三神だった。


「まぁいい、どうせこうなんだろと思ったしよ」


 学生服のボタンを外しながら、カバンをドサッと地面に放り、親衛隊をギロりという音が似合うほど強烈な殺気を込めて睨み付ける。


 何人かがその視線にビクリとするが、今さら引くわけにもいかず、ジリジリとした嫌な空気に耐えている。


 三神従朗


 通称「狂戦士ベルセルク三神」


 付近の高校で知らぬ者はいない、ケンカ番長、無敗の帝王、破壊の権化。

 奇しくも学園のアイドル綾華、そしてここにはいない男版学園アイドルの「光明院こうみょういん輝明てるあき」とは幼馴染みであり、しょっちゅう三人で一緒にいる仲良し三人組だった。


 ことの始まりは、ファンタジーゲートオンラインを見てしまったテルこと輝明。

 彼に恋しつつも気持ちを伝えられない綾華が、彼を追ってVRワールドへ。

 しかしその手のゲームをやったことが無いので、公式サイトを見てしまった。

 そしてファンタジーゲートオンライン、通称「FG」の呪縛に捕らわれてしまう。

 しかし、その手の情報もコミュニケーション能力もそれほど高くない(と、本人は思っている)自分だけではテルに迷惑をかけてしまうだけになりそうだと判断した。

 ならば、仲間がいればいいではないか! めんどくさいことは全部やってくれる仲間が! つまり従朗が!

 よし! 従朗を誘おう! っていうか拉致しよう! それがいい、そうだ京都に行こう♪ みたいなノリでいけるはず!

 というあまりにも理不尽すぎる答えを弾き出した彼女は、さっそく実行に移したのだった。


 結果関係ない親衛隊がアニメみたいな星がきらーんなぶっ飛び方をしたわけだが(注:現在進行形)、ぶっちゃけ綾華にはあんまり関係ない。

 なぜならこのあとに続くはずの三神の言葉に、彼女は期待してワクワクドキドキ胸キュン☆ だからである。


「……はぁ。

 んな期待に溢れた顔すんなよ……」


 盛大な溜め息をつき、三神は観念したとばかりに両手を空に向け、話を続けた。


「わーったよ、ったく。

 毎日こんなバカどもに付きまとわれちゃたまんねぇよ、お願い聞きますよーと、やらせていただきますよーっと」


 綾華は知っている。


狂戦士ベルセルク」なんて呼ばれているが、実は三神が優しい人間だということを。

 ほんとはケンカしたくてしてるわけじゃないことを。

 自分とテルが原因のトラブルを、裏からずっと助けてくれてたことを。

 自分が何を言っても、何だかんだ最後には手伝ってくれるいいヤツだということを。

 三神が自分のことを好きだったことも。

 自分がテルを好きだから、そっと身を引いたことも。


「ふふふっ」


 綾華は三神にかけより、彼の腕を巨山で挟むようにして捕まる。


「お、おいなんだよ。

 この暑いのに無駄にくっつくんじゃねぇよ」


「え〜、いいじゃん。

 お願い聞いてくれたから、ご褒美ご褒美〜!」


「は〜な〜せ〜!

 また襲われる〜!」


 言いながらも、無理に引き離そうとはしない三神。

 二人はそのまま帰っていった。




 こうして狂戦士ベルセルク三神従朗の物語は幕を開けた。


ちなみに主人公の顔については描写する予定はありません

あなたの思うケンカが強そうな人でイメージしてください


※2012/9/4

文章を全体的に修正、内容には変化なし

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